ニュース
「そうだ アニメ,見よう」第101回は林田 球氏のダークファンタジー「ドロヘドロ」。魔法で顔をトカゲに変えられた男の正体は?
魔法で顔をトカゲに変えられた男が失った記憶を探し求める,林田 球氏のダークファンタジーコミック「ドロヘドロ」(全23巻/小学館刊)。2000年から18年もの長期間にわたって連載された本作は,そのカオスでショッキングな内容から映像化は難しいと言われていた作品だ。
というわけで,「そうだ アニメ,見よう」第101回のタイトルは,同作をアニメ化した「ドロヘドロ」。アニメーション制作はMAPPA,シリーズ構成は瀬古浩司氏が担当し,監督は「牙狼〈GARO〉-炎の刻印-」や「賭ケグルイ」(関連記事)の林 祐一郎氏が務めている。
「ドロヘドロ」
ある日,カイマンは魔法使いの煙(CV:堀内賢雄)ファミリーの一員である松村を殺害したことで,ファミリーの掃除屋である心(CV:細谷佳正)と能井(CV:小林ゆう)の襲撃を受ける。手強い2人の攻撃にカイマンは首を落とされてしまうが,新たな頭部が再生し,事なきを得た。
自分の口の中にいる“目に十字の刺青を持つ男”が記憶の手がかりであると考えたカイマンは,ニカイドウと2人で魔法使い達の世界に行き,男の情報を探す。そこでカイマンは,十字目の男の名前が“栗鼠(CV:ソンド)”であることを思い出し,その行方を追い始めた。
いっぽう煙は,心から聞いたカイマンの口の中にいた十字目の男に興味を持ち,心と能井,そして松村の相棒だった藤田(CV:高梨謙吾)に命じて情報を集めていた。煙達は,その手がかりとなる栗鼠の首を見つけ,魔法で生き返らせるのだった。
記憶を失っていたカイマンを助けてくれたのがニカイドウ。名前も彼女が付けたもの |
本作の舞台となるのは,魔法が当たり前に存在する世界。魔法使い達は,練習と称して「ホール」に住む住人を魔法の実験台にし,主人公のカイマンは,その被害者の一人と言うわけだ。魔法と言っても,呪文の詠唱や魔方陣は必要なく,指先などから出る煙が特殊な効果を生み出す仕組み。それは従来の魔法のイメージとは程遠く,本作が“ダークファンタジー”と謳われる要因のひとつとなっている。
そこに,怪しげなマスクをかぶった登場人物達とホールの退廃的な雰囲気,さらに血とバイオレンスに満ち溢れた物語がミックスされ,本作「ドロヘドロ」の世界を構成しているのだ。
ほぼ前知識なしで本作を視聴したのだが,第1話冒頭のスプラッタな解体シーンと,カオスに満ち溢れたオープニングで「おっ」となり,その後もこの世界観にグイグイ引き込まれた。特に,殺伐とした世界観と,カイマンやニカイドウら登場キャラクター達の軽妙なやり取りの“ギャップ”が心地いい。
なんでも,原作の林田氏は「歌詞がメチャクチャダークで凶暴なのにメロディーは踊りたくなるぐらい楽しい」曲にインスピレーションを受けたのだとか。グロいシーンなのにそう感じさせない不思議な空気感は,ここから生み出されたというわけだ。
魔法使いサイドなのに憎めない「煙ファミリー」
カイマンの周囲には,ワケありの金髪美女・ニカイドウや,見た目はコドモのマッドサイエンティストのカスカベ博士(CV:市来光弘)など,個性的な人物達が登場するが,煙ファミリーサイドも見逃せない。
キノコ大好きのボス・煙に,屈折したナイスガイの心,大柄の筋肉美女・能井とこちらも多彩なキャラクターが勢ぞろいしている。第6話で心の過去,第9話で能井と心の出会いのエピソードが描かれ,敵サイドといえども憎めない,煙ファミリーの魅力が掘り下げられていた。
今後,カイマンと煙ファミリー,そして十字目の集団の三つ巴の戦いがどう展開していくのか,気になるところ。
背景美術の第1人者,木村真二氏が参加
そんな本作のカオスなストーリーを際立たせているのが背景美術だ。本作は,キャラクターをセルルックのCGで表現し,緻密に描かれた背景に乗せている。この背景美術を担当しているのは,「となりのトトロ」(1988年)や「スチームボーイ」(2004年),さらに昨年公開された「海獣の子供」を手がけた木村真二氏だ。見たこともない景色なのにどこか懐かしい,ホールや魔法の世界の風景は,木村氏の細部までこだわった背景美術から生み出されている。
