そうだ アニメ，見よう：第181回は「機動戦士ガンダム 水星の魔女」Season2。悪夢の第12話からスレッタとミオリネの関係は復活するのか？

　2022年10月よりSeason1（全12話）が放送された「機動戦士ガンダム 水星の魔女」。本作のSeason2が早くも，この4月にスタートしている。
　というわけで，「そうだ アニメ，見よう」第181回のタイトルは，「機動戦士ガンダム 水星の魔女」Season2（毎週日曜17:00〜MBS/TBS系全国28局ネットにて放送中）。Season1と同じく，制作はバンダイナムコフィルムワークス，シリーズ構成・脚本は「コードギアス 反逆のルルーシュ」や「甲鉄城のカバネリ」の大河内一楼氏，監督は「キズナイーバー」や「ひそねとまそたん」などの小林 寛氏が務めている。

「機動戦士ガンダム 水星の魔女」Season2

　A.S.（アド・ステラ）122――。数多の企業が宇宙へ進出し，巨大な経済圏を構築する時代。モビルスーツ産業最大手「ベネリットグループ」が運営する高等教育機関「アスティカシア高等専門学園」に，辺境の地・水星から一人の少女スレッタ・マーキュリー（CV：市ノ瀬加那）が，転入してきた。
　慣れない学園生活に戸惑うスレッタは，ふとしたことから，グエル・ジェターク（CV：阿座上洋平）と“決闘”をすることになる。この学園では，生徒間の争いごとの是非を，すべてMSでの“決闘”によって決定するというのだ。
　MS「ガンダム・エアリアル」を操り，これに勝利したスレッタは，最強の称号“ホルダー”とベネリットグループ総裁，デリング・レンブラン（CV：内田直哉）の娘であるミオリネ・レンブラン（CV：Lynn）の婚約者としての立場を手に入れる。


　その後も学園の実力者であるエラン・ケレス（CV：花江夏樹）を決闘で退けるが，それが原因でエアリアルが禁止された「GUNDフォーマット」による機体「ガンダム」であることが知れ渡ってしまう。ベネリットグループによって糾弾され，エアリアルは封印されそうになるが，ミオリネによるガンダムの安全利用を目的とした「株式会社ガンダム」の起業が成功し，これを回避した。
　会社の事業が進展する中，シャディク・ゼネリ（CV：古川 慎）の手引きで，デリングの暗殺計画が進行し，地球の武装組織「フォルドの夜明け」の襲撃を受ける。母プロスペラ（CV：能登麻美子）に導かれたスレッタは，改修されたエアリアルで敵対勢力を撃退するのだった。


　とここまでがSeason1のあらすじだ。Season2ではスレッタの前に身分を詐称した「フォルドの夜明け」のソフィ（CV：井澤詩織）とノレア（CV：悠木 碧）が編入生として現れる。ある事情から2人と決闘することになったスレッタは，学園のオープンキャンパスで行われるエキシビションマッチ「ランブルリング」に参加することになるのだが，これが思わぬ騒動に発展してしまう……。

衝撃の第12話から2週間後。新たな物語がスタート

　2017年に放送された「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」以来，久々の新作「ガンダム」シリーズとなった本作。これまでのシリーズとは異なるA.S.（アド・ステラ）と呼ばれる時代設定，TVシリーズ初の女性ヒロイン，女性カップルの誕生と“初めてづくし”の作品だが，なによりその展開の読めないストーリーやミステリアスな設定に話題が集中した。

　スレッタはなぜ，人を死に追いやるデータストームの中でも平然としていられるのか。PROLOGUEに登場していたエリクトとは同一人物なのか。母親のプロスぺラの目的は？など，考察好きの人はもちろん，そうでないファンも取り込み，毎回少しづつ明かされていく謎が話題を呼び，久しぶりのガンダムフィーバーに業界は盛り上がりを見せた。


