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ソニー製モバイルプロジェクタ「MP-CD1」の可能性を探る。どこにでも画面を投写できる利便性はゲームのプレイスタイルを変えるか
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印刷2018/04/28 00:00

レビュー

どこにでも画面を投写できるモバイルプロジェクタはゲームのプレイスタイルを変えるか

ソニー MP-CD1

Text by 林 佑樹


MP-CD1
メーカー:ソニー
問い合わせ先:総合サポート
実勢価格:4万4800〜5万円程度(※2018年4月28日現在)
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 ゲームとプロジェクタ。
 4Gamer読者諸兄諸姉の中には高級なプロジェクタで大画面でのゲームプレイを日々満喫している人もいるとは思うが,絶対数としては少ないだろう。それはコストの問題ももちろんだが,投写する先となるスクリーン(的なもの)を家の中で確保する手間が,ハードルとして聳え立つのが大きい。

 そういう問題を解決するかもしれない存在が,手軽に屋外へも持ち運べるため,投写先を確保しやすいモバイルプロジェクタである。複数のメーカーからいろいろ出ているジャンルではあるのだが,今回4Gamerでは,2018年4月25日に発売となったばかりのソニー製モバイルプロジェクタ「MP-CD1」を同社から貸し出してもらえたので,ゲームで使えるのかどうかをチェックしてみたい。

MP-CD1の発表を受け,まず脳裏に浮かんだ「絵」はこれだった。頭上にマウントされているのがMP-CD1だ
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 実勢価格は4万4800〜5万円程度(※2018年4月28日現在)と,少なくとも「高級」ではなく,またスクリーンを前提としないモバイル用途が前提なので,部屋の規模やスクリーンの有無を問わず利用できるというメリットがあるわけだが,さて使い勝手はどうだろうか。


コンパクトな筐体と優秀な台形補正機能が目を惹くMP-CD1


製品ボックス
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 MP-CD1のサイズは実測約83(W)×150(D)×16(H)mm,重量は同280gだ。イメージとしては大容量のモバイルバッテリーに近い大きさである。
 ソニーとしての主なターゲット市場は会議室,というかビジネスの現場だと思われるが,持ち運ぶとき邪魔にならないサイズだ。また,スマートに利用できるような配慮だと思うが,電源を入れてからMP-CD1が映像を出すまでに要する時間は約5秒しかかからない。本体に内蔵する5000mAhのバッテリーにより,最大で約2時間の連続投写が可能だ。

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製品ボックスを開けた状態。合皮製のモバイルケースに入った状態でご対面だ。このあたりもビジネス用途を前提とした製品っぽい
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付属品はHDMI Type AケーブルとUSB Type-Cケーブル,USB Type-C(メス)→USB Micro-B(オス)変換アダプターの3本

本体奥側には投写孔がある。ここに出力10Wのモノラルスピーカーも埋め込んであるようだ
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 投写用レンズのある側面を「奥側」としたとき,インタフェースはすべてが本体正面向かって右側面に並ぶデザインだ。奥から順に3.5mmミニピンのヘッドフォン出力,MHL対応のHDMI Type A,MP-C01をモバイルバッテリーとして使い,スマートフォンへ充電を行うときに使うUSB Type-A,5V 3A仕様に対応し,約2.5時間でフル充電できるUSB Type-Cという並びで,最も手前には電源ボタンが配置されている。
 USB Type-Cによる給電を行いながらの利用は可能。HDMI端子が最も標準的なType Aなので,うっかりケーブルを忘れても外出先で詰みづらいのはいい。

右側面のインタフェース。仕様上の細かな話をしておくと,USB Type-A端子の出力は5V 1.5A。スマートフォンなどとMHL接続している場合,USB Type-A端子による給電は行えないという
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MP-CD1をモバイルバッテリーで充電している例(左)と,MP-CD1で「iPhone 8 Plus」を充電している例(右)。充電仕様は5V 1.5Aなのだが,iPhone 8 Plusの充電にあたっては1.05A止まりだった。バッテリー残量が100%から50%へ落ちるまで充電してみたが,変動はとくになかったことも触れておきたい
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 搭載するプロジェクタモジュールはTexas Instrument製のDLP(Digital Light Processing)で,解像度は854×480ドット。つまりアスペクト比は16:9である。色は1677万色に対応する。光源はLEDで,公称光源寿命は5万時間だ。

本体正面向かって右側面に,フォーカス調整用のスライダーがある
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 投写できる距離は1.15〜3.45mで,スクリーンとして使う壁面(など)までの距離が1.15mのときに40インチ,3.45mのときに120インチとなる。フォーカスはマニュアルで,本体正面向かって左側面に用意されたスライダーを使って行うタイプだが,スライダーは適度に“重”く,厳密なピント合わせを行いやすい。

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スペック上の最短投写距離は1.15mだが,試した限りはなんと80mmでも大丈夫だった(※写真で下に見える黒い物体がMP-CD1)。この場合,13インチくらいのサイズになるが,サブディスプレイ的に使うなら面白いかもしれない。もちろんメーカー保証外だが
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だいたい120インチで投写したところ。場所は相当に選ぶものの,暗い場所でならとてもいい感じの絵が得られる

