インディーズゲームの小部屋：Room＃708「Time Loader」

　最近は，またしても魔界と化した東京で神と悪魔の争いに巻き込まれている筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第708回は，Flazmが開発した「Time Loader」を紹介する。本作は，過去にタイムトラベルした小型ロボットを操作して，悲劇的な事故を回避するために奔走するパズルアドベンチャーだ。ところで，ナホビノってどういう意味？


　本作の主人公は，アダムという男性が発明した小さなロボット。アダムは子供の頃に木の上にある小屋のバルコニーで遊んでいて誤って転落し，それ以来，車椅子での生活を送っている。やがて大人になった彼は，何年もの歳月をかけてAIを搭載した小型ロボットとタイムマシンを完成させ，ついに長年の計画を実行に移す。そう，事故が起こったあの日にロボットを送り込み，過去を変えてすべてをやり直すのだ……。


　ということで，プレイヤーは1995年の過去にタイムトラベルしてきたロボットを操作して，事故を未然に防ぐために活動することになる。このロボットは玩具ほどのサイズしかないが，ロボットアームで物をつかんだり，仕組みは分からないがジャンプしたりできる。ちょっとした小物や家具も，すべてが巨大な障害物のように見え，小さな体でこれをどう乗り越えていくかがポイントだ。


　本作は物理ベースのパズルアドベンチャーで，アームで物を引っ張ってどかせたり，スイッチを操作したりしながら先に進んでいくというのがゲームの基本。リビングやキッチン，屋根裏やガレージなど，さまざまなロケーションが，どれも玩具の視点から見たジャンボサイズで描かれているのが面白い。玩具の敵と言えば外せない好奇心旺盛なネコも，アダムの運命を変えるためのカギを握る，手ごわい存在として登場する。


　また，過去を改変すると，未来で予想外のアクシデントが起こってしまうのが，タイムトラベルもののお約束。本作でも，無事にアダムの事故を防いで元の時代に戻ったところで大事件が発生し，再び過去へ飛ぶことに。さらに，本作はマルチエンディングを採用しており，過去での行動によって異なる結末が待っている。一度ゲームをクリアすると好きなシーンを選んでやり直せるようになるので，いろいろと試して未来の変化を確かめてほしい。


　ロボットは途中で見つけたパーツを装着することで少しずつ機能が追加されていくが，パズルやアクションの難度は全体的に低めで，最後まで楽しくプレイできる。過去を変えれば，本当に望んだ未来がつかめるのか……は，答えの出ない難しい問いだが，「トイ・ストーリー」のような世界観で冒険をしてみたい人にぴったりのゲームなので，興味を持った人はぜひどうぞ。そんな本作はSteamにて，1520円で発売中だ。

■「Time Loader」公式サイト

https://metapublishing.io/ongoing/time_loader/