連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第583回「『Book of Demons』が面白い」
アイテムがカードで表現されているんだけど,カードゲイムではないという。ハック&スラッシュの要素もあって,でもダンジョンの長さは選べるからテンポもいい。
……うーん,何の説明にもなってないわね。でも,とりあえず感想をつらつらと述べてみるわ。
グラフィックス的には,人物の描き方は必ずしも美しくも緻密でもないんだけど,味として認識できる。でもしっかり冒険している感があって面白い。ストーリーはあってないようなもんだけど,先に進んでいる実感はある。理不尽な敵が出てくるでもなく,でも簡単すぎるわけでもなく。すごく不思議なゲイムよ。一言で言い表せない感じ。
ただ,そんな言い表せないゲイムだけど,面白いしどんどん先に進みたくなる。なんとなくダラっとゲイムしたい人には強くオススメですよ。アイテムだったり技だったりを装備して進むんだけど,種類が多くていろんな方法を試せるのもいいわね。どれを選んでも何とかなるってのもまたいい。クセは強いけどストレスはあんまりなくて,延々と遊んでいられる。
強いて気になった点を挙げるとすると,ゲイム立ち上げ時のロード時間が長いってことくらいかしら。ただ,頻繁にロードがあるということではないので,そこまででもない。あとは全体的に地味ってところくらいかしら。プレイ中に派手な展開があるわけではないので,続きが気になる! という感じではないわよね。ただ,なんとなく寝る前にプレイするタイプのゲイムが好きならばそれは短所にはならない。そんな感じのゲイム。
いや,けっこうな安定レベルの面白さだと思うわ。こういう雰囲気のゲイムが好きな人は,プレイしてみてはいかがでしょうか。
とまあ,ここまでが今週プレイしたゲイムの紹介で,連載本編はこんな感じです。以下は私が先週書いていた「ネットでの誹謗中傷を目にする機会が増えるのはイヤだなあ」についての続報です(関連記事)。決して明るい話ではないうえ,ゲイムには直接関係のない話なので,連載としてはいったん〆てから思いの丈をしたためます。
来週も,この時期に見つけたちょっとしたオススメインディーズゲイムをご紹介いたしますので,もしお時間がありましたらお読みくださいませ。ではまた来週!
というわけで,連載ロスタイムを。繰り返しますが,私,先週この連載で「ネットでの誹謗中傷を目にする機会が増えるのはイヤだなあ」と書きました。
しかし先日,悲しい出来事が起きてしまいました。プロレスラーの木村 花選手が亡くなってしまったのです。大きく報道されているので知っている方も多いかと思います。
花ちゃんと私は,日ごろから連絡を取るような間柄ではなく,花ちゃんから見た私はただのモブキャラの業界の先輩の一人だっただけでしょう。ただ,花ちゃんのお母さんが元プロレスラーで,お母さんと私は同い年。なので私から見ると,花ちゃんは小さい頃から知っている存在でした。
子供からしてみたらたいした記憶はないけれど,近くに住んでいたおじさんにとってはよく覚えている存在っていう,近所でよくあるような距離感。だから,おじさんとしては悲しくて仕方がないわけです。
今回のことで今ハッキリしているのは,花ちゃんがSNSで不特定多数から激しい誹謗中傷を受けていたこと,そして花ちゃんがいなくなってしまったこと。それのみ。因果関係は分かりません。発表がない今,外野が憶測で結び付けちゃいけないと思います。
ただ,SNSでの誹謗中傷についてはもう,何かしらの対策を具体的に考えるべき時期が来たんじゃないかなと思っています。私の考え方を述べると,「人を裁くのは人であってはならない」です。
現に,誹謗中傷した人のアカウントに攻撃的な言葉を投げかけている人が見受けられます。私も花ちゃんに誹謗中傷した人は裁かれてほしいと思っています。ただし,それは法に基づいた適正な手続きを踏んだものであるべきです。決して一般の誰かが行動すべきではない。
なぜなら,日本は法治国家だからです。誰かが悪いことをしたら,ほかの誰かがその悪いことをした人を殴っていいわけではない。それがまかり通れば,世界は殴る力が強い奴のためのものになってしまう。それじゃあいけないってことで,長い歴史を経て生まれたものが法なのです。