また,(K)NoW_NAMEが歌う話題のオープニング「Welcome トゥ 混沌」をはじめとした劇伴曲も物語に色を添えている。とくに何種類も用意されたエンディング(現時点では5種類)は,制作スタッフの熱意がこちらに伝わってくるようで,驚かされる。個人的には,ブルーナイト仕様のエンディング「Strange Meat Pie」がお気に入りである。
難しいことを考えずに,カイマン達のドタバタ振りを見るのもいいし,十字目の男に隠された謎を考察するのもまた面白い。そんなさまざま楽しみ方ができる作品「それがドロヘドロ」なのだ。
なお,本作のBlu-ray BOX上巻(5月20日発売。下巻/6月17日発売)には,公式サイトでプレイできたPC向け8bitゲーム「リビングデッドデイ・サバイバー」と「ブルーナイト・バトルロワイヤル」が収録される。ドットになったカイマンとニカイドウ達でプレイできるこのアクションゲームは非売品。プレイできなかった人には朗報と言えるだろう。
TVアニメ「ドロヘドロ」公式サイト
TVアニメ「ドロヘドロ」公式Twitter
放映データ |
---|
2020年1月〜2020年3月まで |
全12話 |
キャスト | |
---|---|
カイマン:高木 渉 | |
ニカイドウ:近藤玲奈 | |
煙:堀内賢雄 | |
心:細谷佳正 | |
能井:小林ゆう | |
藤田:藤田:高梨謙吾 | |
恵比寿:富田美憂 | |
バウクス:江川央生 | |
カスカベ:市来光弘 | |
キクラゲ:鵜殿麻由 | |
栗鼠:ソンド | |
丹波:稲田 徹 | |
ターキー:三木眞一郎 | |
アス:郷田ほづみ | |
鳥太:勝 杏里 | |
松村:奈良 徹 | |
福山:寺島拓篤 |
スタッフ |
---|
原作:林田 球(小学館「ゲッサン」刊) |
監督:林 祐一郎 |
シリーズ構成:瀬古浩司 |
キャラクターデザイン:岸 友洋 |
世界観設計・美術監督:木村真二 |
画面設計:淡輪雄介 |
色彩設計:鷲田知子 |
3DCGディレクター:野本郁紀 |
撮影監督:朴孝圭 |
編集:吉武将人 |
音響監督:藤田亜紀子 |
音楽プロデュース:(K)NoW_NAME |
アニメーション制作:MAPPA |
オープニングテーマ:(K)NoW_NAME「Welcome トゥ 混沌」(TOHO animation RECORDS) |
エンディングテーマ:(K)NoW_NAME「Who am I ?」(TOHO animation RECORDS) |
(K)NoW_NAME「Night SURFING」(TOHO animation RECORDS) |
(K)NoW_NAME「D.D.D.D.」(TOHO animation RECORDS) |
(C)2020 林田球・小学館/ドロヘドロ製作委員会 |
■Blu-ray BOX情報
【ドロヘドロ Blu-ray BOX 上巻 初回生産限定版】
発売日:2020年5月20日
価格:\19,800+税
収録話数:第1話〜第6話
【初回生産限定特典】
(1)原作・林田球描き下ろし上巻BOX
(2)キャラクターデザイン・岸友洋描き下ろしデジパック
(3)特典ディスク
⇒8bitゲーム「リビングデッドデイ・サバイバー」「ブルーナイト・バトルロワイヤル」
(4)フィンガースケートボード(ニカイドウモデル)
⇒ハンドサイズのミニチュアスケボー!
(5)オリジナルステッカー(5枚)
【初回・通常共通特典】
【映像特典】PV、CM、ノンクレジットOP・ED
発売・販売元:東宝
【ドロヘドロ Blu-ray BOX 下巻 初回生産限定版】
発売日:2020年6月17日
価格:\19,800+税
収録話数:第7話〜第12話+OVA「魔のおまけ」(総尺約30分)
【初回生産限定特典】
(1)原作・林田球描き下ろし下巻BOX
(2)キャラクターデザイン・岸友洋描き下ろしデジパック
(3)OVA「魔のおまけ(1)〜(6)」(総尺約30分)
⇒新規アニメ映像!
(4)オリジナルシューピアス
⇒スニーカーの紐に付けられるアクセサリー!
【初回・通常共通特典】
【映像特典】PV、CM
発売・販売元:東宝
※商品仕様・特典・画像は予告なく変更になる場合がございますのでご了承ください。
※初回限定版の在庫終了後は、本編ディスク・映像特典のみの通常版に切り替わります。(価格・品番・POSは変わりません)
各店舗特典などの詳細はこちら
https://dorohedoro.net/goods/tokuten.php
- この記事のURL: