R-18指定MMORPG「A3」制作/宣伝プロデューサーに聞く:News編 - 2004/02/26 17:00


 一週間ほど前の話になってしまうが,2月18日に当編集部は,現在日本でMMORPG「ラグナロクオンライン」を運営中のガンホー・オンライン・エンターテイメントを訪れ,同社の新作"R-18指定"MMORPG「A3」に関するインタビューを行った。

 念のためタイトルの説明をしておくと,「A3」は日本で前例のない"18未満プレイ不可"という売り文句(?)を引っ下げて登場した,韓国生まれのMMOPRG。当サイトでも「こちら」に応募フォームがあるが,2月26日(本日いっぱい)まで,「リミテッドサービス」と呼ばれるクローズドβテストの参加者を募集中だ。

 当日話をしてくれたのは,「A3」の制作プロデューサー鳥山氏と,宣伝プロデューサー小島氏のお二方。
 現在のところ「A3」の情報はかなり断片的であり,"ストーリー性が高い" "過激な描写がある"などの特徴こそ聞こえてくるものの,同社の情報規制などもあって,タイトルそのものの全貌はまったく明らかにされていない状況だ(もちろんそれにも理由があるのだが)。
 今回は,そういった現状を踏まえたうえで,ゲームシステム(の,聞ける部分)はもちろん,その情報規制の理由やサービスのコンセプト,また良くも悪くも超有名企業となったガンホーの"二作め"として,どういう仕掛けで本作を展開していくのかを,聞いてみた。

 さて今回お届けするのは,「ゲームシステム編」。インタビューを受けてくれた二人については,追って掲載予定の「インタビュー編」で詳しくお伝えするが,簡単なプロフィールはここにも記載しておこう。

(左)【制作プロデューサー】プロフィール
鳥山主税(とりやま ちから)
前職はWebデザイナーで,「ラグナロクオンライン」のGMとしてガンホーに入社。その後GMリーダー,コンテンツ管理者(Contents Administrator)を経て,テクニカルサービス部ゼネラルマネージャーの堀氏と共に,ローカライズに携わる。ジュノーやアマツなどのアップデート計画に携わった実績のある人だ。

(右)【宣伝プロデューサー】プロフィール
小島幸博(こじま ゆきひろ)
ソフトハウス「アトラス」での勤務後,ゲーム雑誌やゲームサイトの編集長クラスを歴任してきた生粋の業界人。最近ではゲームオンのMMORPG「ミュー」のプロデューサーも勤めた。「A3」では,宣伝プロデューサーとして,鳥山氏とガッチリタッグを組んで,本作にアイデアマンらしい企画を盛り込んでいく。


■「A3」のシステムはこんな感じ
 本作は,基本的にはプレイヤーが俯瞰でキャラクターを見ながら進めるタイプのMMORPG。既存のタイトルでいえば,ゲームオン「ミュー」「クロノス」,あるいはガマニアデジタルエンターテインメント「エターナルカオス」なんかを想像すると分かりやすいかもしれない。
 ゲームプレイは,NPCから受けたクエストなどをこなしつつ戦闘を重ねるオーソッドクスなスタイルだが,そこに"国家"や"騎士団"といった概念を盛り込んで,最終的にはPvPなどの派閥争いを楽しめるようなデザインだ。

 さてそんなこんなで始まったインタビューだが,実はこの段階でも,ゲームシステムの詳細については「これはまだちょっと……」とか「これはナシで……」という感じで極秘の部分ばかりで,多くは語られなかった。ただインタビュー途中で(無理に)お願いして見せてもらったゲーム画面を前に,「ペットシステム」(シューシステム)や,「ギャンブリングシステム」(賭博システム)など,実装された機能の端的な情報については得ることができたので,順にお伝えしていこう。

 なお,デモプレイ画面の撮影はビデオもスチルも却下されてしまったので,ゲーム画面の類がまったくない。またシステムに関する説明でも,ガンホー側の意向で固有名詞が伏せられている点があることを,あらかじめ断っておこう。



<<国家&騎士団システム>>
 本作の根幹を成し,最終的にほとんどのプレイヤーがなんらかの形で関わることになるであろうシステム。

 プレイヤーはキャラクターメイキング時に二つの国家からどちらかを選択し,その国のなかで"騎士団"という単位で集団を形成しながら,国家 vs. 国家というストーリーを進めていくことになる。
 まぁここでは"国家"の話は少し置いといて,他作品でのギルドにあたる騎士団について詳しく説明しよう。

