プレゼンテーションの終了後に開放されたハンズオンエリア
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北米時間2017年8月23日に開かれたSamsung Electronics(以下,
Samsung)の独自イベント「
Galaxy UNPACKED 2017」では,
「
Galaxy Note8」の発表プレゼンテーション終了後に,
実機の機能やソフトウェア,周辺機器を体験できるハンズオンも行われた。
そこで本稿では,
ハンズオンエリアで撮影した実機の写真を中心に,質感や操作感,ゲーム向けの機能,対応周辺機器などについて紹介しよう。
ハンズオンエリアの様子。テーブル1台あたり,8台程度のGalaxy Note8が置かれていた
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第一報でも触れているが,発表されたGalaxy Note8の主な仕様を再度確認しておこう。本体のサイズ感などは,この数字を参考にしてほしい。
●Galaxy Note8の主なスペック
- メーカー:Samsung Electronics
- ディスプレイパネル:6.3インチAMOLED(有機ELパネル,「Infinity Display」),解像度1440×2960ドット
- プロセッサ:CPU×8(最大CPU動作クロック2.3GHz)またはCPU×8(最大CPU動作クロック2.35GHz)
※販売地域によって,Qualcomm SnapdragonまたはSamsung Exynosのいずれかを採用する
- メインメモリ容量:最大6GB
- ストレージ:内蔵(64/128GB/256GB)+microSDXC(最大容量未公開)
- アウトカメラ(メイン):有効画素数約1200万画素(※デュアルフォトダイオード技術により約2400万画素相当),F値1.7,光学式手振れ補正対応
- アウトカメラ(サブ):有効画素数約1200万画素,F値2.4,光学式手振れ補正対応
- フロントカメラ:有効画素数約800万画素,F値1.7,光学式手振れ補正対応
- バッテリー容量:3300mAh
- モバイル通信機能:Cat.16 LTE 4波/5波キャリアアグリゲーション対応,最大下り通信速度1Gbps以上
- 無線LAN対応:IEEE 802.11ac
- Bluetooth:5.0(2Mbpsモード対応)
- USBポート:Type-C
- 本体公称サイズ:74.8(W)×162.5(D)×8.6(H)mm
- 本体公称重量:195g
大画面だがiPhone 7 Plusよりも幅は狭い
本体カラーによっては指紋が目立つ
まずは外観から見ていこう。
Galaxy Note8は,6.3インチサイズという大型の有機ELパネル「Infinity Display」を採用していることもあり,「大きすぎて持ちにくいのではないか?」と懸念を持つ人もいるだろう。しかし,実機を持っていろいろと試してみたが,成人男性の手であれば,握りにくいということはあまりないと思う。
正面から見たGalaxy Note8
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6.3インチサイズとはいっても,Infinity Displayのアスペクト比が18.5:9と縦長であるため,実際の幅は74.8mmに抑えられているのだ。この幅は,5.5インチ液晶パネルを採用する「
iPhone 7 Plus」の77.9mmよりもやや狭いくらいなので,iPhone 7 Plusを問題なく握れるという人ならば,十分に片手でホールドできる。
Galaxyシリーズとしては,初採用となるデュアルレンズカメラ
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一方で,特徴的な18.5:9のアスペクト比であるため,正面から見ると,どうにも「Galaxy S8」や「
Galaxy S8+」とよく似た印象になってしまう。側面やコーナーのデザインはやや異なるのだが,一瞥してそこまで区別できる人は少ないだろう。
カラーバリエーションは,ゴールド系の「Maple Gold」と黒系の「Midnight Black」,グレー系の「Orchid Gray」,そしてブルー系の「Deepsea Blue」という4色展開。Maple Goldを除いた3色は,塗り立てのペンキを思わせるしっとりとしたイメージで,色の着いた層の上に,透明な光沢層が存在しているように見える。
左上から時計回りに,ゴールド系の「Maple Gold」,黒系の「Midnight Black」,グレー系の「Orchid Gray」,ブルー系の「Deepsea Blue」
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発表された4色を並べて
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ただ,光沢感を重視した弊害か,Maple Gold以外の3色は,非常に指紋や皮脂の跡が気になりやすい。撮影中もたびたび拭きはしたのだが,皮脂などが写ってしまっているのが見て分かるだろう。
Maple Gold。4色のなかでは,皮脂が目立ちにくいほうではないかと思う
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皮脂が目立つと言えば安定の黒。Midnight Blackの背面は,ちょっと拭いた程度ではこんな感じで目立ってしまう。それでも,黒系がカラーバリエーションから外れることはない
