GeForceFXの驚愕のデモムービーをUp!#1[詳細記事追加] - 12/07 23:32


Dawnはシネマティック3Dグラフィックスの夜明けとなるか

 GeForce FXには「The Dawn of Cinematic Computing」(映画品質コンピュータグラフィックスの夜明け)というメッセージが込められており,このデモに登場する妖精には「Dawn」という名前が付けられている。

 デモの見どころは3点。
 まずは表情の部分だ。これは最近のリアルタイムグラフィックスで流行のフェイシャルアニメーション(表情アニメ)の一種。表情をただテクスチャアニメーションで表現するのではなく,顔面上に設定した数点の表情ポイントを引っ張ったり変形させたりして表現する。ちなみに「UnrealII」や「DOOMIII」では,このフェイシャルアニメーションが導入されるので,ゲーム登場の暁には,このムービーのものと比較してみるのも一興だろう。
 そしてもう一つの見どころは,Dawnのアクション部分。これはモンスターのデモと同様,プログラマブル頂点シェーダーのボーンスキニングによるものだ。3Dモデルの変形を内部に設定した骨格をベースに,外皮を変形させるテクノロジーだ。ちなみにRADEON 9700(DirectX 9)ではその実施にあたって,ボーン数に応じてモデルのグループ分けが必要であったが,GeForceFXではモデルのグループ分けは不要となっている。一つの頂点シェーダープログラム上で,条件付き分岐やループによる制御が可能になっているのだ。

 そしてこのDawnの皮膚の表現は,これまた最近流行の「スキンシェイダー」によるもの。
 スキンシェイダーとは,簡単にいえば人間の皮膚の反射をシミュレートしたもの。人間の皮膚に光が当たると,その光は皮膚の中に吸収されたり,表面で拡散したり反射したりする。光源と視点の位置関係が,どういうときにどういう光沢ができてどう拡散反射するかという変換マップのようなものを用意し,その規則に従って陰影をつけていく……という仕組みになる。これをNVDIAは「血の気マップ」(Blood Characteristic Map)と呼んでいる。ズームインされるシーンではバンプマッピングで表現された毛穴が見えるが,これはちょっとやりすぎ……という感じで笑いさえ誘う。
 特定の材質の質感を表現するために陰影の度合いを操作する「可変スペキュラ強度シェーディング」と呼ばれるテクニックがあるが,スキンシェーダーはこれを発展させたものだ。ちなみに,PCの3D系ゲームでは「EverQuest2」がスキンシェーダを実装したというウワサがあるが,果たして……?

 そして三つめは,NVIDIAが「羽根シェーダー」(Wing Shader)と呼んでいる羽根の表現だ。羽根自体はバンプマッピングが施された半透明の材質だが,ただ後ろが透けて見えるのではなく,羽根の向こう側の景色が羽根上の凹凸によって屈折,拡散されたことをシミュレートしている。もちろん,実際にレイトレースしているわけではなく,キューブ環境マップを用い,プログラマブルピクセルシェーダの従属テクスチャ参照命令を駆使したフェイクだが,見た目的にはかなりリアルだ。
 ちなみに,このデモには重大な手抜き(!?)がある。それは影の表現が一切省略されている点だ。この点について,GeForceFXプロダクトマネージャGeoff Ballew氏に突っ込んでみたところ
「君たちのような人には,絶対いわれると思った(笑)。彼女はね,妖精だから影が出ないんだよ」
と切り返されてしまった。
 76.07MBのムービーダウンロードは「こちら」からどうぞ。(トライゼット西川善司)


友達にメールで教えよう!
←Back to Daily News
←Back to News Archive