優勝&準優勝はどちらも台湾・香港代表に。「ラグナロクオンライン」世界最強ギルドを決めるRWCの閉会式
2004/07/19 03:56
 ここのところ立て続けにお伝えしている,「Ragnarok World Championship」(以下,RWC)の最終結果と,その閉会式の模様をお伝えしよう。

 RWCは,MMORPG「ラグナロクオンライン」(以下,RO)の世界規模のギルド戦。7月17日から18日にかけて,韓国はソウルのCOEX Pacific Hallに世界11地域18ギルドが集まり,熱戦を繰り広げていた。
 開会式の模様や日本代表の戦いぶりは,当サイト内のROの記事一覧「こちら」の上のほう(つまり新しい)Newsで確認してほしい。



Unforseeableが決勝進出を決めた直後のThe Gates of Hellの様子
■決勝は台湾・香港代表同士の戦いに! なぜそんなに強いのか?

 日本代表ギルドがどちらも敗退してしまったあと,どうしてもテンションが下がり気味だった日本メディアの目を覚まさせてくれたのは,台湾・香港代表の2ギルドの圧倒的な強さだ。
 Bリーグの準決勝,台湾・香港代表の"Unforseeable"と,シンガポール・マレーシア代表の"TENGTITLE"の試合を見ていたとき,会場が笑いの渦に包まれた。これは,TENGTITLE側の最後の生き残りのキャラクターが,ずっと隠れていたからだ。いうまでもなく一人だけ隠れていたとしても,試合時間の10分が過ぎれば負けとなる。それにも関わらず彼(彼女?)は隠れ続け,それをUnforseeableが9人がかりで探し回ったあげくなんとか発見,あとは9人でボコにして終了という,非常に珍しい光景が見られたからだ。
 ところでこのTENGTITLEは,最終的には3位となっている。その強豪を全滅させてしまうUnforseeableの実力は,計り知れないものがある。
 また,Aリーグで決勝まで勝ち進んだThe Gates of Hellも,とてつもない強さを見せていた。結果優勝決定戦は台湾・香港代表同士の戦いとなってしまったわけだが,ではなぜ彼らは,そんなに強いのだろうか?

 理由の一つは,プレイ人口の多さが挙げられる。2004年5月現在の会員登録数を見ると,韓国が約363万,中国が約680万で,台湾・香港は約350万と,少なくはないものの,特別多いとも言い難い。しかし同時接続者数となると,話が違う。韓国が約3.1万人,中国が14.7万人,そして台湾・香港は約34万人と,なんと中国の倍をはるかに超えた数字を叩き出しているのだ。
 同時接続者数でいえば,最近日本でも「10万人を突破」というNews(「こちら」)があったが,その3倍以上の数字。またPvPを行うプレイヤーの比率も,日本より断然高いようだ。これだけ条件が揃っていれば,強いのもうなづける。

 しかしこれよりも強烈な話を聞いてしまった。試合の実況の話によると,この台湾代表2ギルドのメンバー(つまり計18人)は,この試合の日まで,寝食を共にしていたというのである。いわゆる合宿だ。しかも,(女性メンバーもいたのに)約1か月もである!
 1か月ということは,地域代表戦終了後,すぐに合宿に入った計算になる。また彼らは,地域予選の結果を収録したムービーなど,可能な限り対戦相手のデータを集め,研究し尽くしたというから恐ろしい。
 前に「こちら」で触れたように,レセプション会場でもテンションが高いわけである。彼らは,約束された優勝賞金を受け取るために来たのだ。

 世界レベルの高さを感じさせてくれたRWCだったが,台湾・香港は頭一つ飛び抜けていた。2005年のRWCでは,どこがこの超強敵を倒すのかに注目が集まりそうだ。



■世界最高峰の戦い! 決勝戦の模様

 台湾・香港代表同士の,The Gates of Hell対Unforseeableという,文字通り一つ屋根の下で暮らしたギルド同士の戦いとなった決勝戦。その内容にも触れておこう。
 決勝戦は,最大で5試合行われる。3試合先取したほうが,優勝となるわけだ。そして1試合めから3試合めまで,ほぼ同様の展開で,地域戦では2位だったUnforseeableが勝利し,優勝の栄誉を勝ち取った

