[E3 2004#084]MMORPG「Tabula Rasa」の独特なゲームシステム詳細 - 2004/05/16 06:32

 「こちら」に掲載したリチャード・ギャリオット氏とスター・ロン氏のインタビューでは,現在開発中の「Tabula Rasa」の特徴となる,シングルプレイとマルチプレイの融合というコンセプトが語られた。
 時間が前後してしますが,そのインタビューを行う前にNC Softブースにギャリオット氏を訪れた我々は,プレイアブルの状態で出展されていた本作をまずはきちんとプレイしてみることに。本稿では,いろいろな意味で独特なシステムを搭載している本作が,既存のMMORPGとどのようにプレイスタイルが変わっているのかをお伝えしていこう。また,本記事と併せて,ぜひプレイの模様を収めたムービー(「こちら」)もチェックしてみてほしい。およそギャリオット氏らしくない,スピーディでカラフルかつアクションゲームライクな戦闘シーンと,それでいて何か惹かれる妙な雰囲気を,少なからず感じ取れることと思う。

■派手なエフェクトとアクション性のある戦闘

 まずはグラフィックス面から。グラフィックスは,韓国産タイトルで流行の派手な色使いで,キャラクターのモデリングもスタイルのよいリアリスティックな表現となっている。しかし,これに派手なスキルエフェクト,大げさともいえるモーションが加わることで,なんとも独創的な世界が作り出されるのだ。
 スキルは,通常のRPGのような剣による攻撃だけでなく,扇子やドラムスティックなどの武器(楽器)による攻撃があり,これも独創的(というか,音楽がゲームコンセプトに密接に絡んでいる模様)という部分を増長させている一つの要因となっている。これらのちょっと謎なスキルは,発動時にそれぞれに応じた効果音が流れる。スキルを発動させると,攻撃判定が生じるまでに速くても2秒,遅いものだと10秒近くかかるものがあるが,その間もキャラクターがなにかしらのモーションをしているので,効果音と併せて,いわば"見ているだけ"でも楽しくさせられるのだ。
 インタビュー記事でも触れたが,本作にはオートアタックは用意されていない模様。触って最初の戦闘時には,"スキルのみでの戦闘"というのが分からなかったことと,スキル発動時のエフェクト/モーションの派手さのインパクトが強かったことでスキルを多用していたが,数分もプレイしていると実際のプレイスタイルがそのようなものになっているんだと気づいた。"攻撃はすべてスキルによる"という,既存のものとは大きく異なっているゲームシステムを持っているが,慣れてくると「これはこれで結構楽しいかも」と思えるように。MMORPGで遊んでいるというよりは,ライトなアクションゲームで遊んでいるような雰囲気さえしてくる。攻撃判定も格闘アクションゲームのように結構狭くなっているので,どこかしら格闘アクションのような感じも受けた。常に動き回りながらこちらの攻撃をヒットさせ,逆にモンスターからの攻撃を避けるというのが分かりやすい戦闘システムといえるだろう。




■視覚的に情報を得られるようになっている数々の工夫

 画面右上にあるバーは,"気"を表していて,攻撃をヒットさせるごとに蓄積(FFXIのシステムとイメージ的には同様のもの)されていく。気が一定値以上溜まると強力なスペシャルアタックが発動でき,これも戦闘を面白くさせる要因の一つとなっている。スペシャルアタックは攻撃力が高いので,集団でモンスターが出現したときなどで使うと,あっという間に倒すことができる。
 また本作では,数字の大小やメッセージでプレイヤーに何かを伝えるよりも,アイコンや色で視覚的に伝えるというコンセプトが統一されており,あちらこちらでそれが直接見えている。その顕著なものは,MMORPGプレイヤーならご存知,自分とターゲットの強弱関係を表すConsider機能で,画面の左上の円に色で表示される。さまざまな組み合わせがあるようで実はいま一つ見方が分からなかったのだが,装備品などでの特殊効果も反映されているようだ。むろん既存のMMORPGもメッセージの文字色で分かりやすくしようとはしているが,Tabula Rasaの場合は「色だけ」でより分かりやすい(信号機みたいな)。
 さらに,画面左下にはモンスターの位置を表示するレーダー機能だけが配置されている。"レーダーだけ"で留まっているのもなかなか斬新だ。一般的なMMORPGでは,この場所が用意されているときにはミニマップとなるのが多い(というよりもスタンダードとなっている)。しかし,これをあえてレーダー機能だけで済ますというのは,裏を返すと,分かりやすい地形構造をしているので,マップ表示の必要がないともいえる。確かに,あちらこちらへ移動するのにもほとんどがテレポートだし,一つのエリア自体をそれほど広くしていないのも,大きく関係しているのかもしれない。

■すぐにゲームの面白さを体験できるシステム

 本作では,近年のMMORPGのプレイスタイルの変化に伴って導入するタイトルが増えてきた"プライベートダンジョン"が通常ダンジョンのほかに用意される。これはミッションを受けると行くことができるダンジョンで,パーティを組んでいるメンバーしか入ることができなくなっている。ダンジョンへは,街(現実世界のようなものではなく,さまざまな場所へいける大きな駅のようなもの)に設置されているテレポートポイントに入るだけだ。迷子になってしまった友人や離れた場所にいる友人を一瞬で呼び寄せることができるので,ログインしてから"経験値の獲得ができる状態"になるまで(大きな目で見た場合,キャラクターの成長と切り離せない大事な要素ではある)の時間が驚くほど短くなっているのだ。待っててくれているパーティメンバーのところに行くのに20分も走らなくてもいいし,ワープさせてくれる人を延々と募集する必要もない。
 今年後半から来年にかけてリリース予定のタイトルには,いままでのように世界を冒険する楽しみというのではなく,タイトル自体の面白さを瞬時に体験できるようなシステムが導入されている。MMOという言葉の本来の意味から脱却するようなこのような流れは,MMORPGのマンネリ化が表面化してきてユーザー数の伸び悩みという問題を一気に解消できるかもしれない。

 ブースでのプレイを元に,ずらずらと補足的な情報を書いてきたが,全体的に見てみると,今までとは異なるユニークな部分が,相互的に絡み合って面白さを増大させているように思えた。パッと見では"ただ派手なだけじゃん"とか思うかもしれないが,なにか繰り返し遊びたくなるような"強烈な引きつけ"を受けるのも確かだ。このあたりはさすがロード・ブリティッシュの作品と感嘆せざるをえないが,これが筆者の個人的なもので終わるのか,ほかのMMORPGに広まっていくのかは,非常に気になる部分だ。(Seal)


→「Tabula Rasa」の記事一覧は「こちら」

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