e-Racer
Text by mog
5th Oct.2001
★ 本レビュー記事は英語版を元に書かれています ★
イマジニアから日本語版がリリースされる予定の「e-Racer」は,いわゆるアーケード系に属するレースゲームだ。ここでいうアーケード系とは,実車さながらのりアルさでシミュレートしているものではなく,爽快感やエンターテインメント性を重視していて,気軽に繰り返し遊べるという意味。
開発元のRage Softwareは,派手な爆発シーンや金属質なグラフィックスなどの独特な色使いが特徴的なアクションゲーム"Incoming"をリリースしたことで知られる。本作も,車体だけでなく,背景のグラフィックスに同社の特徴がよく表われている。
"e-Racer"のeとは,Evolution(発展),Eccentric(奇妙),Entertainment(余興),Extreme(過激),Excite(興奮)を表しているようで,まさに過激なレースを楽しめるのが本作の特徴なのだ。
ただのレースゲームではない要素
ゲームモードは,全14戦を走りぬく"CHAMPIONSHIP",練習に最適な"ARCADE",一台でコースを走りタイムを競う"TIMETRIAL",サーバーに接続してマルチプレイをする"ON-LINE",サーバーに接続しない"LAN"の五つが用意されている。Onlineモードでは,サーバー側に"ドライバーズポイントランキング"や"コース別ベストラップ"などの各種データが保存されるようになっていて,世界ランキングを参照することもできる。なおOnlineモードをプレイするには公式サイトの「ここ」でアカウントを作成する必要があるので注意。
本作に登場する車は8台。"グランドシビック"や"CR-Xデルソル"のリアのシルエットの雰囲気などがあり,みんなどこかで見たような感じとなっている。ゲーム開始直後は2台しか使えないが,CHAMPIONSHIPモードをクリアしていくことによって順次増えていく。
コースは14種類が用意されているが,いわゆるサーキットと呼べるものは一つもなく,市街地や山間,はたまた航空母艦の上にコースが作られているのだ。直角カーブや段差のない交差があるなどトリッキーなコースばかりで,ブレーキングを誤ってオーバースピードで段差に進入してしまうと,思いっきり派手なクラッシュは免れない。というよりも,コーナリングの角度を間違うと出口で壁に激突したり,クルマがジャンプした後に直角カープが待っていたりと,まともに走れないようにコースが構成されているといっても過言ではない。極めつけは"Indy
Oval"というコースで,通常のオーバルコースにオフロードコースが待ち構えているのだ。
筆者のオススメコースは,"Fishing Villege"。コース幅が比較的広めとなっており,城,海岸,町中と三つの異なるシチュエーションがめまぐるしく変わるのが魅力的だ。
コースは前述したようにトリッキーなものが多く,狭い部分を"すり抜ける"ように走破しなければならない部分もある。そこを10台近くのマシンがひしめき合って走るということは,必然的に衝突する。本作ではマシンのダメージをパーセンテージで表示していて,66%以上になると黒煙を吐き出してまともに走らなくなってしまうのだ。
CHAMPIONSHIPモードでのランキングは,賞金額で決定するというユニークなもの。スタート時に30000クレジットが配られ,レースが終了したときにダメージを修理する費用が差し引かれるのだ。むろん順位が下のほうで賞金が得られなければ,賞金額はどんどん減少していく。このモードでは,ダメージをいかに抑えながらトップを狙うっていくかというのが面白いのだ。
またマシンの設定には,4種のスキン(カラーリング)と10種のホーン(クラクション)の選択がある。「え?ホーン?」と首を傾げてしまうが,ここはRage
Softwareの遊び心溢れる部分といってもいい。レース開始直後のコーナーなどでひしめき合っているときに,クラクションを鳴らしまくりながら「オラオラオラッ」という気分で走るのは意外にも気持ちよかったりする。
独特な操作に慣れるまで練習が必要
本作がアーケード系に属するレースゲームというのは前述した通り。セガラリーやリッジレーサーでは,簡単にドリフトを楽しめるという点がエンターテイメント性や爽快感をアップさせることに使われているが,本作では,フロントに過大なグリップ力を持たせて,独特の操作感を生み出しているのだ。
レースシミュレータであれば,マシンの挙動は現実に沿っており,コーナリングの基本はスロー・イン・ファースト・アウトを守らなければならない。これを外すとコースを1周することすらままならないのだ。コーナー侵入時にスピードをきちんと落とさなければ,現実どおりにアンダーステアとなってしまい,アウトサイドに大きく膨らんでしまう。
本作では,コーナーへはインから入り、最小限のブレーキングと同時にクルマを外側に振り,オーバースピードくらいの感じでインに切れ込んでいくのだ。ラリーカーのようにフェイントモーションを常にかけてコーナーを抜けていくというのがピッタリくるだろうか。またエンジンブレーキが強く設定されているので,微妙なアクセル操作も重要となる。
コンシューマ系の手軽さを持っているので,短時間に楽しむにはうってつけの本作。ゲームの難易度も二種類用意されていて,上級モードではある程度やりこんでいても簡単には勝てないくらいのバランスとなっている。
エンターテイメント性が高いといってもやはりレースゲームで,ラップタイムを競うのに熱くなってしまう。ハナからオンライン対戦を念頭に置いた設計だし,新コースの配信も予定されているので,ランキング争いが白熱するかもしれない。"オペレーションフラッシュポイント"で本気を見せたイマジニアの,今後のサポートにも大きく期待したいところだ。
|