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舞台「アクダマドライブ」ゲネプロレポート。型破りなキャラクターとシナリオ,そして演技と技術が一体化した演出の数々に注目
本作は,「ダンガンロンパ」シリーズの小高和剛氏がストーリー原案とキャラクター原案を手掛けるオリジナルTVアニメ「アクダマドライブ」を舞台化したタイトルだ。こちらでは,3月10日に実施されたゲネプロ公演の模様をレポートしていく。
なお,4Gamerでは「一般人」役の黒沢ともよさん,「運び屋」役の蒼木 陣さん,「殺人鬼」役の本田礼生さんへのインタビュー記事も掲載している。稽古の裏側についても語られているので,気になる人は合わせてチェックしてみよう。
“音楽ライブに行く”くらいの心構えで来てください! 舞台「アクダマドライブ」で一般人,運び屋,殺人鬼を演じるキャスト陣にインタビュー
2022年3月10日,東京・品川プリンスホテル ステラボールにて幕を開ける舞台「アクダマドライブ」のキャストインタビューをお届けしよう。本舞台は,「ダンガンロンパ」シリーズの小高和剛氏がストーリー原案を務めるオリジナルTVアニメ「アクダマドライブ」の舞台化作品だ。
舞台「アクダマドライブ」公式サイト
舞台「アクダマドライブ」 | |
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公演日程・会場 | ●東京公演: 2022年3月10日(木)〜3月21日(月・祝) 品川プリンスホテル ステラボール ●大阪公演: 2022年3月26日(土)・3月27日(日) COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール |
原作 | ぴえろ・TooKyoGames |
演出 | 植木 豪 |
脚本 | 白鳥雄介 |
音楽監督 | 田中マッシュ |
テーマ曲 | 浦島坂田船「鈍色Wheels」 |
出演 | 一般人:黒沢ともよ 運び屋:蒼木 陣 チンピラ:長妻怜央 医者:吉川 友 ハッカー:廣野凌大 喧嘩屋:桜庭大翔 処刑課弟子:星波 処刑課後輩:佐久間貴生 兄:中村琉葦・国井 煌 (Wキャスト) 妹:佐久間凛奈・神津優花(Wキャスト) 殺人鬼:本田礼生 処刑課師匠:唐橋 充 処刑課FORCE:Toyotaka ・RYO ・HILOMU ・Dolton ・KENTA ・KIMUTAKU |
シナリオ,歌,ダンスのすべてが一体になった
“舞台”の枠を超える総合エンタメに
まずは,序盤のストーリーを軽く紹介しておこう。物語の舞台となるのは,かつて発生したカントウとカンサイの戦争により,カンサイがカントウの属国になった世界だ。
戦争によってカンサイの政治は崩壊し,警察権力の腐敗によって犯罪数が増大。“アクダマ”と呼ばれる凶悪犯罪者たちがはびこるようになってしまう。
ある時,アクダマたちのなかでも,飛び抜けた技能を持つ者たち――「運び屋」「喧嘩屋」「ハッカー」「医者」「チンピラ」の5人は,莫大な報酬を約束するという“ある依頼”を受け,カンサイ警察署に襲撃を仕掛ける。
その依頼内容は,公開処刑が予定されていた「殺人鬼」を解放するというもの。襲撃を成功させたアクダマたちと,警察署で襲撃に巻き込まれた「一般人」と「チンピラ」,そして解放された「殺人鬼」の7人は,そこで依頼の“真の目的”を告げられる……というのが,本作のあらすじだ。
なかなか入り組んだ世界観のようにも感じられるが,本筋は「悪いやつらが力を合わせて目的を達成する」というシンプルなものであり,難しい設定を覚える必要はない。
登場人物のなかでも観客に近い「一般人」がきちんと状況やストーリーの展開を表現してくれていたり,カンサイで放送されている教育番組を模した解説が入ったりと,世界観を伝える工夫も施されているので,たとえアニメ版を未履修の人であっても問題なく舞台に入り込めるだろう。
自身に絶対的な自信を持つアクダマたちは協調性ゼロで,ストーリーは凄まじいスピードで進んでいく。世界観もキャラクターもやりすぎなくらい個性的だが,歌やダンスを織り交ぜた演出と,意外性あふれるストーリーで観客をグイグイと世界に引き込んでくれる。
観ていて何より驚いたのは,音楽や映像と一体化したダンスや演技の数々だ。舞台の背景に用意された大型スクリーンを活用した映像演出はもちろん,キャストの体の周囲に照射されたレーザー照明と動きを完全に同期させた演技などは,そのクオリティの高さに圧倒されてしまった。
メッシュ仕様の衝立にプロジェクションマッピングの要領で映像を投影する演出も見逃せない。ある時は鉄格子となり,ある時はハッカーが纏うサイバーなエフェクトとなり,1枚の衝立が多彩なオブジェクトやエフェクトに変身するのだ。
単に技術的にスゴいだけではなく,そうした技術と演技を一体化させることで,舞台の上にはアニメとも現実とも異なる不思議な世界が作り上げられていた。舞台に馴染みが深いとは言えない筆者であっても,観劇のなかでつい驚きの声が漏れてしまったほど。
また,それぞれのキャラクターを魅力的に見せる工夫が随所に盛り込まれているのも注目ポイントだ。
それがとくに顕著に見られるのが,オープニングをはじめ,ストーリーの要所で見られるダンスシーン。ベースの振り付けは同じであっても,殺人鬼はなまめかしく,チンピラはどこか気取った様子でと,それぞれの特徴がしっかり表現されている。
もちろん会話シーンにおいても,シーンの中心になっていないキャラクターが隅っこで会話を楽しんでいたりと,キャラクターを魅力的に見せるネタが随所に仕込まれている。舞台のどこを見ても見どころばかりなので,複数人で観劇に行けば,それぞれに違った「ここが良かった」ポイントを見つけられるだろう。
さまざまな技術を活かした演出と,ハイクオリティな歌やダンスを融合させた舞台「アクダマドライブ」は,いわゆる“舞台”というカテゴリを超えた作品だ。機会があれば,ぜひ自身の目でこの新しいエンタメを確かめてみてほしい。
なお,東京公演のチケットはローソンチケットにて,大阪公演はチケットぴあ,ローソンチケット,イープラスで購入できる。3月27日の大阪での千秋楽公演はライブ配信+アーカイブ配信が予定されており,配信チケットはSPWNにて販売中だ。さらに8月26日にBlu-rayが発売されることも決定している。
舞台「アクダマドライブ」公式サイト
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