[E3 2004#121]世界のバランスを管理する地政学シミュレータ「Super Power 2」 - 2004/05/16 20:28

 E3 2004でSCEや任天堂が圧倒的なコマ数を誇るWest Hallにブースを構えたDreamChater Intaracvive社。出展タイトルは,すでにリリース済みの「Painkiller」や「Besiger」,また同社が設立したのゲームブランド「The Adventure Company」からいくつかのアドベンチャーゲームというラインアップと,相変わらずバラエティ豊かなラインアップでデモンストレーションを行っていた。
 そんな同社のブースで,画面に地球儀がぼぉっと浮かび,なにやら細かい文字がぎっしり詰まったウィンドウが見える,明らかに異彩を放ったタイトルを発見。
 遠目にはジャンルすら見当がつかないそのタイトルの正体は,地球規模で政治/経済/軍事をマネジメントする"Global Domination"(世界統治)ソフト「Super Power 2」(以下,SP2)だ。

 このSuper Powerシリーズは,開発元のGolemlabs社が開発した人口知能エンジンEHE(Evolutive Human Emulator)を利用したストラテジーゲーム。地球上のあゆる国家間の軍事・経済バランスをコントロールして,世界の平衡を保つもよし,また侵略に侵略を重ねて一国家で世界の席巻も目指すも良しといった具合の,ストラテジーというより"地球規模の人間シミュレータ"といったほうがしっくりくるかもしれない。

 前述のようにプレイヤーができるのは,140の国家から一つを選択し,国の政治/経済/軍事の各方面に資金を割り当ててマネジメントすること。たとえば軍事力の増強のため産業の税率を引き上げたり(こうすれば資金面は安定するが,代わりに資源の枯渇や都市レベルの低下を招く),自ら戦車や戦闘機のデザインして,大量生産ラインを用意したりと,かなり多岐に渡って国家運営を行うことができる。
 前作「Super Power」は1週間を単位とした完全なターンベースであったが,今回は他国の侵略や長距離ミサイルの発射といった軍事行動はリアルタイムに進行するようになった。大陸間弾道ミサイルの表現は実に見事で,国家元首によるミサイルボタン押下と共に地球儀の表面を大量の放物線が敵国の領内へ侵入,さらにリアルタイムにミサイル発射を感知した敵国のAIは,内政と軍事のパラメータを瞬時に計算してすぐさま報復用のミサイルを発射してきたりもするのだ。





 グラフィックスに関していえば,前作でメルカトル図法により平面的に表現されていた世界地図は,さらにカメラの位置を引いて,地球の輪郭が画面上にスッポリと収まるように配置。つまり完全に地球を俯瞰する形となり,いかにも世界をコントロールしているような気分のビジュアルになっているのだ。画面の躍動感こそないが,地球の表面は昼夜の入れ替わりや天候の変化もキチンと反映されるため,環境シミュレータのように美しい地球の全貌を見ながらプレイすることができる。その文字情報の多さと相まって,実にマニアックにコアゲーマーの食指をそそるグラフィックスといえるだろう。
 さらに,都市レベルの細かいコントロールを行いたい場合は,GPSライクに地表をズームインすることができる。映画「エネミー・オブ・アメリカ」で一人の男のプライバシーを赤裸々に映し出す高精度のGPSカメラが登場していたが,そこまではいかないにしろ,地上の河川や山岳地帯などがキチンと確認できるレベルまでシームレスにカメラで寄れる。シミュレータソフトのインタフェースとして,見た目と使い勝手のバランスのとれた素晴らしい出来栄えだ。

 デモンストレーションの終わりに,今作のキーフィーチャーを端的に聞いてみたところ,最大32人までのマルチプレイとMODのサポートを挙げてきた。ちなみに今作の作成にあたっては,開発陣がFPSのMODコミュニティに発想を得た点が大きく,カスタマイズ要素を多分に含んだフレームワークの構築を念頭においてデザインしたと語っていた。MOD開発ツールも用意するといっていたし,これから先グラフィックスエンジンとはまったくまた毛色の違った人口知能エンジンを駆使した素晴らしいMODが登場することに期待したい。
 本作の発売は,2004年の第四四半期。20万本以上のセールスを記録した前作に続き,近頃数の減ってきた異色タイトルのスマッシュヒットが見られそうな予感だ。(Gueed)



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