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支援金総額は1億円。バンナム主催インディーズゲームコンテストの支援作品が発表された「TOKYO INDIE GAMES SUMMIT」ステージレポート
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印刷2023/03/06 20:07

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支援金総額は1億円。バンナム主催インディーズゲームコンテストの支援作品が発表された「TOKYO INDIE GAMES SUMMIT」ステージレポート

 インディーズゲームイベント「TOKYO INDIE GAMES SUMMIT」が,2023年3月4日に東京・吉祥寺の武蔵野公会堂で開催された。
 バンダイナムコスタジオのレーベル「GYAAR Studio」のタイトルも出展されていた同イベントだが,ステージでは「第1回 GYAAR Studioインディーゲームコンテスト 支援作品大発表&スペシャルトークセッション」が実施され,支援作品の発表やバンダイナムコの審査員によるトークセッションが行われた。

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 「GYAAR Studioインディーゲームコンテスト」は,バンダイナムコエンターテインメントバンダイナムコスタジオによる,インディーズゲームクリエイターに向けたコンテストだ。
 エントリーされた作品の中から,プラチナ賞を1作品入賞を7作品(いずれも最大)選出し,受賞作品に総額で最大1億円の支援を行う。また,バンダイナムコスタジオによる開発支援や,開発拠点「GYAAR Studio Base」のフリー利用権, パブリッシュ支援,IP共創支援といった支援プログラムも提供する。
 なお1回めとなる今回は,全209作品の応募があったという。

 ステージに登壇したのは,本コンテストの審査員を務めた,以下の4名だ。

バンダイナムコスタジオ 代表取締役社長
内山大輔氏

バンダイナムコエンターテインメント 第3IP事業ディビジョン
765プロダクション エキスパート

坂上陽三氏

バンダイナムコエンターテインメント CX戦略室
データマーケティング部 データマーケティング1課 マネージャー

橋本貴大氏

Phoenixx 代表取締役社長
坂本和則氏

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コンテストを企画した経緯や

各審査員の評価基準などが明かされたトークセッション


 ステージ前半は,登壇者によるトークセッションが行われた。
 内山氏によれば,「GYAAR Studio」は,もともと研修などバンダイナムコスタジオの社内に向けた取り組みとして立ち上げた企画だったという。これを内部で終わらせるのではなく,外部のクリエイターともつながれるようにと考え,本コンテストの開催を決めたそうだ。

 コンテストは,受賞作品に対する支援金の総額が注目されがちだが,バンダイナムコスタジオのクリエイターによる開発サポートを受けられたり,GYAAR Studio Baseでゲーム開発に関するディスカッションができたりすることなどが,大きな目玉と言える。そして,そこから世界で戦っていけるアイデアが生まれるのではないかと,期待を述べていた。

 「GYAAR Studio」タイトルのパブリッシングを手がけるPhoenixxの坂本氏も,バンダイナムコスタジオのノウハウやリソース,経験などが提供されるのは,インディーズゲームクリエイターにとって貴重な機会であると指摘する。また,今回受賞したクリエイター達がGYAAR Studio Baseに集うことで,新しいシナジーやチームが生まれるのではないかと語った。

 また坂本氏は,2022年12月12日から2023年1月25日までの約1か月半の応募期間に対し,209作品の応募があったと説明し,「今回はきちんとゲームとして触れるもので,かつ未発表の作品のみ対象という難度の高いコンテストだったので,短い期間に多数の応募があったのは期待の現れだと感じたし,感動した」と話していた。

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 審査を終えて,率直な感想を問われた内山氏は,「100作品くらい応募があるかなと思っていたところに,さまざまな国や地域から200作品を超える応募があって驚いた」とコメント。
 またそれら作品の内容について,「いい意味でカオスっぷりがすごい。この発想は天才なのか? いや変態なのか? といった作品もあり,自分が試されている感じがした」「そういった基準で審査をして,どんな評価をすればいいかという部分は大変だったが,逆に刺激を受けた部分もあった」と話を続けた。

