anan「無人島に一緒に漂流したくない男」の第1位に選ばれたGueedが今回ハンドリングを試みるのは,日本風だけど日本生まれじゃないファンタジーRPG「Sudeki」。XboxのRPG不足を補うために生み出されたと噂される本作は,単に期待のRPGであるにとどまらず,「日本でのゲーム機の普及には看板RPGが不可欠」という重い責任を背負わされている。「日本でのゲーム機の普及には俺が不可欠」というポジションを目指すGueedの,今回の奮闘やいかに?
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「無人島に一つだけRPGを持っていくなら?」と聞かれたら,筆者は迷わずスーパーファミコンの「ロマンシング サ・ガ 2」を選ぶ。世代交代して脈々と受け継がれる主人公キャラクターの血統,のちにサガフロンティアシリーズに受け継がれる「閃き」システム――。とくに閃きシステムは,「技を覚えた瞬間,頭の上の電球がピカッと光る」という,お釈迦様か小学生にしか思いつかないような斬新なアイデアで筆者を魅了した。戦闘のザックリ感良し,音楽良しと,まさに筆者の理想のシングルプレイRPGがロマサガ2なのである。
ちなみに,暇つぶしに忙しそうな編集部スタッフに同じ問いをしたところ,ほとんどが「無人島にRPGなど持っていかない」という,これまた小学生以下の答え。忙しいと,心もこんな風に荒むらしい。気をつけよっと。
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主人公のTal。巨大な剣を振り回す戦士であり,主に近接戦闘系のスキルを使いこなす。なんとなく想像のつく通り,おてんばなAilish姫といい感じ |
そんな筆者が,おそらくはありえないロマサガ2の復刻を夢みつつ今回紹介するのは,北米で2004年7月20日にMicrosoftから発売されたシングルプレイRPG「Sudeki
−スデキ−」だ。ちなみに本作は,日本語版の発売も予定されている。
開発元は「Moto GP」シリーズや「Tron 2.0:Killer App」(Tron 2.0のXbox版)に携わった,英国のデベロッパClimax社。E3
2003での発表時,同社スタッフが「FFノヨウナRPGガツクリタイ」みたいな発言をしたらしく,一本道のストーリー,しかも"女性キャラクターは青い髪"という日本における萌えシーンの鉄則を押さえるなど,強く和製RPGを意識した作りになっている。
本当かどうかは知らないが,タイトルの「スデキ」も,日本語の"素敵"が濁った結果との噂もある。不幸中の幸いで,さらに濁って"ズデギ"にならなかった本作は,マジメなソフトをマジメな筆者が紹介するというハンドリングXboxのコンセプトに合致する,とっても素敵な生い立ちのタイトルなのだ。
本作の舞台は,剣と魔法,そして銃ぐらいはギリギリ作れる程度の科学力があるファンタジー世界。英語での紙芝居ライクなオープンニングを要約したうえで噛み砕くと,光と闇に引き裂かれたHASKILIAの世界を統合するため,4人の英雄が力を合わせて立ち上がるという,壮大かつ,いい意味で安心できるほど王道なストーリーとなっている。
プレイヤーが操作するのは,Tal(わんぱく小僧:剣士),Ailish(おてんば姫:魔法使い),Buki(セクシー半獣人:武道家),Elco(メガネ科学者:ガンナー)の4名。といっても,プレイヤーが一度に操作できるのは1名だけで,あとの3名はAIが担当する。ちなみに,パッケージ写真の中央で誇らしげに栄養の偏った胸をせり出しているのはAilishだが,本当の主人公は向かって右側にいるTalらしい。
さてゲームの進行は,挿入ムービー(長い)を見ながら,次々とアップデートされていくクエストを次々とクリアしていくタイプ。マップは基本的に"道"で接続されているため,移動してはちょっと広い場所で戦闘,街に着いたらクエストアップデート……という流れになる。
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左が通常移動時の三人称視点で,中央がAilishとElcoの戦闘画面となる一人称視点。またどのキャラクターでも,通常移動時に左トリガを引くことで,眺めのいい一人称視点に切り替えられる |
