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マフィア梶田の二次元が来い!:第536回「マルチディスプレイで世界を救うClubhouse」
「いや,そんなに使わんやろ!」って思われるかもしれませんが,マジで何台あっても困らないんですよ。あればあるほど,活用できてしまう。一度でもマルチディスプレイ環境を構築してしまうと,もうシングルには決して戻れません。PCのディスプレイなんて1枚で十分だと考えている方々,騙されたと思ってまずは1台増やしてみてください。気が付けばあっという間に“沼”ですよ!
フリー“なんでも”ライター・マフィア梶田と,声優・中村悠一がお届けするYouTubeチャンネル「わしゃがなTV」。直近の更新では「QUIZなないろDREAMS 虹色町の奇跡」の移植版をエンディングまでプレイしました。
完全な初見プレイということで,女の子達の好感度を思うように稼げないままラスボスへ。最終ステージでまさかの事態に陥り,誰しもが予想できなかった衝撃的な結末へと至ります。とても見応えのある動画になっておりますので,ぜひ#1から通して観ていただけると嬉しいです!
つい先日,ゲームクリエイターの祁答院 慎さんからお誘いがあって「Clubhouse」というSNSを使い始めました。風の便りには聞いておりましたが,なにやら「音声版のTwitter」とも言われているらしい話題のアプリ。昨今ではアニメ・ゲーム業界からも続々と著名人が参加しているようです。
現状iOS版のみのサービスですし,UIは英語のみ(※登録名やルーム名は日本語入力が可能)。そもそも無精者でTwitterやInstagramも頻繁には更新しない自分には,少しばかりハードルが高いように感じましたが……。ことエンタメ業界においては,常に最新の流行に触れていなければすぐに感性が鈍化してしまうもの。「アレコレ悩む前にやってしまえ」の精神で飛び込んでみました。
いざ試してみると映像は無く音声のみの配信ですし,聴きに来ている参加者からリアクションがあるわけでもない。YouTubeを筆頭とする各種動画配信サービスなどが存在する中で,わざわざこのように機能の限定されたSNSを活用する意味とは……? と,最初は疑問に思っていたのですが,使っているうちになるほど,いろいろと見えてきました。
まず,「Clubhouse」での配信は日本で言うところの「一期一会」がコンセプトのようで,アーカイブは残らず,基本的に録音・書き起こしなども禁止であることが規約に明記されています。不特定多数の人間が利用する以上,実効性に関しては怪しいものですが,ともあれ「ルールとして明記されている」のがユニークなところ。また,SNSなのに登録手順が完全招待制なのも珍しく,それが多くの人々の興味を誘っている面もありそうです。
トークルームを作り,ひとりしゃべりを行うも良し,誰か知人を誘ってラジオ的なことをやるも良し。とはいえ誰もが発信者である必要は無く,聴き専として興味のあるトークルームをハシゴするという使い方をしているユーザーも多いようです。
個人的に機能として面白いと感じたのは,望めば参加者をトークルームに引っ張り上げられるという点でしょうか。「知人だけど日常的には連絡をとらない」くらいの関係性の人って多いと思うのですが,そういった人々がたまたまトークルームにやってきたりして久しぶりに話す……みたいな状況がとてもカジュアルな空気感で発生するんですよね。
とくにコロナ禍で人々のつながりが希薄になりがちな昨今,「Clubhouse」におけるコミュニケーションは「会話」の重要性を再認識させてくれます。文章だけでは味わえない,感じられない尊さが,人間同士には確かに存在するということを実感できるんですよ。「電話かLINEで通話すればいいじゃん」と思うかもしれませんが,実際に体験してみると「Clubhouse」での会話はそういった「通話のための通話」に比べて心理的なハードルが,大幅に引き下げられるということが理解できるかと思います。普段は「忙しいんじゃないか,迷惑なんじゃないか」と,お互いの立場や環境を慮ってしまいますが,不思議と「Clubhouse」だとそれが無くなるんですよね。
また,少しでもセンシティブな発言をすれば即座に揚げ足を取られて拡散され,袋叩きにされてしまうのが現代のネット界隈。世界中に向けて自身をアピールする行為がすっかり生活の一部として定着しましたが,一方で「SNS疲れ」が蔓延している世の中に対し,「Clubhouse」はあえて機能を制限する,巧みな手法でアプローチしてきたなという印象です。
ただ,もちろん懸念点もあります。自分のように,「おしゃべりすることが仕事でもある」立場の人間がどこまでコレに踏み込んでいいのか,判断に困る面があるんですよね。普段からマフィア梶田のトークに対価を支払ってくれているクライアントやユーザーが存在している以上,このようなクローズドな空間で“商品”を無償提供することには若干の罪悪感があります。例えばYouTubeのように広告収入でも発生するのであれば,プロとしての体面を保つこともできるのでしょうが……。
そのあたりも含め,特殊な規約にどこまで実効性があるのか,マネタイズはどうするのかなど,様々な視点から今後の展開に注目したいサービスですね。
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