　そこであの衝撃の第12話である。学園ものから一転，「アスティカシア高等専門学園」は血なまぐさい戦場となり，ラストシーンでは素直でおとなしいはずのスレッタの狂気の一面を垣間見ることになる。
　今までのスレッタは何だったのか。それを見たミオリネの「人殺し」というセリフは，視聴者の代弁ともいえる言葉だった。


　そして，Season2が始まり，ソフィとノレアという，ほのぼのとした学園ものには似つかわしくない人物の参入で，物語は幕を開けた。地球ではアーシアンとスペーシアンの対立が激化する中，プロスペラがデリングと極秘裏に進めていたプロジェクト「クワイエット・ゼロ」の存在が明らかにされる。状況が加速度的に変化するSeason2の見どころを探ってみたい。

ついに本性を現したプロスペラ

　まずは，ひた隠しにしていた復讐心をようやくあらわにしたプロスペラの動向が，今後の最大のカギとなりそうだ。娘のエリー＝エリクトのために，「クワイエット・ゼロ」を実現させることが念願だとプロスペラはうそぶく。熱に浮かされたように語るプロスペラの計画は，世界すべてを巻き込む危険性をはらんでいる模様。彼女が言う「パーメットスコア8（エイト）」の世界とはなんなのか，興味は尽きない。


　これを止めることができるのは，やはりミオリネなのではないだろうか。スレッタがプロスペラの操り人形だと知ったミオリネは，彼女の危険性に気づく。ただ，今のデリングの令嬢でしかないミオリネには，プロスペラを止めるすべがない。スレッタを取り戻すためにミオリネが手にしようとする“力”とは何か。図らずも“嫁VS姑”となったこの対決の結果が今から楽しみだ。

立ち上がれ，グエル先輩！

　そして，スレッタにやられて以来，どんどん転落していくグエルの動向が気になるところ。ジェターク社を追われた上に，デリング暗殺計画の際には父親をその手にかけてしまう。廃人のようになった彼は，地球で生きる意味を見つけ，再び「アスティカシア高等専門学園」に帰ってきた。
　なんかもう「こいつ，主人公なんじゃね？」と思うほど，ドラマティックな展開に翻弄され，大きく成長を遂げてきたグエルに注目してる人は多いだろう。きっと彼のMSの操縦技術が役立つときがあるはず。

大河内作品は最後まで気を抜けない

　意識不明となってしまったデリングに代わり，「ベネリットグループ」を取り仕切る総裁を選ぶ選挙が執り行われる。シャディクをはじめ，その座を狙う者たちの思惑が絡まる中，ミオリネもその渦中へ飛び込むことになりそうだ。
　Season1とは打って変わって，ハードな展開にシフトし始めた本作。先の展開が読めないことで知られる大河内氏が脚本を手がけているだけに，「コードギアス 反逆のルルーシュ」のような悲しい終わり方にならないことを祈りたい（あの終わり方も諸説あるが）。ともあれ，最終話まで1話たりとも見逃せないSeason2となりそうだ。

「機動戦士ガンダム 水星の魔女」公式サイト

「機動戦士ガンダム 水星の魔女」公式さTwitter

放映データ
2023年4月〜
毎週日曜17:00〜MBS/TBS系全国28局ネットにて放送中

キャスト
スレッタ・マーキュリー：市ノ瀬加那
ミオリネ・レンブラン：Lynn
グエル・ジェターク：阿座上洋平
エラン・ケレス：花江夏樹
シャディク・ゼネリ：古川 慎
ニカ・ナナウラ：宮本侑芽
チュアチュリー・パンランチ：富田美憂

スタッフ
企画・制作：サンライズ
原作：矢立 肇／富野由悠季
監督：小林 寛
シリーズ構成・脚本：大河内一楼
キャラクターデザイン原案：モグモ
メインキャラクターデザイン：田頭真理恵
キャラクターデザイン：戸井田珠里／高谷浩利
メカニカルデザイン：JNTHED／海老川兼武／稲田 航／形部一平／寺岡賢司／柳瀬敬之
音楽：大間々 昂
(C)創通・サンライズ・MBS