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Activision Blizzard傘下のRaven Softwareで進められていた品質管理部門の労働組合結成が認められる
これは,IT産業での組合組織化を推進する協同組合CODE-CWA(Communications Workers of America's Campaign to Organize Digital Employees)との提携により実現するものだ。アメリカのゲーム企業においては,10年以上の歴史を持つ大手パブリッシャでは初めてのことになる。
Raven Softwareの品質管理部門がストライキに入ったのは,Activision Blizzardが全社にまたがる品質管理部門のリストラをアナウンス(関連記事)した今年1月のことだ。品質管理部門の業務は多岐にわたるが,その中でも一般的なQAテスター(ゲームテスター)は繁忙期が集中することもあって,一般的にはプロジェクト単位での短期雇用が多い。さらに,ゲームに精通したプロのテスターばかりでは一般消費者としての視点に欠けてしまうこともあるため,安定的な雇用につながらないことは以前から指摘されてきた。
Activision Blizzardは,すでに1000人以上のQAテスターをフルタイムとして雇用し,その基本時給も20ドルを最低ベースにすることを発表するなど懐柔策を図る一方,これまで組合の組織化には否定的だったとされている。2月に行われた全米労働関係委員会での公聴会では,Raven Softwareに30名ほどしかいない品質管理部門の契約労働者だけでなく,同社で雇用されている全従業員230人の投票が必要になるはずだと論じていたが,今回の投票はその訴えが却下されたうえで行われたという経緯があった。
2021年夏に発覚したActivision Blizzard内でのハラスメントに端を発した組合組織化の動きだが,世界的にもスウェーデンのParadox Interactiveや韓国のNEXONなどでも,安定的な雇用体系を望む組合結成の動きは高まっている。ゲームというエンターテインメントが単なる商品ではなく,より長期的なユーザーサポートや品質管理が必要になる“サービスとしてのゲーム(GaaS / Game as a Service)”として進化する中,今回の動きは今後のActivision Blizzardやゲーム業界の在り方に大きな影響を与えることになるかもしれない。
Happy union day! We won! pic.twitter.com/nzJ4A3J3RB
— Game Workers Alliance ?#WeAreGWA (@WeAreGWA) May 23, 2022
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