連載
インディーズゲームの小部屋:Room#654「Overcrowd: A Commute 'Em Up」
先日,65歳の若さでこの世を去った希代のギタリスト,エディ・ヴァン・ヘイレンを悼みつつお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第654回は,SquarePlay Gamesの「Overcrowd: A Commute 'Em Up」を紹介する。本作は,乗客の要望に応えながら自分好みの地下鉄駅を建設していくという,街づくりならぬ“駅づくり”シミュレーションゲームだ。故人の冥福をお祈りします。
本作の舞台は,今日も多くの人が行き交う賑やかな都市ラブデンタウン。プレイヤーの目的はこの都市に地下鉄の駅を建設し,より快適で便利な交通ネットワークを築き上げることだ。Steamのストアページの紹介文ではラブデンタウンだが,ゲーム内ではなぜかロブドンタウンと呼ばれていることは気にしちゃいけない。
地下鉄駅を作るには,さまざまな手順が必要になる。まず必要なのは,駅の敷地内にフロアを設定すること。本作では,最大で地上1階,地下3階の4層構造の駅を建設できるが,フロア面積が広くなるほど多くの資金が必要となるので,まずは地上に小さめの駅を作るところから始めよう。
次に必要なのが,線路を敷くこと。線路はあらかじめ設定された場所にしか敷設できないので,フロアを作るときはきっちり線路と接するように注意が必要だ。ほかにも,到着した電車のどちら側から乗客が乗り降りするかを決めたり,券売機や改札を設置したりと,やるべきことはまだまだある。
そして,こうした一般人の目に見える設備と同じくらい重要なのが,発電施設などの裏方の設備だ。ユーティリティ室を作って発電機を設置したり,道具室を作って掃除用具などをしまったり,駅員達がゆっくり休めるように休憩室を作ったりすることも忘れてはならない。ひと通りの準備が整ったら,駅のエントランスを開いて乗客を迎え入れよう。
本作では,一定数の乗客を送り出すなどの目標を達成することで市から債券が発行され,これを使って新しい道具や施設をアンロックしたり,車両の編成を増やしたりできる。すると,それを見計らったかのように乗客達が疲れただの,売店が欲しいだのと要望を言い始める。これを放っておくと駅の評判がどんどん下がっていき,ゼロになるとゲームオーバーだ。くっ,人の気も知らないで勝手なことを……。
こうならないよう,ホームにはベンチを置いたり,新聞の販売スタンドを設置したりしてきめ細かいサービスを提供しながら,駅構内の清掃や故障の修理を行い,さらには駅員達の体調や勤務スケジュールにも気を配るなど,地下鉄駅の仕事は本当に忙しい。駅の運営を軌道に乗せるまでに,何度も失敗を重ねることになるだろう。電車だけに。
本作は比較的しっかりと日本語ローカライズされているが,なぜか脱字や文字化けが多いのがやや残念なところ。しかし,ちまちまと動き回る乗客や駅員を眺めながら,じっくりと腰を据えて,自分だけのこだわりの地下鉄駅を作り上げる楽しみが味わえるゲームに仕上がっているので,この手のゲームが好きな人にぜひオススメしたい。そんな本作はSteamにて,2050円で発売中だ。
■「Overcrowd: A Commute 'Em Up」公式サイト
https://overcrowd.co.uk/- この記事のURL:
キーワード