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“語学学習用FPS”で勉強はできるのか。16の言語が収録された「Linguist FPS」に挑んでみる
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印刷2022/06/02 16:26

プレイレポート

“語学学習用FPS”で勉強はできるのか。16の言語が収録された「Linguist FPS」に挑んでみる

 言語学習の初心者向けに設計されたというFPS「Linguist FPS」が,Steamで2022年5月21日に配信された。オーストラリアの2人組のインディーズスタジオで開発された本作は,日本語や英語,中国語にロシア語など,16の言語から1つを選び,簡単な単語や数字を覚えながら進めていくという,変わったアプローチのタイトルだ。

画像集#001のサムネイル/“語学学習用FPS”で勉強はできるのか。16の言語が収録された「Linguist FPS」に挑んでみる

 言語学習用というと,なんだか堅苦しいが,そういうノリではまったくない。町が殺人ロボットの軍団に占拠されてしまった! 学びたい言語の指示に従って,クリスタルを集めて町を救おう! という,ツッコミどころしかない感じである。まぁ,FPSだしね。

 具体的には,町の各所にレベルの書かれた扉が配置されている。その扉に指定された数字4ケタのパスワードを入力すると,チャレンジがスタート。「赤い扉を開け」「階段を上に登れ」「壁にあるアイコンの中から指定のものを撃て」といった指示が学習したい言語で伝えられるので,正しく行動すれば先に進める。最後の部屋にはクリスタルがあり,これを20個集めるのを目標にチャレンジをこなしていくのだ。間違った行動を選んでも即ゲームオーバーにはならないが,割とシビアな制限時間が設けられているので,それに間に合わないと即死してしまう。

画像集#007のサムネイル/“語学学習用FPS”で勉強はできるのか。16の言語が収録された「Linguist FPS」に挑んでみる

 また,最後の部屋には装備や弾薬,回復アイテムが落ちている。最初はピストル一丁しか持っていないので,チャレンジのクリア報酬で強化・補給しながら,町に溢れた殺人ロボットと戦わなければならない。
 タイムアップや戦闘で体力が0になると,すべてのクリスタルや装備を失いまた最初からスタートだ。

画像集#008のサムネイル/“語学学習用FPS”で勉強はできるのか。16の言語が収録された「Linguist FPS」に挑んでみる

 ようするに,「戦いながら学びたい言語の指示を聞け,できなければ死ね」が主な流れである。
 最初の関門になるのが,扉を開けるために必要な4つの数字の入力だ。数字は,音声と文字で指示されるのだが,そもそもこれが分からないと扉が開かず,お話にならない。
 とはいえ,ぶっつけ本番で町に降り立つとまず詰むので,最初はトレーニングルームを使って,まずは0〜9の数字,次にチャレンジクリアのための単語を学ぶことになる。

 本作に出てくる単語自体は,難しいものではない。数字や色,上下左右の方向,ジャンプやしゃがみといった動作などが主で,中学英語レベルである。というか,これが英語なら指定されたところでまったく問題はない。とくに海外FPSを遊んでいるPCゲーマーであれば,英語で表示されたところで普通な感じである。

 次に中国語。これもかなりイケる。なにせ表記が漢字だ。パスワードの入力も「一・二・三」なので間違えようがないし,仮に知らない単語が出てきてもなんとなく「これかな?」と分かる。いくつか漢字で予想できない単語もあったが,そこだけ予習しておけばゲーム進行は問題ナシである。いや,何を言っているかはまったく分からないし,発音で判別できていないので,学習していないだろと言われると何も言い返せないのだが。

画像集#002のサムネイル/“語学学習用FPS”で勉強はできるのか。16の言語が収録された「Linguist FPS」に挑んでみる

 問題は,そのほかの言語である。数字だけなら,ドイツ語やフランス語ならある程度どうにかなる。「アインス・ツヴァイ・ドライ」「アン・ドゥ・トロワ」など,いろいろなところで聞いたころのあるフレーズのおかげで,パスワード入力はクリアできるからだ。どの色の扉を開けろという指示についても,ルージュやノワールなど知っている単語を拾えば突破できる。
 しかし,そこまでだ。指示が複雑になるにつれ,分からない単語が増えていくため,トレーニングルームをフル活用しないとどうにもならない。さらに,これがロシア語や韓国語になると,音も文字もまったく分からなくなってくるので,完全にお手上げだ。

ヤバイ,さっぱり分からん
画像集#003のサムネイル/“語学学習用FPS”で勉強はできるのか。16の言語が収録された「Linguist FPS」に挑んでみる

 「いや,そのために勉強するんでしょ」と思うかもしれないが,そもそも本作は,文字の読み方や文法を懇切丁寧に教えてくれるような学習ゲームではない。そのため,何も分かっていないのに,問題に合わせて「この文字列ならこれ!」と形だけ覚えて回答を選ぶ,ダメ学生の一夜漬けの丸暗記みたいなムーブでチャレンジを突破していくことになるのである。

 筆者はダメ学生だった頃,韓国のMMORPGにハマっていたので第二外国語として韓国語を学んだことがある。今ではさっぱり思い出せないが,本作をプレイしていて「そういえばこの文字はこうやって読むんだったわ」と記憶が呼び覚まされたので,一度学習した言語なら,基本的な発音や単語を覚え直すには使えるだろう。
 ただ,本作でイチから言語学習ができるかというと,どうしてもゲームの進行状,絵合わせのように回答を覚えてしまうので,厳しいと思う。やはり,まずは地道に文字の読み方からお勉強して,それから本作を遊んでみるぐらいがいいのではないだろうか。

同じものがさまざまな言語で呼ばれる本作だが,ピザだけはどの言語でもおおよそピザである。「ピッツァ!」とかはあるけど
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 もう1つ,大きな問題となるのが殺人ロボットとの戦闘だ。何が困るって,こいつらは言語学習と関係なく強すぎる。序盤はいいのだが,クリスタルの数が増えていくと敵も強化され,ヒドいことになっていくのだ。こちらはライフも弾薬も限られているのに,ワケの分からない数が四方八方から押し寄せてくる。そのため,常に360度警戒しなければならないし,パスワード入力中なども問答無用で攻撃してくるので安心できない。
 そうした状態で,勉強中の言語で正しく回答するのはけっこうな緊張感があるが,そもそも回答がなくても死ねるレベルなので,先に進めない。

弾薬が尽きるまで戦っても敵の出現が止まらないこともあり,どこまでが仕様なのかちょっと分からない。死ぬわ!
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 というわけで本作は,言語学習できるのは数字や一部の単語ぐらい,FPS部分のデキも粗いということになってしまうのだが,プレイ中の熱中度は意外と高かったりする。なにせ普段使わない言語のことを考えながら戦闘を続けるため,ほどよく頭を使うのだ。筆者は一通りの言語で遊んでみたが,「中国語なら進めるぞ!」「この言語まったく分かんねえ!」「韓国語懐かしいな!」とゲラゲラ笑いながらプレイしていたことを考えると,こうしたアプローチを学習のきっかけにするのはアリなのかもしれない。

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「Linguist FPS」Steamストアページ

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