Project Eden

●Preview#26:Project Eden

Text by 奥谷海人

"トゥームレイダー"の開発元による最新アクションアドベンチャー

 最近では,アッと驚くような新しいジャンルが登場していない分だけ,違ったジャンルをかけ合わせる試みが繰り返される傾向にあるようだ。ストラテジーゲームにアクションをかけ合わせた「サクリファイス」や,FPSにRPGの要素を融合させた「Deus Ex」などは,その好例と言って良いだろう。Eidos Interactiveから近日発売される予定の「Project Eden」も,その例外ではない。
 Project Edenを開発しているCore Designといえば,名作アクションアドベンチャーシリーズ「トゥームレイダー」でも知られる開発チームである。当然のようにゲームプレイのコンセプトも似ており,Project Edenのコア部分がパズル要素を盛り込んだアドベンチャーゲームであるのは変わらないが,さまざまな武器を使ったシューティングゲームの良さを引き出しつつも,一度に4人のキャラクターを操作していくという作品なのだ。
 とめどのない人口増加に悩む未来の人類は,ビルに補強を重ねてその上部に別のビルを建設し,都市全体を超高層化している。この縦型の生活空間はそのまま人間たちの階級を生み出し,結果として日の当たる上層階は一部の特権市民が占領することとなり,貧しい人間ほど日光からは程遠い下層部へと追いやられているのだ。もちろん,ビルの底部は無法地帯となっている場所も多く,犯罪率も下へ行くほど増加。その悪影響が及ばないように組織された治安部隊が,UPA(Urban Protection Agency)という特殊警察のメンバーたちだ。
 ゲームのストーリーは,ある日の些細な事件から発展していくことになる。その事件とは,"エデン"と呼ばれる区域の下層階に位置する"Real Meat Factory"(「本物生肉の生成工場」とでもいう意味か)で機械の故障が発生し,そこに派遣された科学者たちが音信不通になってしまうというものだ。"本物の生肉"という時点でこの世界の胡散臭さを感じるが,とりあえず技術者の消息を調査するために階下へ派遣されたのが,プレイヤーがコントロールするUPAの隊員4人組なのである。

4人のキャラクターを自在にコントロールする

 Project Edenは,トゥームレイダーと同じように第3人称視点でプレイしながらパズルを解いていくタイプのアクションアドベンチャーではあるが,類似点といえばそれくらいしかないかもしれない。もちろんゲームエンジンはゼロから開発されたものを使って制作しており,第1人称視点にカメラを切り替えてプレイする局面もある。おおまかなアクションは第3人称視点でプレイし,壁の文字などを読む必要のあるパズルや激しいアクションは第1人称に変更してプレイする,といような自由自在のカメラ切り替えを可能にしているのだ。
 しかしProject Edenの特質は,なんといっても4人のキャラクターたちを同時に操作していくという部分にあるだろう。UPAの4人組は,チームのリーダーであるカーター,機械に関する知識が豊富なアンドレ,技術情報担当のミノコ,そして前衛としては重宝するアンドロイドのアンバーだ。プレイヤーは,彼らを巧みにコントロールしながら援護射撃をしたり,鍵の掛かったドアを開けるために違う部屋に分かれてコンピュータを操作する,というような行動を取っていく。
 もっとも,これらのキャラクターをコンバットシミュレーションのようにバラバラに操作していく局面は少なく,プレイヤーの命令によって特定の行動パターンで勝手にキャラクターが動くというようなこともない。このあたりはプレイヤーのポイント&クリックに重点が置かれたアクションゲームになっており,「Rainbow Six」のような戦略性とは一線を記しているといえるだろう。
 また,複数のキャラクターを操作するインタフェースは非常に簡略化されていて,各キャラクターの体力ゲージの数以外は,ほかのアクションゲームとの違いはそれほど感じられない。各キャラクターへの切り替えは,画面内のキャラクターをクリックしたり,キーボードのショートカットを使うことで簡単に行える。さらに,マウスの右ボタンのクリックでメニューを引き出すことにより,特定のキャラクターに追随させるようなコマンドも与えることができるため,1人のキャラクターを後方に取り残してしまうというようなことはないだろう。

CARTER
低い身分から,実力一つでUPAの部隊長にまで成り上がった有能の士。戦闘にも強く,NPCとの会話やセキュリティのかかったドアへのアクセスができる。
MINOKO
孤児でUPAの訓練所へと引き取られ,17歳で卒業するほどの才女。現在は20歳だが,9歳のときにはプログラミングをするほどコンピュータへの知識を開花させている。
ANDRE
25歳でUPAに入隊した遅咲きの男で,その言動から問題視されることも多いエンジニア。壊れたものはなんでも修理してしまう。
AMBER
19歳で事故に遭い,身体のほとんどの部分を機械化させることでUPAの特殊部隊に配属されたサイボーグ。毒ガスや火災などの危険物質をモノともしない強靭さだ。

知恵と最新技術を駆使して工場の謎を追え!

 Project Edenは,11種類のマップからなるミッション制になっている。よどんだ雰囲気の都市空間として統一されてはいるものの,明るいハロゲンライトに照らし出された工場地帯やショッピングセンター,球技場,テーマパークなどさまざまな風景が用意されており,一つのミッションが多彩な場所になっているイメージを受ける。"本物の生肉"があるくらいだから"ニセモノの生肉"も出回っているようで,DNA操作などで増加した人口分を食わせるだけの食料を,人為的に作り出しているらしい。そんなこんなでプレイヤーの敵には,遺伝子が改造されたモンスターたちも登場する。その他"盲目のソサエティー"という謎の軍団や,スラムにはびこるギャングたちとも対峙する必要があるだろう。

 用意されている武器は,各キャラクターに標準装備されたパルスガンのほか,エナジーガンやパイプ爆弾,ロケット砲などがある。さらには,着弾した場所で破裂する"Tribes 2"をほうふつとさせるディスクガンや,いかにも未来的なタイムショックなどと呼ばれるものも含めて,合計で6種類を操れることになるようだ。
 しかし前述のように,Project Edenはシューティングなどのアクションだけが強調されたゲームではない。キャラクターの能力を生かし,壊れた機械のワイヤーをつなげたり,コンピュータにアクセスして情報を操作するなどということを行う必要もある。襲いかかる敵を倒しながら進んでいても,ドアの開け方がわからずどうしても力ずくでは前に行けない局面もある。こんなときは,リモコン操作による小型機をドアの下の隙間から忍ばせ,ドアが開かない原因となっている故障を遠隔操作で修理するのだ。ミッションによっては,自動的に敵を感知するタレット台(銃座)や飛行型の小型カメラなども製作できるらしい。
 マルチプレイヤーモードも用意されており,2人から4人までのプレイヤーが協力してミッションを進んでいくことが可能だ。欧米では10月初旬には発売される予定。当サイトの「ここ」に,短めではあるがデモ版を置いておくのでプレイしてみてほしい。

Project Eden c 2000 Core Design Limited . Published by Eidos Interactive Limited. Project Eden is a Trade Mark of Core Design Limited