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GameVketZeroの「Google Playのインディーズゲームってどんなの?」セッションレポート。開発者が東宝と“戦わないゴジラゲーム”を作るまで
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印刷2021/05/06 16:49

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GameVketZeroの「Google Playのインディーズゲームってどんなの?」セッションレポート。開発者が東宝と“戦わないゴジラゲーム”を作るまで

 オンラインのインディーズゲームイベント「GAMEVketZERO」にて,2021年5月1日に,開発者向けトークセッション「Google Playのインディーズゲームってどんなの?」が配信された。内容は,Google Playが主催するコンテスト「Google Play Indie Games Festival」についてだ。

 「Google Play Indie Games Festival」は,Google Playが主催するAndroid向けインディーズゲームのコンテストで,日本では2018年からスタートし,2021年の開催も決定している。
 この日は,Googleで同コンテストに携わる五十嵐 郁氏と,開発者への技術支援を行うロドリゲス・オスカル氏,そして2019年に「ゴジラ賞」を受賞し,今は東宝と協業しているホカマフミシゲ氏が,Google Play Indie Games Festivalの概要やメリットについて語った。

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「Google Playのインディーズゲームってどんなの?」出席者
  • 五十嵐 郁氏(Google Japan:Google Play Partnerships)
  • ロドリゲス・オスカル氏(Google Japan:Developer Advocate)
  • ホカマフミシゲ氏(ゲームクリエイター:Google Play Indie Games Festival 2019『ゴジラ賞』受賞者)
  • 宮田大介氏(ゲームクリエイターズギルド主宰:進行)

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写真左から,オスカル氏,宮田氏,ホカマ氏,五十嵐氏

 日本のGoogle Play Indie Games Festivalは,「日本のインディーズ開発者の創造性や,彼らが作るソフトの高い品質に注目してもらい,世界中のAndroidユーザーに届けたい」という思いで開催されているという。
 受賞者にはさまざまな形でサポートが行われるのが特徴で,その姿勢について五十嵐氏は「よってたかってサポートしようとするコンテスト」であると語る。受賞したゲームがGoogle Playでプロモーションされるのに加え,技術サポートや海外展開へのコンサルティングを受けられたり,クローズドな勉強会への参加権がプレゼントされる。また,集英社や東宝といったIPホルダーとの協業(開発費サポートとIPの提供)が可能な賞が用意されているのも特徴だろう。

 一昨年に「ゴジラ賞」を受賞したホカマ氏が東宝とのゲーム制作を行い,完成した「ラン・ゴジラ」の日本版が2021年6月に配信スタートするなど,成果も挙がっている。ゲームをフィーチャーするだけでなく,技術サポートや協業などで開発者をステップアップさせる側面があるというわけだ。

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 そんなGoogle Play Indie Games Festivalだが,五十嵐氏によると審査ポイントは4つ存在するという。それは「革新性」「楽しさ」「デザイン」「クオリティ」だ。
 「革新性」については解説するまでもないだろう。尖ったものや新しいチャレンジなどが評価される。同時に,尖らせるだけでなく,ゲームとしての「楽しさ」や面白さが求められる。そして,ここでいう「デザイン」は,ただリッチなグラフィックスであればいいというものではなく,良く考えられたアートスタイルや,しっかり作られたユーザーインタフェースによるユーザーエクスペリエンスなども含まれる。そして「クオリティ」は,バグやフリーズなどを起こさないゲームとしての確実な動作を指す。つまりは,ただアーティスティックに尖っているだけでなく,ちゃんとしたゲームであることが求められるのである。

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 ホカマ氏は,受賞者から見たGoogle Play Indie Games Festivalについて語った。氏が応募したのは,知り合いからコンテストのことを教えられたことがきっかけ。2018年に応募したかったものの,出品するゲーム「相撲巻 - 横綱への道」がギリギリで完成せず,翌2019年にエントリーすることになったという。