例えば「あいつが誰かを殺した。じゃあ俺があいつを殺そう」という考え方が危険なのは分かってもらえますよね。本来は,ネットでも同じはず。でも,現状のネットでは正義の名のもとに凶器を振り回す人が少なくない。みんな「言葉が凶器になり得る」ってこと自体は頭では分かっているんです。
でも,やはりその凶器を他人に向けたときの罰則がなかったり,あいまいだったりするから,凶器を使ってしまっている。だからそれに歯止めをかけられるような制度を用意してほしい。心からそう思う。
もはやここまで普及してしまった今,ネットは「イヤなら見なきゃいいんだよ」って場ではない。「誰かを傷付けそうな奴はやらないほうがいい」段階に突入したと私は思うんです。シンプルに,そのほうが平和じゃないか。そのための制度はあっていいんじゃないか。
もっとも,何をもって「誹謗中傷」と判断すべきかの線引きはとても難しいし,表現規制に結びつくような線引きがされてはならないと思う。どんな思想であれ,声を上げる権利が制限されてしまってはいけない。ただせめて,一般人に対してであろうが著名人に対してであろうが,特定個人に対する不特定多数による誹謗中傷に歯止めをかけるような制度はあってほしい。
今必要なのは,もはやネットリテラシーなんて誰が守るか分からないぬるい概念ではなく。使い方を間違ったときに負わなければならない責任を明確化することじゃないだろうか。私はそう思います。ただ,繰り返しになるけれど,それが表現規制に結びつくようなものにならないよう,迅速かつ慎重な議論が進んでほしいとも思っているのです。
ちょっとだけ話が逸れます。「花ちゃんが出演していた番組や出演者が花ちゃんを殺した」という人がいるけども,それは違うと私は思っています。花ちゃんが嫌々番組に出ていたのか? 番組が何かを強要していたのか? それは今のところ分かっていません。
その状態で誰かや何かを殺人者扱いするのは,それこそ誹謗中傷でしょう。出演者が亡くなってしまった以上,番組の在り方を問うのは必要なことかもしれない。けど,それとは別に根拠なく憶測だけで誰かを殺人者扱いする権利は誰にもない。
「君が人を殺した」って知らない人に無根拠に言えてしまうのって,普通に怖い事態ですよ。なのに,ネットだと相手と顔を合わせないから麻痺して言えてしまう。ここが恐ろしい。誰が人を殺したのかを認定するのも,本来は法に基づいて,最終的には司法に委ねられるものなのです。あなたではないし,私でもない。そのルールで今の世は成り立っているんです。
もちろん法がすべてのケースで正しいとは思わない。法の抜け穴を利用する者も出てくる。それでも,人はそれぞれ考え方が違うからこそ,皆がとりあえずは法を基準に生きていかなきゃまとまらないじゃないですか。それは本来,世界のどこにいてもつながることのできるネットでも同じことのはず。
今回のケースでなくとも,ネットを利用していれば誹謗中傷を目の当たりにする機会もあるし,多くなってきた。それは,ゲイムに対してもそうで。人じゃなきゃいいって話ではない。作品やサービス,商品について個人の意見や感想を正直に発する自由はあってもいい。ただ,それを直接ぶつける形で強い言葉で発してしまうと,相手や関わっている人達を追い込んでしまう可能性がある。企業が運営しているSNSだって,その向こう側には人がいるのだから。
他人がどうって話じゃないです。この連載だって思ったことを文字にする場だから,誹謗中傷にならないかに留意して言葉を使わなきゃいけない。今回,あらためてそう思いました。
最後に。上記の私の意見や希望とは一切関係なく。ただ純粋に,木村 花さんが安らかに眠られることを祈ります。
今週のハマりゲイム
PlayStation 4:「FINAL FANTASY VII REMAKE」
Nintendo Switch:「Book of Demons」
iOS:「龍が如く ONLINE」
iOS:「ハンドレッドソウル」
iOS:「ウイニングイレブン カードコレクション」
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