 騎士団の形成は,ある特定のクエストをクリアして"リーダー"となる資格を得たプレイヤーがいれば可能。騎士団への勧誘も,パーティの勧誘と同じぐらいのノリ(プレイヤーキャラクターへの右クリックメニューにあるぐらいだ)で行える。
 なぜこの「騎士団」という単位がこのような"緩い"縛りなのかといえば,これが本作をR-18指定にしている原因(?)でもある,"裏切り""駆け引き"といった点が考慮されているためだ。

 すべてのプレイヤーは,国家の代表「トール」(君主)の座を念頭においてプレイを進めていく。トールとは,要するに最も強く賢い騎士団「ネトラン」の団長であり,本作ではネトランを決定するために,定期的に「騎士団トーナメント」なる対戦大会が開かれるのだ。
 また「ネトラン」の配下には「エルタキン」という八つの騎士団が存在し,常に頂点の座は,彼らによって脅かされることになる。騎士団員のトレードや金銭による引き抜きなどのありとあらゆる手を使って,騎士団を増強するわけだ。そんな騎士団間のやりとりを経て頂点に立つトールは,"ただ強いだけ"ではその座を守り抜くことができないため,交渉力や一種のカリスマをもつ必要があるのだ。
 通常MMORPGにはギルドがあって,コミュニケーションの促進やRAIDなどの多人数の戦闘時に役立つが,本作にはさらに騎士団間の戦争を"常に"煽るような仕組みが提供されていると考えればいいだろう。

 ちなみに騎士団トーナメントは,リミテッドサービス後半で遊べる(かも)とのことだ。

<<サポーティングシステム>>
 これはひと言でいうと,PL(パワーレべリング)を支援(推奨?)するシステム
 通常MMORPGでのPLは,ハイレベルプレイヤーがローレベルキャラクターを成長させるために,弱いキャラクターの"盾"となって代わりに攻撃を受け,その間にレベルアップを望むキャラクターが敵を倒して高い経験値を得るというのが一般的。
 サポーティングは,パーティとはまったく別枠で,キャラクター一人に付き一人だけサポート専用のキャラクター(通常はハイレベルなキャラクターを選ぶ)を指定できるもの。それさえ指定しておけば,ハイ/ローレベルのキャラクターが共に冒険しながら敵を倒しても,経験値がすべてレベルの低いほうへ流れるという仕組みになっているのだ。PLにも,初心者に教えながら進むチュートリアルプレイにも威力を発揮しそうなシステムである。



<<シューシステム(ペットシステム)>>
 "シュー"とは,現在出回っているA3のScreenshotsでもチラホラ露出している,キャラクターの背後で羽ばたいているサイバーペットのこと。
 シューの種類は職業ごとに一匹,つまり同作で選べるクラスは3種類(戦士/魔法師/聖騎士)なので自動的に3種類となる。ただし職業間でシュー同士の"交配"も可能になっているので,全6種類のシューが存在している。
 シューは"卵"の形で,プレイヤーがキャラクター作成時からもっていて,戦闘に参加させたりマメにエサをやりながら育てていく。卵はお店で買うことも可能だ。
 このシュー,戦闘時には敵のところへピューっと飛んでいってカツカツつついてくれるという一面もあるが(攻撃力はほとんどないようだが),一番の魅力は,プレイヤーキャラクターに"ステータス上昇"などの特殊効果をもたらしてくれることだ。
 鳥山氏がプレイしている画面を肩越しにシゲシゲと見てみたところ,基本ステータス上昇のほか,"ice"や "fire"といった属性効果の付与,また経験値n%Upといった効果が見てとれた。

 また基本はインベントリーの"装備"画面でシューを切り替えられる(装備する?)ようで,鳥山氏のキャラクターは,テスト用にいじくりまわされた強力なシュー(でかい。といってもキャラクターの頭ほどだが)と,効果の少ない小さなシューを所持していた。基本的には5種類のシューや卵を持ち歩け,いつでも切り替えが可能なようだ。おそらく「Diablo」におけるリングやアミュレットのように,敵の種別や場所などのシチュエーションによって切り替えて使用(?)するものなのだろう。