 坂上氏は,審査期間が短い中,実際に作品をプレイして審査するのが大変だったそうだ。これは,企画書を見るだけなら,1作品あたり10から20分程度で済むが,プレイするとなると最低でも1時間はかかってしまうからだという。

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 また通常はゲームをプロデュースする側である,坂上氏や橋本氏らバンダイナムコエンターテインメントのスタッフは,ゲームの開発を手がけるバンダイナムコスタジオのメンバーと一緒に審査をすることで,非常に刺激を受けたとのこと。
 さらに「普段は商業的なことばかり考えているのですが,クリエイターの熱意でゲームを作っていることを実感させてもらいました」と感想を述べていた。

 橋本氏は当初,インディーズゲームにマーケティングの観点がどこまで必要なのかと思っていたそうだ。
 しかし209作品もの応募があったことから,インディーズゲームの市場はしっかり形成されており,しかも盛り上がっているので,ユーザー側に対するマーケティングも重要になるのではと感じたという。

 また受賞作品に対するパブリッシング支援についても,「この先,インディーズゲームを世の中にどう広げていくか,どんなお客さんに手に取ってもらえるかといった話をクリエイターとする未来が,すぐ手前まで来ている」と展望を語っていた。

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 審査は,2月上旬に1次審査,2月中旬に2次審査,2月下旬に最終審査と,かなりスピーディに行われている。
 各審査方法だが,1次審査は評価にバラつきが出ないよう,一定の基準を設けてPhoenixxのスタッフが手分けをして全209作品をプレイ。そこで選出された作品を,2次審査で坂上氏や橋本氏らがプレイしている。
 坂上氏は,バンダイナムコスタジオから送られてきた審査用のノートPCの大きさ(スペックの高さ)に,「これは,かなり真剣な感じになってるぞ」と驚いたという。
 また事前に企画書などを読んで各作品をプレイするわけだが,当然それぞれ操作が異なるため「しっかり覚えて臨まなければならない」ことを肝に銘じていたそうだ。

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 橋本氏は,ジャンルがパズルやシューティング,ローグライクなど多岐におよんでいたことに言及し,「作品ごとに脳のスイッチを切り替えないといけない」とコメント。さらに「直感的にポイントが分かる作品もあれば,何回か遊んだ先に面白さがある作品もあるので,そのバランスをとるのが大変だった」と,多彩な作品を審査する際の困難を説明した。

 2次審査は,坂上氏と橋本氏のほかに,バンダイナムコスタジオのスタッフも行っている。坂本氏は,1作品あたりのコメントが丁寧かつ長文であることに驚くとともに,同じ作品に対してでも,点数がバラついたり,人によって好き嫌いや向き不向きがあると感じたという。そして,そうした点数のバラつきを楽しいと感じたとも語っていた。

 審査を進めるにあたって坂上氏は,新規性の高さや,人に紹介するときに何が面白いのかをきちんと説明できるところを重視したとのこと。特に新規性については,「ただ目新しいだけでなく,普遍的な要素を持つ一方で新しいと思えるもの」とし,「塊魂」を例に挙げて「基本的には雪だるまのように,転がすといろいろくっついて,どんどん大きくなっていく。この感覚は,意外と多くの人が直感的に面白いと分かる要素」と説明した。
 また「塊魂」のプロジェクトは,高橋慶太氏の発案をベテランのスタッフが形にしていったというエピソードを披露し,今回のコンテストと少し似ているところがあるとも話していた。

 橋本氏は,グッズ化など,今後バンダイナムコグループでどのように展開できるかも重視して審査に臨んだそうだ。
 また作品が持つ面白さを,どんなユーザーと共有したいのかハッキリ思い描けているかということにも着目し,「“ちょっとイライラしてほしい”,“ワチャワチャしながらコミュニケーションを取りつつやってほしい”といったように,プレイシーンを思い浮かべられると,その作品が世の中にどんどん広がっていくのではないか」と展望を述べていた。

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 最終審査は,2次審査を通過した作品のクリエイターとの面談を行っている。すべての面談に同席したという坂本氏は,「すごく素敵な人が多かった」と話していた。坂本氏の経験上,インディーズゲームクリエイターは自身を表現することがあまり得意ではない人が多かったそうだが,今回の最終審査に残った人達は自分の作品の面白さをきちんと伝えることができており,感動したそうだ。