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序盤でも十分に派手なエフェクトを楽しめるSudeki。こういった導入部の爽快感は,多くが地味な出だしでとっつきの悪さを見せるPCゲームに,ぜひ見習ってほしいところだ |
このように,流れ自体は至ってシンプルなのだが,こと成長・戦闘システムに関しては要注目。先ほどプレイヤーは4名のキャラクターを操作できると説明したが,この4名,得意なワザはおろか操作体系もまったく異なるのだ。
具体的には,戦闘時,近接攻撃系のTalとBukiは3人称視点に,魔法や銃といった遠距離攻撃系のAilishとElcoは1人称視点,つまりFPSになるのだ。いやホントにFPSなんですよこれが。
TalやBukiの戦闘は,XボタンとAボタンで,「X>A>A」や「A>X>A」という具合にコンビネーションを作ることで,複数のワザを繰り出すことができる。ボタン押し方のタイミングといい技の出方といい,このあたりは「ファンタシースターオンライン」にそっくり。
一方AilishとElicoの戦闘はまさにFPSで,左右のアナログスティックでそれぞれキャラクターとレティクルを操作して魔法や銃弾を撃ち出して戦うことになる。いずれにせよ,本作の戦闘はかなりアクション性が高い。
また本作の戦闘をグッと面白く奥深いものにしているのが,戦闘中に発動できる"SKILL"と"SPIRIT
STRIKE"の存在だ。
前者はHPバーの下に表示されるSPバー(つまり"マナ"ですな)を,後者はキャラクターアイコンの左側にある円弧のゲージを消費して発動するのだが,このエフェクトの派手なこと。この両スキル,序盤からガンガン使えるにも関わらず,FFの召喚シーン並にきらびやかなエフェクトを見せてくれるのだ。
スキルの効果もシンプルな範囲攻撃から,一直線上の敵を貫通するものなど多彩。戦闘時のクイックメニューのYキーを押すとバレットタイムに突入し,コマ送りで動く敵を尻目に各種大技を繰り出すという仕組みだ。
またBlacksmithのもとを訪れると,有料で武器や防具に魔法の追加効果を付与できる。またキャラクターのステータスは,レベルアップごとにポイントを割り振れるので,かなり自由なキャラクター作りが可能なのだ。
さて,ここまでを総合しつつ本作を端的に言い表すなら,「シングルプレイ専用のファンタシースターオンライン,ちなみに戦闘は派手にしました」という感じ。タイトルといい微妙なパッケージイラストといい,かなり不安なタイトルだったが,なかなかどうして,結構面白いじゃないのこれ。ただネイティブでも聞き取りにくいと評判なヨーロッパ訛りの英語はちょっと厄介なので,英語がダメな人は素直に日本語版の発売を待ったほうがいいかもしれない。
言いたいことはいくつかあるんだけど,一番問いたいのは,本作のゴア表現について。敵を倒すと「ポスタル」顔負けのおびただしい量の血が噴出してくる。ESRBのレーティングで17歳以上向けを表す「M」の表示になってるけど,そりゃこんだけ血ぃ出したら"マリオ"だってMつけられちゃうっつーに。
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Ailishが習得可能な,美しいエフェクト付きSkillをひと通り発動してみた。ちなみにAIにキャラクターを任せるときは,A(Attack:攻撃),D(Defend:主人公を狙う敵を攻撃),R(Retreat:戦闘を回避する)の3モードがある |
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ショップ,インベントリ,マップなどの文字情報画面。クエストログの見かたなどは,最初にキチンと学んでおかないと,後でとんでもなく足止めを喰うので注意 |
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本作の英語は相当聞き取りづらい。しかも,部分的に字幕の出ない挿入ムービーも…… |
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