連載
「そうだ アニメ,見よう」第87回は岡田麿里氏原作の「荒ぶる季節の乙女どもよ。」。“性”に振り回される少女達の青春群像劇
「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」や「心が叫びたがってるんだ。」など,数々のヒット作を生み出した脚本家・岡田麿里氏。その岡田氏が漫画原作に挑戦したのが,多感な少女達の青春群像劇を描いた「荒ぶる季節の乙女どもよ。」(漫画:絵本奈央氏,講談社刊/既刊7巻)だ。
というわけで「そうだ アニメ,見よう」第87回のタイトルは,同作をアニメ化した「荒ぶる季節の乙女どもよ。」。アニメーション制作はLay-duce,脚本は岡田氏自身が担当。監督は,「花咲くいろは」の安藤真裕氏と,「Fate/Grand Order MOONLIGHT/LOSTROOM」(関連記事)を手がけた塚田拓郎氏が務めている。
「荒ぶる季節の乙女どもよ。」
ある日,文芸部でほかの部員達と本の朗読をしていた和紗は,り香から好きな作家の新作情報を聞く。作品のテーマである「死ぬ前にしたいこと」という話題で盛り上がる和紗達に,新菜が発したひと言が波紋を呼ぶ。その瞬間から,和紗達文芸部一同は“性”に振り回され始めてしまうのだった。
そんな折,和紗は隣に住む幼馴染みの同級生・泉(CV:土屋神葉)の“ある行為”を偶然目撃してしまい……。
誰にでも熱に浮かされるような,自分をコントロールできない時期が訪れるもの。まさにその“季節”の真っ只中に突入してしまった主人公・和紗と,彼女を取り巻く少女達の悲喜劇を描いたのが本作「荒ぶる季節の乙女どもよ。」だ。
本作の原作・脚本を担当している岡田氏は,登場人物の内面をセンシティブに表現することで定評のある人物。今回もストレートな台詞回しや意表をつく展開が随所に見られ,第1話から「まさか,そんなことはしないだろう」と高を括っているこちら(視聴者)の胸に,ズドンッと強烈な一撃をお見舞いしてくれた。
爆弾発言で周囲を驚かせる“菅原氏”こと新菜 |
そんな過激な展開の一方で,それぞれ方向性の違う悩みを持った5人の少女達の葛藤を,じっくり瑞々しく描いている。当たり前のことだが恥ずかしい,そんな“性”の問題に翻弄される少女達が愛おしく見えてくるのが,本作の魅力と言えそうだ。
5人の少女達の恋模様
幼馴染みの泉を男性として意識してしまった和紗をはじめ,文芸部の一同はそれぞれ異性のことで振り回され始める。恋愛に興味がありながらも「汚らわしい」と拒絶するり香は,クラスメイトの男子に告白されるが素直になれない。チャット相手の教師・山岸(CV:福山 潤)に屈折した想いを向けるひと葉は,どうしてよいのか分からずモンモンとするばかり。
百々子は,予備校で小学生時代の同級生と再会し,誘いを受けるが相手の性格に問題がある様子。ただひとり,クールに振舞う新菜も,かつての想い人・三枝(CV:咲野俊介)に複雑な感情を向けている。
恋心と自尊心の間で右往左往する5人の少女達が,いじらしくて目が離せないのに,彼女達の恋の行方を思うと見ていられない。そんな思いを抱かせてくれるのも本作の醍醐味だ。和紗達5人がそれぞれハッピーエンドを迎えてくれることを祈るが,果たして?
少女マンガのような画面作りに注目
“性”の問題という生々しいテーマを扱いながら,本作は爽やかでコミカルなイメージが保たれている。それは,キャラクターや背景を淡い色使いで処理し,“少女マンガ”のような画面作りをしているからだとか。
監督の塚田氏によると,和紗達を描くときはディティールを凝らずにシンプルなラインで描いているのだそう。いっぽう,文芸部に波紋を投げかけてくる新菜は,本作での“性”のシンボルとなるキャラクターということで,そこはかとなく色気を感じさせるような描写がされているという。
どこか現実離れしたフワッとした画面は,こういった制作チームのこだわりで作られているようだ。
第9話が放送され,物語はいよいよクライマックスに突入している。嵐のような文化祭を終えた文芸部の一同の恋模様は,どのような結末を迎えるのか。彼女達の“荒ぶる季節”の顛末を見届けたい。
なお,ここまでの物語を見過ごしてしまった,またはこれから見ようという人向けに第1話から第8話までのストーリーをダイジェストで振り返るPVが,こちらで公開されている。視聴済みの人も最終話に備えて見ておくといいかもしれない。
TVアニメ「荒ぶる季節の乙女どもよ。」公式サイト
TVアニメ「荒ぶる季節の乙女どもよ。」公式Twitter
放映データ |
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2019年7月〜 |
キャスト | |
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小野寺和紗:河野ひより | |
菅原新菜:安済知佳 | |
須藤百々子:麻倉もも | |
本郷ひと葉:黒沢ともよ | |
曾根崎り香:上坂すみれ | |
典元 泉:土屋神葉 | |
山岸知明:福山 潤 | |
天城 駿:広瀬裕也 | |
三枝 久:咲野俊介 | |
十条園絵:戸松 遥 | |
杉本 悟:花江夏樹 |
スタッフ |
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原作・脚本:岡田麿里 |
漫画:絵本奈央(講談社「別冊少年マガジン」連載) |
監督:安藤真裕、塚田拓郎 |
脚本:岡田麿里 |
キャラクターデザイン/総作画監督:石井かおり |
音楽:日向 萌 |
美術監督:中久木孝将、中尾陽子 |
色彩設計:山崎朋子 |
撮影監督:長田雄一郎 |
音響監督:郷 文裕貴 |
編集:髙橋 歩 |
プロデュース:斎藤俊輔 |
アニメーションプロデューサー:米内則智 |
アニメーション制作:Lay-duce |
■Blu-ray&DVD情報
荒ぶる季節の乙女どもよ。
Blu-ray+PlayPic 第一巻(DMPXA-036)
発売日:2019年9月27日
価格:7,500円(税別)
キャラクターデザイン石井かおり描き下ろし三方背スリーブケース
原作者 絵本奈央描き下ろしデジパック仕様
封入特典
原作者 絵本奈央描き下ろしイラスト集
絵コンテ集
本編映像 映像特典入りPlayPic
映像特典『荒ぶる季節のコメンタリー #01』
『CHiCO(CHiCO with HoneyWorks) × 文芸部 ミニアニメ #01』
荒ぶる季節の乙女どもよ。
DVD 第一巻(DMPBA-058)
発売日:2019年9月27日
価格:7,500円(税別)
キャラクターデザイン石井かおり描き下ろし三方背スリーブケース
原作者 絵本奈央描き下ろしデジパック仕様
封入特典
原作者 絵本奈央描き下ろしイラスト集
絵コンテ集
本編映像 映像特典入りPlayPic
映像特典『荒ぶる季節のコメンタリー #01』
『CHiCO(CHiCO with HoneyWorks) × 文芸部 ミニアニメ #01』
(C) 岡田麿里・絵本奈央・講談社/荒乙製作委員会
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