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グレー系のOrchid Gray。ベージュやシルバーを好む人の受け皿となる色ではないだろうか
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従来機種のようなメタリック系ではなく,スッキリとしたブルーのDeepsea Blue。若いユーザー層には人気が出そうに思える
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背面に取り付ける純正のクリアカバー。基本的なガードならこれ
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パネルのカバーガラスに,Corningの強化ガラス「Gorilla Glass5」を採用しているとはいえ,Galaxy Note8は,上下のベゼル幅が狭く,左右はさらに追い込んだ形状をしている。前述の皮脂や指紋対策も考慮すると,落下時の保護用になんらかのカバーを使うのが無難だろう。
ハンズオンエリアには,純正の各種カバーやケースをはじめとして,主要なサードパーティ製のカバー,ケース類も多数展示されていた。
MicrosoftがSurfaceシリーズで採用しているのと同様なアルカンターラ素材のカバー(左)。個人的には好みなのだが,Galaxy S8シリーズ用のものは,国内では正規販売されなかった。ピンクやグリーンなど本体とは異なるカラーバリエーションがある多様さも魅力。純正の頑丈系カバー「Protective Standing Cover」(右)。Galaxy Note8に装着した状態では自立するので,ムービー視聴などにも向く
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パネル面もカバーでき,自立も可能な「Clear View Standing Cover」(左)。パネル側のカバーにLEDパネルが付いた「LED View Cover」(右)。以前からラインナップにはあるものの,NFC仕様の関係から,日本での導入は難しいとのこと
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主要なサードパーティからも,さまざまなカバーが出展されていた
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独自のマルチウインドウ機能は使い勝手を改善
S Penに関する要素を除いた,普通のスマートフォンとしてみた場合,Galaxy Note8の使い勝手は,Galaxy S8シリーズとほぼ変わらない印象だ。ただ,当然新しい要素もある。
その1つが,マルチウインドウで表示したいアプリのペアを,1つのショートカットアイコンに登録できる機能だ。この機能は,画面右端のエッジスクリーンをスワイプすると出てくるランチャー「App edge」で登録できる。
App edgeのカスタマイズで,アプリのペアを設定できる
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Galaxy Note8のマルチウインドウ表示では,初期設定の場合,2つのアプリが同じ幅で表示されるようになっていた。縦方向に持っても横方向に持っても同様だ。中央のボーダーライン(分割線)を操作すると,任意の幅に設定し直すことも可能である。ボーダーラインを大きく動かすと,片方のアプリは画面から消えてバックグラウンドにまわる仕組みだ。
実用性のほどは疑問だが,「ピクチャーインピクチャー」スタイルでのマルチウインドウ表示も可能となっている。
通常の場合,アプリごとに半分ずつの画面領域が割り当てられるが,ボーダーラインを調整して,おおむね2:1の比率まで表示幅を変更できる。2:1の閾値を超えると,小さい側はバックグランドに回る
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ボーダーラインの上をタップすると,ツールバーが表示され,アプリを左右,または上下で入れ替えられるほか,表示方法の変更も可能(左)。すぐには用途が思いつかないのだが,ピクチャーインピクチャースタイルのマルチウインドウ表示も可能(右)
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画面オフの状態から,S Penを抜くだけで起動するメモ機能「Screen Off Memo」。最大100ページ分まで保存できるそうで,メモを編集したり,ファイルとして保存したりすることもできる
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Game Launcher機能も健在。画面が大きいため,手や指のサイズによってはタップしにくい部分も
Galaxy S8シリーズと同様に,Galaxy Note8にも「Game Launcher」機能がある。インストールしたゲームをここに登録することで,それぞれのゲームごとに割り当てる処理性能を3段階で設定することが可能だ。最も高い性能を発揮する「ハイパフォーマンス」に設定すると,端末に大きな負荷がかかるため,バッテリー駆動時間の減少や,本体が高温になる可能性もあるといった注意が示された。
ただ,Game Launcherの機能自体はGalaxy S8シリーズにプリインストールされたものと,目を引く違いはないようだ。
Game Launcherにゲームを登録すると,プレイ中の各種通知をオフにしたり,ゲームに許可する負荷を調整できる(左)。「パフォーマンスを調整」では,通常,節電,ハイパフォーマンスの3段階から,ゲームにどれくらいの処理負荷を許可するかを割り当てる(右)