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 同作は物理挙動をベースにした相撲ゲームだ。相撲をテーマに据えた理由は,氏がもともと和風ゲームを得意としていたのに加え「相撲は皆が知っているのに,ゲームになることがほとんどない。インディーズ開発者として,大手のやらないことをやらなければ」という思いがあったのだという。
 ただ,相撲は分かりやすい打撃戦ではなく,ゲームに落とし込むのが難しい組み技や投げ技が主となる。皆が相撲をゲームにしない理由を痛感しつつ,相撲の決まり手全てに対応するべく開発を続けたという。

 こうした苦労の甲斐あり,ゲームは2019年6月29日に行われたファイナルイベント(最終審査)へ進出している。あえて大手が選ばない相撲という題材をしっかりゲームにしたことにより,前述した「革新性」「楽しさ」の観点から評価されたというわけだ。

「相撲巻 - 横綱への道」公式サイトから
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 ファイナルイベントでは,会場でホカマ氏自身がプレゼンを行ったが,この時には事前に受講できたトレーニングが役に立ったという。これはGoogle Playが希望者を対象に無料で提供したもの。五十嵐氏は希望者の数を2〜3人ほどと予想したが,蓋を開けてみると出席者のほぼ全員が受講したという。

 無事にプレゼンを終えたホカマ氏は,東宝から「ゴジラ賞」を受賞し,ゴジラのゲームを作ることとなった。6月のファイナルイベント終了後,7月には企画のたたき台を出したというからかなりのスピード感だ。ゴジラは67年もの歴史を持つIPではあるものの,「東宝さんの懐が広く,自由にやらせてもらった」という。
 ゴジラといえば,戦ったり物を壊すというイメージがあるが,「ラン・ゴジラ」ではあえて“戦わないゴジラ”という方向性からアプローチ。戦わないが勝負はさせたいということで,勝負の原点であるかけっこをフィーチャーし,ゴジラと人間の関わり,栄枯盛衰といったテーマも盛り込んだ作品が完成した。“走れゴジラ!ゆるくてシュールな,ゴジラ放置育成ゲーム”をコピーに掲げる同作は,既に海外で配信がスタートしており,好評を博しているとのこと。2021年6月の日本版配信を楽しみに待ちたい。

「ラン・ゴジラ」公式サイト
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 最後にホカマ氏は,Google Play Indie Games Festivalへの応募者に向け「さまざまなゲームが集まるコンテストなので,いかにして審査員の心に残るかが大事。革新性,楽しさ,デザイン,クオリティの4点を押さえるのに加え,キャッチコピーやキービジュアルなどで“他のゲームと比べて自分のゲームはどう面白いか”がすぐ分かるようにすることが重要」とアドバイスを贈った。

 その後五十嵐氏から,Google Play Indie Games Festival 2021の開催がアナウンスされた。今年は学生部門が新設され,ゲームの出来映えによっては学生部門と一般部門のダブル受賞も狙えるという。詳細な日程やレギュレーションについては後日改めて発表が行われるとのことだ。

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 なお,配信では,五十嵐氏が視聴者からの質問に答えている。応募を考えている人は参考にするといいだろう。

Q:海外受けを意識する必要はあるのか?

A:海外受けは必ずしも必要ではなく,先述の4つのポイントが重視される。一昨年も日本語によるノベルゲームが受賞している。海外で受けることと,審査で重視される「楽しさ」は両立できると考えている。


Q:応募するゲームは,リリースされた完成版でなければならないのか?

A:応募時点でβ版がリリースされており,コンテスト後,一定期間内に完成版が予定されているならOK。


Q:古い作品で応募してもいいのか?

A:今後発表される,今年の応募条件を確認して欲しい。ただ,昨年までのレギュレーションでは“前回のコンテスト締め切り以前にリリースされたものは不可”だったため,今回も古い作品での応募は難しくなる可能性は高い。


Q:他のプラットフォームで発表済みのゲームを,Androidに移植したもので応募しても良いのか?

A:Androidプラットフォームでこれまでに出ていないものであればOK。

このほか,オスカル氏からは,最新開発ツールの紹介が行われた。プログラムをまったくいじらずに不正対策ができる「Play Automatic Integrity Protection」,使いこなすとパフォーマンスが劇的に向上する「Android GPU Inspector」など,入手先は下の画像を参照のこと
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「GameVketZero」公式サイト

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