結のほえほえゲーム演説：第102回「『○○を盛り上げたい！』って言葉は，誰のため？」

　ごきげんよう。女優・タレントとして活動しております。結です。

　いやはやすっかり年末ですねぇ。
　ゲーム番組のお仕事をするようになってから，7年になります。この連載も先日，めでたく100回を迎えることができました。

　「スーパーマリオスタジアム」で優勝しても，ゲーム趣味の友達がいなくて寂しかった幼少期。ゲーセンで出会った男の子との再会を目指し，波動拳も出せないのに，「ストリートファイターII」の大会に出場した小学校時代（関連記事）。趣味でのコスプレ活動がネットに晒され，校長室に呼び出された高校生時代。ゲームのCMオーディションで，ゲームが好きな気持ちを必死に伝えたら，審査員に「そういうのいいんで」と断られたモデル時代（関連記事）。

　いつだって，私は，自分の気持ちに嘘をつくくらいなら死んだほうがマシだと思っていました。どんなに馬鹿にされても，寂しくても。好きなものにひたすら真摯でいたい，好きな気持ちを貫きたい。そんな思いが，今も私の原動力です。

　語弊を恐れずに言いますね。最近ゲームを扱うメディアは増えましたが，その内容に違和感を覚えることがあります。「よく分からないけど最近eスポーツとかはやっているらしいし，とりあえず扱っておこう」みたいな。

　ゲーマーを舐めたらいけません。
　いや……。
　「誰か」の「何か」を「愛する」気持ちを舐めたらいけません。

　コンテンツの歴史やドラマをすべて理解しろなんて言いません。そのメディアなりの，その人自身の視点で良いのです。そもそも「ゲーム好き」だからって全員うまくなる必要なんてないんですよ。「ガチ」という言葉に振り回されちゃいけません。「好きだからうまくなりたい」は分かるけど，「うまくなきゃ好きじゃない」わけじゃないんです。自分なりの楽しみ方を，どうか見つけてほしいんです。

　今年6月にホリプロに所属したのも，11月にYouTubeチャンネルを開設したのも，そんな思いがきっかけだったりします。もっともっとたくさんの場所で，自分自身の言葉で，自分なりの楽しみを披露していきたいです。

　以前，とあるゲームクリエイターさんに，ファンの方が話しかけた場面に遭遇したことがありました。

「非公式で大会をやってごめんなさい！　でも○○（ゲーム名）を盛り上げたいなと思って……」

　すると，クリエイターさんは，キョトンとした顔で言いました。

「盛り上げる？　君が楽しみたかったからでしょ？」
「えっ？」
「楽しみたかったからじゃないの？」
「そうかもしれないです」
「じゃあそう言いなよー。だったらいいんじゃないー？」

　このやりとりに，私はシビれました。

　「○○を盛り上げたい！」も嘘じゃないと思います。対戦相手が必要なマルチプレイとか，とくにそうじゃないですか。プレイ人口が減っちゃうと辛くて仕方がない。

　でも，一番根底にある気持ちって，確かに「自分が楽しみたい」なんですよね。きっと。言葉の武装を削ぎ落として，自分の視点を見つめ直せば，思いのほかラクになるかもしれません。

　来年もよろしくね。

最近プレイしているゲーム（2019/12/21）
Nintendo Switch：「ゼルダの伝説 夢をみる島」
PlayStation 4：「CODE VEIN」
PC：「THE DARK PICTURES: MAN OF MEDAN」
iOS：「ロマンシング サガ リ・ユニバース」
iOS：「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」

■■結（女優・タレント）■■
女優・タレントとして活動中。国内映画祭にて主演女優賞を多数受賞。幼少期からのゲーム好きが高じ，数多くのゲーム番組でMCを務め，イトキチ（糸吉）の愛称で親しまれている。

公式サイト：http://yui-monogatari.com/
公式Twitter：https://twitter.com/xxxjyururixxx
ニコニコチャンネル「結チャンネル」：http://ch.nicovideo.jp/yuichannel
YouTubeチャンネル「結ちゅーぶ！」：https://www.youtube.com/channel/UCNwmczTygyPzEnouz9tR_Fg/