 垂直方向に±40度の自動台形補正機能を備えるため,設置角度をほとんど問わないというのも,ピント合わせのしやすさには寄与している印象がある。

自動台形補正機能はかなり優秀。解像度が低いわりに細かい文字までちゃんと視認できた。明るさも均一だ
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 ただし,自動台形補正は垂直のみなので,水平軸合わせだけは真面目にやる必要がある。本体底面には一般的なカメラ用三脚と互換性のあるネジ穴があるので,小型の三脚を組み合わせるといいかもしれない。

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本体底面にはファンの排気孔と,三脚用ネジ穴がある。コンパクトなカメラ用三脚と組み合わせると便利だろう
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本体天板部には「SONY」ロゴ,そして電源およびバッテリー残量のステータスLEDのみがあった
小型三脚と壁面があれば,どこでも使えるので,あたたかい季節のレジャー向けな感じもある
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本体側の光は投写孔を除いて最小限なので,投写の邪魔はしない
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 明るさは105 ANSIルーメン(※投写面を3×3の9分割し,その平均照度(lx,ルクス)に投写面の面積(m2)をかけた値)と,劇的に明るいわけではないものの,明るさは均一で,その点においてゲーム向きと言える。薄暗い環境であれば,見栄えは十分に良好である。

これは屋外で壁面に投写している例だが,ご覧のとおり,暗所ならかなりはっきりとした絵が見られる。明るさは均一だ
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 本体は冷却用のファンを搭載するが,その動作音は比較的控えめ。本体内蔵のスピーカーを使って音を流していればまず気にならないレベルだ。


遅延はあるが,FPSやリズムゲーム以外ならなんとかなる。スマホだとむしろ別の問題が


 もう少し細かく使い勝手をチェックしていこう。
 MP-CD1は「標準」と「ダイナミックピクチャー」という,2つの「画質モード」を備えており,電源ボタンの短押しにより順繰りに切り替え可能だ。下に写真で例を示したが,標準だとやや黒が浮いた印象を受ける場合はダイナミックピクチャーを選んだほうがいい。もっとはっきり言うと,明るめの場所だとダイナミックピクチャーのほうが視認性は高い。
 なお,製品スペック上は「ダイナミックコントラスト」が400:1となっているが,この値はダイナミックピクチャー選択時のものと思われる。

左が標準,右がダイナミックピクチャー。環境に合わせて切り換えるといい
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デレステのタイミング調整の場合,iPhone 8 Plusでは「+1」だが,MP-CD1の場合は「+3」にする必要があった。+3ならプレイに問題ないが,ただ,投写側を見ながらプレイするのはまず無理だ
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 遅延はどうかだが,さすがに「ない」ということはない。ただ,「シビアな入力タイミングが要求されないアクションゲームには堪える」といったところだ。たとえばPlayStation 4 Proで「MONSTER HUNTER: WORLD」をプレイしてみたところ,とくに違和感なく遊べた。歴戦のテオ・テスカトルにランスで延々と貼り付きができたので,FPSやTPS,リズムゲームなどを除けばおおむね問題ないと言っていいのではないだろうか。


 筆者は当初,MP-CD1とスマートフォン,ゲームパッドを使えば屋外でプレイする環境を簡単に構築できるだろうと思っていたのだが,よく考えると「ゲームパッド対応タイトル」の数は,最近,すっかり少なくなってしまった。ストアで「ゲームパッドに対応している」という条件でゲームを探すのも難しいので,MP-CD1をスマートフォンと組み合わせる場合は現実的に,画面をあまり見なくても操作できるタイトルをプレイするかか,それこそ「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」(Android / iOS,以下 デレマス)のようなタイトルで大画面を使ってMVを楽しむ程度に留まることになるだろう。

 スマートフォンの画面に直接取り付ける「操作補助用アイテム」があればプレイが容易になるタイトルもあるとは思うが,日本市場におけるこの手のアイテムの普及度合いを考えると,あまり現実的ではなさそうだ。



サブディスプレイ的に考えると使いでのあるMP-CD1


スマートフォンの画面を投写する場合はMP-CD1本体上にスマートフォンを置いてしまうのが楽でよかった
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 以上,MP-CD1は,PCや据え置き型ゲーム機を組み合わせる限り,FPSやリズムゲームなどといった遅延面でシビアなタイトルでなければ問題なくゲームで使っていける。一方,スマートフォンと組み合わせる場合,「MP-CD1が投写した画面を見ながら,ボタンのない手元の画面を使って操作できるか」というのが低くないハードルとして立ち上がるが,見て楽しむ程度であれば問題ない。
 明るい場所での視認性は高くないが,ある程度暗ければ十分な視認性があり,かなり「遊べる」印象がある。常時ゲームで使うというよりは,旅行先でゲームをプレイするときの“大画面”にしたり,天井に投写してダラダラプレイしたりといった具合に,サブディスプレイ的に考えるのがいいのではなかろうか。
 実勢価格は4万4800〜5万円程度(※2018年4月28日現在)なので,安価とは言えないものの,冒頭で触れたとおり「高級」ではない。その使い道を十分に把握したうえで検討するのはアリだろう。

テスト中の発見としては,均一に明るいため,白い衣服にプロジェクションマッピング的に投写すると,コスプレ方面で役立ちそうな感じだったというのが挙げられる
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ソニーのMP-CD1製品情報ページ

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