 面白いのが,このシューは戦闘でも死ぬし,一定時間エサをやらないだけでも死んでしまうこと。エサをやらなかった場合は,大体1週間ぐらいでダメになってしまうという。つまり,シューをキチンと育てるのであれば,一週間に1回はゲームにログインしてエサをやる必要があるのだ(なんかUOやDAoCのハウジングシステムのようだ)。
 さらに,シューは死んでしまうと序盤ではまず購入できないほどべらぼうに高い"復活薬"がないと生き返らないとのことなので,ほとんどのプレイヤーは,常にコツコツとお気に入りのシューを育てることになりそうだ。

<<ギャンブリングシステム>>
 システムというか,単純にゲーム内で行えるギャンブルのこと。
 教えてもらったのは「モンスターレース」と呼ばれる,モンスターの競争についてだ。
 ここでは,競馬のようにモンスターを走らせ,プレイヤーは単式と複式で賭けを行うことができる。オンラインゲームらしくオッズも投票数によって流動的なので,ハンティングそっちのけで没頭する人もでてきそうだ。騎士団や集団による"オッズ操作"なんていう事件もあるかもしれない。
 このレース場は,本作の"どこか"(教えてくれなかったけど)に,とても"怪しい"場所があって,そこではキワドイ服を着たおねーさんが踊りまくっているらしい。ちなみに本家では,このギャンブル場をもっと拡張しようなんて話もあるとか。
 ギャンブル,そして露出度の高い衣装と,R-18ならではの楽しみを凝縮したのは実はここだったりしたりして。分からないけど。

<<NPCシステム>>
 本作のNPCの役割は,「キャスティングキャラクター」のほかは意外とオーソドックス。武器やアイテムを売ったり,クエストをくれたりといった具合だ。
 ただ,本作のNPCには"好感度"という概念があり,同じNPCから何度もクエストを受けることで親密度が高まり,徐々に単一のNPCから受けられるクエストも増えていくらしい。

 またここは詳細が聞けなかったが,NPCにも"派閥"みたいなものがあって,「一方のNPCの好感度があがれば,一方のNPCの好感度が下がる」という場合もあるとのこと。EQでいうところのファクションみたいな概念があると考えてよさそうだ。

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 ものすごく端的にシステムを紹介してみたが,いかがだっただろうか。

 筆者が画面を見たときのグラフィックスの印象は,DirectX 9対応ゲームがバンバン登場する現在,正直"非常に美麗"とはいえないが,キャラクターや武器,防具のデザインはなかなか秀逸。鳥山氏が見せてくれたのは「聖騎士」で,頭からすっぽりかぶったヘルムと,重そうな鎧を身にまとったキャラクターで,移動や戦闘シーンもなかなかカッコいい仕上がりになっていた(ちなみに,ハイレベルに達した男性キャラクターは,大体このような無骨な格好になるらしい)。

 また"戦闘における"R-18部分"もよく見てみたが,ムービーでも見られたように,ほとんどのモンスターは,倒されると血をドバッと大量に噴き出して倒れる。筆者は平気だが,確かに"ソッチ系"が苦手の人には,ちょっと過激かもしれない。
 そのほか鳥山氏の話によると,敵によって,また使用した武器によって,モンスターが真っ二つになったり,クビがちょん切れたりといったアニメーションもあるとのことなので,戦闘は派手に,そして非常に"ザクザク感"のあるものになるのは間違いなさそうだ。

 ちなみに,このデモプレイで使用されていたのは,シャープのノートパソコン(メビウス MURAMASA:PC-MV1 C1W)で,スペックは以下のとおり。

・CPU Pentium III/1GHz
・メモリ 512MB
・ビデオ Intelチップセットのオンボード・チップ


 動作速度は後ろで見ている限りでは"少しひっかかる"ぐらいで,最近のデスクトップPCなら問題なく動きそうなレベルだ。

 さてここまで話を聞いた段階でも,筆者はまだ「A3がA3であるゆえん」については,理解できなかった。目を見張るようなシステムがあるわけでもなく,グラフィックスが抜群に綺麗なわけでもなくい,「じゃあ一体本作のウリはなんなのか?」という部分が謎のままなのだ。

 ……というわけで,そのあたりの答えは,鳥山氏,小島氏の両プロデューサーへのインタビュー記事でお伝えしていきたい。本作の基本コンセプトはなんなのか,"ガンホーの二本め"としての仕掛けはあるのか,またこの情報規制の理由はなんなのかを突っ込んでみたので,ぜひご覧いただきたい。(Gueed)

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