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印刷2022/07/04 13:00

業界動向

Access Accepted第728回:静かに,そして急速に展開するメタバース市場

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 IT業界におけるニューフロンティアと目されているメタバース。アメリカでは各業界から約500社がメタバース事業に参入しているが,Metaのようにビジネスの主軸をメタバースに完全に切り替えてしまう企業だけでなく,メタバースを使って生き残りを図る地方自治体までが登場している。そうした,メタバースのある未来に向けて動き出している現状をまとめておこう。



規格化が進むメタバース産業


 リサーチ企業Newzooが公開した「Newzoo Trend Report 2022」関連リンク)によると,自前でメタバースの開発を表明している企業は約500社あり,前年の同社の調査数である約200社の,実に2.5倍に達している。2021年10月に,四大IT企業の一旦を担うFacebookが,正式社名を「Meta」に変更した際には,まだ“メタバース”という用語を知らない人も多かったと思われるが,今ではゲーム業界を含むさまざまな分野から,まだ未開拓状態のメタバース市場に向かって漕ぎ出す企業が続出している。

Netzooが紹介する約500社の内訳は,北米で展開しているサービスや企業に限定されているようだが,現時点でメタバースとの関わりが少なそうな,「Grand Theft Auto Online」などのロゴもチラホラ。ただし,Rockstar Gamesの次回作はナンバリングを外し,より恒久的な世界の構築を目指しているというウワサもある(画像はNewzooより)
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 レポートによると,メタバース関連分野は「Fortnite」や「Roblox」などのゲーム系サービスを含む「ゲートウェイ」や,ここ最近のゲーム市場の話題を握る「ブロックチェーンゲーム」のほか,アートワークの独占の売買に関する「NFT PFPコレクション」,さらに「ソーシャル & ミーティング ハブ」,「マーケットプレイス」,「AI」,「ユーザーインターフェイス」,「ビジュアライゼーション & デジタルツイン」,「ブロックチェーン インフラストラクチャー」など多岐に及ぶ。

 各企業の一攫千金ビジョンに消費者が取り残されている印象の現メタバース界隈だが,本誌ニュース記事「“オープンメタバース”の世界へ大きく前進。Meta,SIE,Microsoft,NVIDIAなどが規格標準化団体Metaverse Standards Forumを発足」関連記事)でも紹介しているように,まずは足場を固めようという動きも出始めており,ここには多くのゲーム関連メーカーが絡んでいる。
 この標準規格がどのようなものに発展していくのかは,まだ第1回のフォーラムも開催されていない現時点では想像するしかないが,どんなハードウェアを使っていても,自分の好みのゲートウェイやマーケットプレイス,ソーシャルネットワークに自由にアクセスしたり,ゲームを数珠つなぎ的にプレイしたりできるような,まさに誰にでも開かれた“オープン・メタバース”が実現すれば,嬉しい限りだ。

ソニー・インタラクティブエンタテインメントやMicrosoft,Meta,NVIDIAに加え,Epic GamesやUnity Technologiesも加わるMetaverse Standards Forum。より多くの企業や団体,個人が参入しやすい環境を作り,より効率よく安全なメタバースの構築を目指してほしいところ
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静かなイノベーションが進められているメタバースの現状


 そんなメタバース界隈を現状でリードしているのは,やはりMetaだろう。同社は,2021年12月から「Meta Quest 2」を使ったVRソーシャルプラットフォーム「Horizon Worlds」を無料公開している。
 「Horizon Worlds」は,“プラザ”と呼ばれるハブにアクセスして,他の参加者とコミュニケーションが取れるサービスだ。専用の開発ツールも用意されており,ユーザーが作成したコンテンツ(UCC,ユーザー・クリエイテッド・コンテンツ)で遊ぶこともできる。Metaが手掛けた具体的なメタバースの第一歩となるプロジェクトだ。
 今のところ,まだ対象年齢は18歳以上であるし,そもそもVRデバイスがメインストリーム化していないというハードウェア面でのハードルがあるものの,どこか「Roblox」と「VRChat」を掛け合わせたような,マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)氏が夢見る,メタバースの未来の一端が垣間見えるはずだ。
 今後,建築や工業デザイン,マシニマなどのプロジェクトに威力を発揮するNVIDIAの「Omniverse」のようなビジュアライゼーション機能や,NIKEやIKEAなどのメーカーが推進するVRショッピング,さらには「Facebook」の進化型となる家族や友人とのソーシャルアプリ的なものが拡張していけば,さらにメタバース世界が見えてくるはずだ。

