連載
ハロー!Steam広場 第312回:華麗な航空業界の厳しい裏側を思う存分体験できる空港経営シム「SimAirport」
「すちーむ」ってなぁに?というよい子のみんな集まれー! 「ハロー! Steam広場」は,PCゲームのダウンロード販売サイトSteamで公開されている気になるタイトルを,筆者が独断と偏見でピックアップして紹介する,とっても有意義なコーナーだ。毎週欠かさずチェックすれば,どのオンラインゲームでカウントダウンをしようか迷っているうちに年を越してしまった上級Steamerにジョブチェンジできるかも。
ハロー!Steam広場 第312回は,インディーズ系デベロッパ,LVGameDevが開発を手がける「SimAirport」を紹介しよう。本作は,空港の開発と運営を手がけていく経営シミュレーションだ。シムシティのような都市作り系のシムでは,ワンクリックで空港が建築されるが,本作ではその一瞬の裏側が描かれる。
華麗な航空業界の厳しい裏側を思う存分体験できる空港経営シム「SimAirport」
今回はインディーズ系デベロッパ,LVGameDevが開発を手がける「SimAirport」を紹介しよう。本作は,空港の開発と運営を手がけていく経営シミュレーションだ。シムシティのような都市作り系のシムでは,(予算さえあれば)ワンクリックで空港が建築されるが,本作ではその一瞬の裏側が描かれるのだ。
ゲームの目的は,運営資金が底を尽きないように注意しつつ,利用者の満足度が高い空港を作り上げていくこと。空港の主な収入源は滑走路の使用料と旅客収入の2つで,フライトのスケジュールを埋めたり,滑走路やゲートを増やして空港の規模を大きくすることで,収入の増加を図っていく。
いずれにせよ,空港を利用する旅客が増えなければ意味がないので,「顧客満足度」を高めることを意識するのが重要になる。空港を利用する旅客はそれぞれ「情報」や「飢え」といった欲求を持っており,フライト情報の電子掲示板を設置したり,売店やカフェを増設したりして,その欲求を満たせれば,満足度も上がっていくというわけだ。
こうしたニーズをにらみつつ,予算の範囲で内部を細かく充実させていくのも本作の醍醐味のひとつ。場合によっては現実にある空港を参考にしつつ,設備を設置していくのも楽しそうだ。
また,資金と時間を「研究」に費やして,新たな従業員や経営陣を雇用できるようにしたり,収入増加や節税といったオプションをアンロックしたりすることでも,空港の改善を図れる。つまり従業員の管理やお客の満足度アップといった「ヒト」,滑走路の増設や空港内の環境整備といった「モノ」,そして支出や収入といった「カネ」のすべてのバランスを適切に管理することが,空港の運営には重要というわけだ。
……と簡単にまとめてしまったが,これが結構難しく,筆者もコツを掴むまでは赤字空港まっしぐらだった。
ちなみに,本作はある程度の設備が整った空港を持った状態でスタートするが,オプションとして既存の空港がない状態――つまり更地状態でプレイを開始することも可能だ。ただ,初回のプレイで更地を選ぶのはあまりおすすめしない。というのもこのSimAirport,最初の取っつきがかなり悪いからだ。
例えば旅客機が乗り付ける搭乗ゲートは,設置しただけでは機能しない。誘導路と空港につながっているだけではなく,ゲートエージェントデスクという,スタッフが詰める窓口と紐付けする必要がある。また内部のカフェやアーケードゲームコーナーなども,「最初にゾーンを設定しておく」というルールがあり,雰囲気だけで操作していると戸惑ってしまう。空港のそれぞれの施設は“連動”していなければならず,物理的な接続や紐付け設定がとにかく重要なのだ。
いちおう,本作にはチュートリアルが用意されているのだが,日本語に設定しても翻訳が不完全で要領を得ないところがかなり多い。もちろんないよりはマシなのだが,ゲーム自体の翻訳もチュートリアル同様に中途半端でわかりにくいため,最初は“動いている空港の改善や増築”でルールに慣れてしまった方が圧倒的にスムーズなのだ。
チュートリアルが終わってもプレイは続行できるので,そのまま試行錯誤してみるのもオススメだ。
空港の運営という多くの人になじみがないテーマと,システム的な取っ付きにくさはあるものの,施設や設備を思い通りに充実させていったり,お客や従業員をマネジメントしていくようなゲームが好きならば,試してみる価値は十分にある。
個人的にはもう少し翻訳の質が上がれば諸手を挙げておすすめできるタイトルになると思っているのだが,現状は英語でも大丈夫な人や紐付けの経営系シムに慣れているような人に向けてのアピールに留まる。シムとしては良質なので,慣れるまでの過程をちゃんと乗り越えられるという人は,ぜひプレイしてみてほしい。
- 関連タイトル:
Steam
- この記事のURL:
(C)2019 Valve Corporation.All rights reserved.