インディーズゲームの小部屋：Room＃702「The Architect: Paris」

　いまだに不織布マスクの裏と表の見分けが付かない筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第702回は，Enodo Gamesの「The Architect: Paris」を紹介する。本作は，都市再開発プロジェクトに参加した建築家となって，パリの街を自由に作り替えていくという都市建設シミュレーションだ。家に帰って，一日中，マスクの表裏を間違えていたことに気付いたときのショックときたら……。


　本作の主人公は，都市再開発プロジェクトに参加することになった建築家。すでに多くの建物があるパリのさまざまな区画を，行政などの依頼や要望に基づいて再開発していくのがゲームの目的だ。ジャンルとしては都市建設シミュレーションということになるが，ほかのゲームと大きく違うのは自分で一から街づくりをするのではなく，すでにある街並みを作り替えていくという点だ。

　ゲームモードは2つあり，メインとなるのが各所からの要望に応じて街並みの再プランニングを行っていくキャリアモード。これをある程度進めると，自由な街づくりができるサンドボックスモードが解禁される。


　本作には，街の大まかな区画割りを示した「ストラテジック・マップ」というシンプルな地図と，上空から街の景観が見られる「シティ・ビュー」という2種類の表示形式があり，街づくりはストラテジック・マップで再開発を行う区画を選ぶところから始まる。キャリアモードでは，再開発が必要とされる区画にマークが表示され，それ以外の区画を勝手に作り直すことはできない。


　プロジェクト対象となる区画を選択するとシティ・ビューに移行するが，実際に再開発を行うのは，そのエリア内でもさらに小さい一区画のみ。シティ・ビューでその対象となるブロックや建物を確認したら，「ドローイング・ボード」（製図板）というツールを開いて，いよいよ再開発に取り掛かることになる。ふう，だいぶ説明が長くなってしまった……。


　対象エリアの再開発では，好きな建物や公園などを設置するのはもちろん，そのエリア内の区分けを，さらに細かく自分で変更することもできるなど，かなり自由度の高い街づくりが可能だ。ただし，それぞれの再開発プロジェクトには，予算の上限や建物の高さ制限，必要な建物の種類や面積など，さまざまな条件や要求項目があるので，それらをきちんと満たせるように再開発を行う必要がある。


　ひと通りの開発を完了し，仕上げに自分が作り上げた街並みの写真を撮影すると名声ポイントがもらえ，これを使って新しいデザインの建物をアンロックできる。中世風の落ち着いたデザインのものから，パリにはそぐわないSFチックな見た目のものまで，多彩な建物が用意されているので，こだわりの街づくりが楽しめるだろう。


　本作には電気や水道などのインフラ整備や，住民の幸福度といった街づくりゲームで定番の要素はなく，機能的で美しい街並みを作ることだけに専念できる。また，上述のとおりパリの街は基本的にすでに完成しているので，自分が手がけた区画がどのように街並みになじんでいるのかを眺めるのも楽しい。あれやこれやと要望を出してくる住民に振り回されずに街づくりがしたいという人に，ぜひオススメしたい。そんな本作はSteamにて，1840円で発売中だ。

■「The Architect: Paris」公式サイト

http://www.enodo.games/our-games