連載
インディーズゲームの小部屋:Room#687「Papetura」
2歳の姪っ子と遊んでいると,時間がいくらあっても足りない筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第687回は,Petumsの「Papetura」を紹介する。本作は,2人(?)の妖精が力を合わせて,“紙の世界”に害をなすモンスターに立ち向かうというポイント&クリックアドベンチャーだ。今月が誕生日なので,何をプレゼントしてあげようかな(甘やかしすぎ)。
ゲームの舞台となるのは,すべてが紙でできている世界。“花の牢”に捕らわれていた主人公のパペがなんとか外に出てみると,そこでは闇のように真っ黒いモンスターがあたりに火を放ち,世界を燃やし尽くそうとしていた。ヘンテコな仲間のチュラと出会ったパペは,力を合わせてこのピンチに立ち向かうことに……。
本作は可愛らしくて不思議な世界観が魅力のポイント&クリックアドベンチャーで,プレイヤーはパペを操作してゲームを進めていく。相棒のチュラは,黒猫と一反木綿を足して2で割ったような姿で,紙でできた毛玉(?)を飛ばしたり,拾ったアイテムを口の中にしまったり,舟のオールに使われたりと,道具のような扱いを文句一つ言わずに引き受けてくれる,頼もしい存在だ。
ストーリーや会話に文字を一切使わない手法や,思わず目を奪われる緻密なビジュアルが,「Botanicula」や「Machinarium」で知られるAmanita Designの作品を彷彿させるが,本作のグラフィックスはただの手描きイラストではなく,その制作過程はさらに驚くべきものとなっている。なんと,ゲーム内のすべてのものが,本物のペーパークラフトで作られているのだ。
メイキング映像を見ると,まず手描きでイラストを下書きし,それをPCに取り込んで3Dモデルを作成。それをバラバラに分解してプリントアウトし,無数のパーツを切ったり,貼ったりしてペーパークラフトを作っているのが分かる。そして,完成したペーパークラフトに照明を当てて撮影し,それをもう一度PCに取り込んでゲーム内で使用するという,途方もなく根気のいる作業が行われているのだ。
肝心のゲーム内容は,のんびりとプレイしても3時間ほどのボリュームで,謎解きもそれほど難しくない。さらにヒント機能も搭載しており,ゲーム内の会話がすべて吹き出しに描かれたイラストで表現されていることもあって,子供から大人まで安心して楽しめるゲームに仕上がっている。そんな本作はSteamにて1220円で発売中なので,驚異のペーパークラフトに魅かれた人はもちろん,Amanita Designのファンもぜひ遊んでみてほしい。
■「Papetura」公式サイト
https://papetura.com/- この記事のURL:
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