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言語を日本語に変えれば,問題なく日本語表示が可能。リージョン設定が日本のGoogleアカウントで,日本向けのPlayストアからアプリをインストールしてみた
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リージョン設定が日本になっているGoogleアカウントを使い,日本でしか配信していない「
アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ」(以下,ミリシタ)をインストールしてみた。ちなみに,デモ機はグローバル製品または北米向けモデルだが,日本語優先の言語設定も可能だった。
18.5:9のInfinity Displayに対応するゲームは少ないと思うが,大多数のゲームは,上下または左右に黒帯部分がついた16:9で表示できる。横向きの状態では,画面両端に黒帯がつくわけだが,有機ELパネルだけあって黒色に深みがあり,黒いベゼル部分とうまく融合して見える。
ミリシタを起動した画面。中央に16:9のアスペクト比で表示されるため,左右端に黒帯が出てしまうが,深みのある黒のおかげか,さほど違和感はない
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ちなみに,アプリを全画面モード表示した場合は,ホームボタンやアプリの履歴ボタンなども隠れるのだが,これらの位置や表示させる方法を,全画面表示時にガイダンスで示すという親切な作りは評価したい。
ホームボタンや履歴ボタンはソフトウェアボタンになっているので,誤操作をふせぐために,全画面モードでのプレイ中は非表示となる。そのときに,どうすればどこに表示されるかを教えてくれるのは親切だ
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実際にミリシタをプレイしてみたところ,タイミングの微調整をしなくても,違和感なくフルコンボを決めることができた。プレイスタイルにもよるが,両手持ちで左右の親指を使ってタップする場合,6MIXの配置になると中央の2か所がやや遠い。このあたりは,手の大きさや指の長さにも依存するので,国内展開が始まったら,実際に握って指を伸ばせるかどうか,試してみるのがいいだろう。
さて,最後は,Samsung製の簡易型VRヘッドマウントディスプレイ(以下,HMD)「
Galaxy Gear VR」(以下,Gear VR)との組み合わせについても触れておこう。
第一報で言及したとおり,Galaxy S8+よりも本体が大きくなったため,Galaxy Note8では,既存のGear VRを利用できない。Galaxy Note8に対応する新バージョンを用意するという話で,それを待つしかなさそうだ。
米国のGalaxy製品情報サイトを確認したところ,Galaxy Note8に対応する新型番のモデルは,従来機種との後方互換性を有するそうで,Galaxy Note 5以降のGear VR対応機種で利用可能となる模様だ。新型番が登場すれば,Gear VR自体が,新しい製品に切り替わっていくのだろう。
Galaxy Note8に対応する新バージョンのGear VR。見たところ,既存のGear VRとの違いは見当たらない。右にあるワイヤレスコントローラは,Gear VRの付属品だ
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前面のパネルを開けた状態(左)。はめ込むギミックは同じようだが,Galaxy Note8が入ると,やたらと密度が高く見える。レンズやゴーグル部分の構造も,既存のGear VRと変わらない(右)
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そのほかの周辺機器を写真で紹介しよう。PC用のディスプレイやキーボードと組み合わせて,Galaxy Note8をPC風に利用できるようにするドッキングステーション「Samsung DeX Station」(写真右下)。Samsung DeXに正式対応した「Vainglory」を使ってデモを披露していた。ただ,Samsung DeXの国内展開は未発表のままだ
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急速充電にも対応するワイヤレス充電器(左)。Galaxy Note8は,ワイヤレス充電規格の「Qi」(チー)および「PMA」の両方に対応する。Samsungの傘下であるAKGブランドがチューニングしたというポータブルBluetoothスピーカー(右)
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Samsungのデジタルアクセサリーブランド「Level」シリーズの製品も並んでいた。左はBluetoothヘッドセットで,右はBluetoothスピーカーだ
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短時間のハンズオンでは,十分に伝えきれない要素もあったが,
第一報と合わせて,Galaxy Note8の見どころは,おおむねレポートできたかと思う。
日本での正式販売が行われるかどうかが気になるところだが,登場すれば国内では3年ぶりとなるGalaxy Noteシリーズの新製品だけに,ぜひ発売を期待したいところだ。