 また最終審査を面談にした理由については,作品がまだゲームとして完成しているわけではないため,今後一緒に開発していくにあたり,コミュニケーションが取りづらかったりすると互いに損になるからであると説明し,「最後はやっぱり人だと考えた」と話をまとめている。

 内山氏は,ほかの審査員の評価を一切見ずに,最終審査に残った作品を自身でプレイして所感をメモしたり,拡張性の高さをチェックしたり,どんなユーザーに届けられるかを考えたりしながら審査していったという。
 その過程では,バンダイナムコエンターテインメントでのプロデューサー時代に戻った気持ちにもなれたと,笑っていた。


ステージ後半ではコンテストの受賞作品が発表に


 ステージ後半は,既報のとおり受賞8作品の発表が行われた。

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[2023/03/04 19:29]

●第1回 GYAAR Studioインディーゲームコンテスト 受賞作品


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【プラチナ賞】
作品名:「Little Cheese Works」
開発者(チーム)名:Bubble Gum (日本)

【入賞】
作品名:「Electrogical」
開発者(チーム)名:kinjo (日本)

作品名:「スゴイツヨイトウフ〜とうふのアクション〜」
開発者(チーム)名:象之葦Games(ゾウノアシゲームズ) (日本)

作品名:「パーリィ・ナイトメア」
開発者(チーム)名:カクカクゲームス (日本)

作品名:「Sky the Scraper」
開発者(チーム)名:古淵 寮(Ryo Kobuchi)(日本)

作品名:「The Devil Within: SATGAT」
開発者(チーム)名:Newcore Games (韓国)

作品名:「Forgotten Fragments」
開発者(チーム)名:Binary Phoenix (スペイン)

作品名:「Sea Sniffers」
開発者(チーム)名:Blastmode (オランダ)

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 内山氏は受賞作品について,「発想の異なる作品が集まった。どれもキラリではなくギランギランに光る何かがあって,それを応援していきたいという視点で選出した」とコメントした。
 また坂上氏は「熱量やパッションを感じるものに仕上がっているものを選んだ」と,橋本氏は「もう一度プレイしたいと思えたかどうか。今振り返ると,選出した作品は体験として純粋に面白いゲームが多かった」と話していた。

 特に「Sea Sniffers」については,内山氏は「何でアザラシなんだろう? 何でアザラシが魚をパンチするんだろう?」と疑問を持ったそうだ。
 また「スゴイツヨイトウフ〜とうふのアクション〜」については,橋本氏が「豆腐がすぐ壊れるのでイライラするけれども,それが面白さにつながっている」と説明するも,坂上氏が「全然気持ちよくない」と笑いながらコメントしていた。

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 坂本氏によると,受賞作品と最終審査まで残ったほかの作品は本当に僅差だったという。審査員全員の評価が圧倒的に高い作品がある半面,評価が割れる作品もあり,「いい作品がそろった」と話していた。

 見事プラチナ賞に輝いた「Little Cheese Works」に対しては,坂本氏が画面のキャッチーさと可愛らしさを指摘しつつ,「面談で見せたゲームに対する熱い思いや,チームワークに大きな可能性を感じた。ゲームも本当に面白く,支援を受けてさらにいいゲームになることが想像できた」と話す。
 内山氏も,応援したくなる作品であると同時に,拡張性が高く,アーティストなどほかのクリエイターの協力を得て幅の広いゲームになる余地があると語った。
 また坂上氏は,純粋に面白かったとコメントし,橋本氏は「コロナ禍の中,コミュニケーションを取りながら遊べるゲーム性があり,今後もどんどん面白くなる要素がある」と評していた。

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 「Little Cheese Works」を開発したBubble Gumの古川氏は,面白いゲームを作って世間に認められたいという気持ちが強くあり,「『Little Cheese Works』を世界中の人達に面白いと思ってもらえるゲームにしたい」と意気込みを述べた。

「TOKYO INDIE GAMES SUMMIT」公式サイト

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