Metaの「Horizon Worlds」では,かなり頻繁にアップデートが行われている。「ハビタット」や「セカンドライフ」の頃よりも,各段にマルチバース的な世界に近付いていることを感じさせる,現在の最先端と言えるだろう
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 MetaはVRヘッドセットなどハードウェアを含めたメタバース関連ビジネスの中核であるReality Labsに,2021年中だけで100億ドルを投資したことを,2022年初めの業績報告会でアナウンスしている。その直後から株価は急落しているような状況ではあるものの,メタバース産業の第一人者たるべく強気に事業開発を進めるザッカーバーグ氏の青写真が,今後どのように実現されていくのか,もしくは違う方向に進んでいくのかは,そう遠くない時代に判明するはずだ。

 こうした,メタバースの未来に投資するのは民間企業ばかりではなく,地方自治体にも機をうかがう所がある。ディズニーワールドを抱えることで知名度はそれなりにあるフロリダ州オーランド市は,2022年5月にメタバース関連事業の誘致を図りつつ,“メタバースの中心”となるべく「MetaCenter」というプロジェクト(関連リンク)を発足させた。
 もともと,軍事産業絡みでのエンジニアを抱えていたオーランド市だが,Web3関連に精通するフューチャリストとして知られるキャシー・ハッケル(Cathy Hackl)氏が率いるJourney社(関連リンク)が仲介役となって,さまざまな企業や団体が集まった。近年でもElectronic ArtsやUnity Technologiesなどの誘致に成功していたが,さらにAI,3Dビジュアライゼーション,IoTといった企業との連携も行っていく。
 ゲーム開発では全米トップランクにある中央フロリダ大学といった,複数の大学も参加しており,学生数はトータルで5万5000人を超えるという。将来的には“デジタルツイン”となる仮想世界版のオーランド市を作り出して,企業や教育機関などにも開放し,ここからイノベーションを生み出す構えであるらしい。

ハックル氏が立ち上げたコンサルタント企業Journeyは,6月17日にNASDAQ公認によるバーチャル上場セレモニーを行い,自社サービスの「Core Metaverse」に加え,「The Sandbox」,「Roblox」,「Fortnite Creative」,「VRChat」などにもバーチャルオフィスを開設した
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 メタバースはさまざまな分野の団体や企業が関わっており,1つの大きな成長産業と捉えられているのは間違いないだろう。ゲームやバーチャルコンサートなどのエンターテイメントが,多くのユーザーを集めるための呼び水となり,そこから発展していく可能性も十分にある。Metaやオーランド市,そして世界にまたがる何百社という企業は,今のところはまだ先頭争いをしているような状況ではあるものの,ここから数年後には何が形作られているのか興味が尽きない。

オーランド市の遠景(MetaCenter公式サイトより)。官民共同メタバースプロジェクトというと,KDDIと渋谷未来デザイン,渋谷区観光協会などが提携する「バーチャル渋谷」があるが,オーランド市はさらに踏み込んだデジタルツインを,JourneyやUnity Technologiesとの協力で推進しているという
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 メタバース分野への先行投資はまだまだ続き,2030年には13兆ドルまでに成長しているだろうと,ファイナンシャルサービスグループのCitiは報告している。
 とはいえ,決して順風満帆というわけではなく,ロシアによるウクライナ侵攻の影響で,世界経済は冷え込みつつあり,この投資もいつまで続くかは分からない。願わくば,このまま成長を遂げて,メタバースによる新しい世界を見せてほしいところだ。

著者紹介:奥谷海人
 4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。
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