[E3 2004#135]「Pacific Fighters」で,ゼロ戦に乗って大空を駆け巡れ - 2004/05/18 16:14

 オレッグ・マドックス(Oleg Maddox)氏は,IL-2シリーズでもお馴染みのフライトシミュレーションの大御所である。その彼が現在制作中なのが,アメリカ,イギリス,オーストラリア,オランダの四国連合と,それに対抗する日本から計40機をフィーチャーしたパシフィックシアターの決定版「Pacific Fighters」である。
 シングルプレイヤーモードのキャンペーンは1941年の"真珠湾攻撃"から始まり,ガダルカナルやタワラなどの南海洋はもちろん,ミッドウェイやシンガポール,アリューシャン諸島,硫黄島など16種類のマップが用意されている。最終的には1945年の夏,東京大空襲で終わるだろうとのことだった。
 ゲームエンジンは「IL-2 Sturmovik」を改良したもので,さまざまなパーティクル効果が美しい。機体の爆発や砲撃で残された黒煙はもちろん,水柱までが見事に表現されている。海の上だから水柱のあるシーンも当然だと考えるかもしれないが,実はこれが意外と重要で,今回は真珠湾や硫黄島など海岸線近くへの空爆でなく,戦艦「大和」や「武蔵」が撃沈されるミッションもあれば,ミッドウェイ海戦で大破した空母「赤城」などもあり,攻撃側/防衛側のどちらであれ,水柱は戦闘中の重要な指標であり,見た目の臨場感もずいぶんと変わってくる。

 マドックス氏の話していたことだが,太平洋戦争の中でも空母が登場は,その後の現代戦の戦術を激変させたことの一つ。確認できたのは,'20年代には完成していた日本の「赤城」で,プレイヤーは実際にゼロ戦を離陸/着陸させることが可能になっていた。また,近づけば甲板で作業にいそしむ乗船員や砲台に座って敵の襲来に備える海兵達も確認でき,このゲームエンジンの進化を感じた。
 Pacific Fightersに登場する戦闘機や爆撃機は,真珠湾でも活躍したAichi Val(愛知99式艦上爆撃機)のほかにも,Mitsubishi G4M Betty(三菱G4M 1式陸上攻撃機)やNakajima B5N Kate(中島 九七式艦上攻撃機)など。欧米からはスピットファイアMK1やSBDドーントレス,スーパーマリーンシーファイア,F6Fヘルキャットに加え,少なくとも4タイプのノースアメリカンB-25ミッチェル機が制作されている。さらに,硫黄島などでは日本軍が海岸線や山間部に対空用の要塞を構えており,ここでも九八式高射砲など陸上用兵器が見られる。ハードコアなフライトシムファンには,堪らないリストだろう。

 ドッグファイトは相当な迫力で,何十機もの戦闘機が入り混じっての空中戦は壮絶。かなりCPUを圧迫しそうだが,セットアップで機体モデルやテクスチャ,爆発効果の細かい設定もできるようになるという。空母に着陸するには相当な技術が必要だが,これも設定で調節して,空母への離着陸は自動で行えるようにもなる。このあたりは,初心者にも取っ付きやすいための心遣いだといえるだろう。
 まだシングルプレイヤーのキャンペーンに集中して制作中とのことで,マルチプレイヤーモードに関しては多くが公表されていない。しかしマドックスによると,32人までの対戦はサポートしたいとのことだ。

 Pacific Fightersは,欧米ではUBI Software社より2004年第4四半期にはりリースされる見込みだ。(奥谷海人)

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