韓国オンラインゲーム大衆化の先駆け「A3」（2004/2/25）
Text by Kim Dong Wook特派員
※韓国での情報を基に作成した記事であるため，用字用語や一部のシステムなど，日本運営版とは異なる可能性があります
ACTOZ SOFT社とANIPARK社が共同開発した，韓国初の"成人向けMMORPG"「A3」（日本公式サイトは「こちら」）は，"大人"の層をMMORPG市場へ引き入れるために，大きな役割を果たしている。
3月26日に始まる日本でのクローズドβテスト（リミテッドサービス）を前に，この珍しいコンセプトを持つMMORPGを，もう一度詳しく紹介しておこう。
■大人のためのMMORPG「A3」
A3は，一般的なファンタジーMMORPGをベースとしながらも，"打撃感"を楽しめるアクション性，本格的なストーリー，映画のような演出，RTSのような戦略性などなど，さまざまなジャンルの要素を併せ持っているゲームとしてリリースされた。
しかしA3の最大の特徴は，18歳未満はプレイできないという年齢制限があることだろう。開発者達には，企画の初期段階から"大人だけのゲームコミュニティを作る"という意図があったという。
韓国で大ヒットしている「Lineage」（リネージュ）などの一般的なMMORPGでは，子供と大人が同じサイバー空間で遊ぶため，大人達は，"子供にはふさわしくない"さまざまなことを我慢しなければならなかった。また開発者達にも，子供がプレイすることも考えると，血が吹き出るなどのあまり残酷な描写/演出ができないという不満があったという。
大人達はA3で初めて，自分と同程度の年齢/知識量のプレイヤーとだけ一緒にゲームを楽しめるようになったのだ。
これまでオンラインゲームで遊んでいるメインの層は，10代の学生だった。しかしA3の登場で，そのメインの層が20代以上にまで上がろうとしている。
画面は基本的にクォータビューだ。3Dで描かれているためズームイン/ズームアウトが可能で，特殊なクエストや戦闘シーンでは，回転や特別な視点などのエフェクトも使われている。
本作の大きな特徴の一つに，ゲームのストーリーに密接に関わってくるNPC"キャスティングキャラクター"の存在が挙げられる。彼らはゲーム内世界の英雄で，主要なクエストのときや特定の場所に現れて，プレイヤーの手助けをしたり事件の手がかりを提供したりする役目を持つのだ。
代表的なキャスティングキャラクターは，レディアン，ビルメイドなどの"伝説の騎士団"と，ハーケンの闇の騎士達，そしてラベルゥの神族と神獣達。彼らとは，イベントなどで出会うことになる。
A3には，10個以上のエピソードが準備されている。このエピソードは，一つのエピソードが終わると次，といった風に単純につながっているわけではなく，ゲームサーバー内での各クエストの進行具合によって切り替わっていく。つまりそれが何を表すかというと，サーバーごとにエピソードの進行タイミングに差が出てくるわけだ。
なお，キャラクターのレベルが低い状態でも，新エピソードで登場するワールドへ進むことは可能である。
ゲーム内でのコミュニティは，最小の単位の"パーティ"から，一般的なMMORPGのギルドにあたる"騎士団"，そして"国家"まで，段階的に形成される。そのためプレイヤー達は，君主や領主，騎士団長といった役職に就くことも可能だ。
このシステムは，エピソードが進むにつれてより細分化されていき，今後登場する精霊と闇の大陸，神々の世界などでも，さまざまなプレイヤーキャラクター達によって社会が形成されていくようだ。
町の権利を争うトーナメントや君主の座を競う君主戦など，大規模対人戦のシステムも用意されている。
また今後のアップデートでは，国家間の"全面戦争"もシステム化されるという。これは多くのMMORPGで見られる"攻城戦"とはまったく違った，いうなればRTS的なものとなるようで，各エピソードの地域の特徴に合わせて作られた戦場で，戦争専用のアイテムを使ったりしながら戦略的に戦うことになるようだ。
■進化を続ける韓国版「A3」の現状
最後に，韓国での現状をお伝えしておこう。
韓国では2002年12月にオープンβテストが開始され，会員約100万人を獲得。2003年8月27日には正式サービスが開始となり，今でも同時接続者数3万人を維持しているようだ。
そしてこの2月12日にはA3 Part2が公開されて，話題を呼んでいる。とくに新キャラクターの"弓師シード"は，弓の達人という金髪の美少女で，早くも人気となっている。
Part2で新しく追加された，4人のプレイヤーが協力して解決する"スペシャルクエスト"では，MMORPGとしては非常に珍しい，ムービーシーンが挿入されるという。どんなムービーが見られるのか，気になるところだ。
そのほか，高レベルキャラクターのために12種のスキル，新アイテムなどが追加され，またランクシステムやアイテム作成システム，ユニークアイテムといった要素も大幅に強化された。
おそらく，日本でも同じような経緯を辿って，A3はどんどん進化していくはずだ。もしかしたら，日本独自の進化もあるのかもしれない。
また韓国版A3に新しい動きがあれば，お伝えしよう。そのときをお楽しみに。
→「A3」制作/宣伝プロデューサーに聞く：News編は「こちら」
→「A3」制作/宣伝プロデューサーに聞く：インタビュー編は「こちら」
→「A3」の当サイト内の記事一覧は，「こちら」
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