 お互い手の内は十分すぎるほど分かっている。また,当然母国語が同じであるため,ギルドメンバーへの指示も,大声ではできない。そのためか3試合とも,どちらも非常に慎重に行動しているという印象だった。
 一緒に観戦していたGuardian-Chevalierのメンバーは,序盤から中盤にかけて,どちらもほとんど隊列が崩れないのが印象的だったという。あまり固まることもなく,かといってばらけることもない。隊列を崩さずに,相手と重なったところで戦いが起こる感じだった。またハンター罠を設置する手際の良さも,特筆すべき点だろう。

 均衡が崩れたのは,どの試合もだいたい試合の中ごろ,5分前後だっただろう。やはり3試合が3試合とも,The Gates of Hellのウィザードが倒されてしまったのだ。
 Unforseeableが合宿中に最も研究した相手は,地域決定戦で敗れたThe Gates of Hellだったのかもしれない。



カプラポピュラー賞を受賞した,日本代表のGuardian-Chevalier
■最終結果:上位を台湾・香港とシンガポール・マレーシアが独占!

 最終結果を,下に掲載した。

 日本のGuardian-Chevalierは,カプラポピュラー賞を受賞することになった。これは,"最も人気が高いギルド"に贈られるものだ。なお韓国代表など計3ギルドに与えられたエンカレッジメント賞とは,つまり奨励賞である。

 ところでこの結果,よくよく見ると,全地域から受賞者が出ていることが分かる。これもGravity側の気配りだろう。

優勝(賞品:賞金1万ドル,金メダル,トロフィー,優勝旗)
台湾・香港代表(地域代表戦2位) Unforseeable


準優勝(賞品:賞金7000ドル,銀メダル,トロフィー)
台湾・香港代表(地域代表戦1位) The Gates of Hell


3位(賞品:賞金5000ドル,銅メダル,トロフィー)
シンガポール・マレーシア代表(地域代表戦2位) TENGTITLE


4位(賞品:賞金3000ドル,トロフィー)
シンガポール・マレーシア代表(地域代表戦1位) KAOS


フレンドシップ賞(賞品:賞金1500ドル)
タイ代表(地域代表戦1位) ZMR

カプラポピュラー賞(賞品:賞金1500ドル)
日本代表(地域代表戦1位) Guardian-Chevalier

ラグナロクオンライン賞(賞品:賞金1500ドル)
中国代表(地域代表戦1位) Dragon Battle
中国代表(地域代表戦2位) Yatezongtang
北米代表(地域代表戦1位) Denuo Convena

エンカレッジメント賞(賞品:記念品)
韓国代表(地域代表戦1位) Angel
インドネシア代表(地域代表戦1位) oNe batZ
フィリピン代表(地域代表戦1位) Unholy

 表彰式のあと,優勝したUnforseeableのギルドマスターに,インタビューが行われた。その内容は,以下の通り。

Q:優勝するという予感はありましたか?
A:いや,そうは思っていませんでした

Q:一番手強かった相手は?
A:やはり同じ台湾・香港代表のThe Gates of Hellですね

Q:勝因はなんですか?
A:メンバーの心が一つになっていたことです

Q:では最後に,ギルドメンバーにひと言お願いします
A:みんな,お疲れ様でした

左から,優勝したUnforseeable,2位のThe Gates of Hell,そして3位のTENGTITLE


■そして閉会:やはり最後も金正律氏が大活躍

 このRWCを締めくくったのは,やはりこの人,Gravity社の会長の金正律(キム・ジョンユル)氏である。
 表彰式の最後,優勝したUnforseeableへ賞品が授与されるときに登壇し,金氏自らギルドメンバー全員の首に金メダルをかけた(ちなみに2位のThe Gates of Hellには,生中継を行ったMBC Gameの社長が,彼らのお揃いのかぶり物に苦労しながら銀メダルをかけていた)。
 そのとき司会者が,「さすが優勝チーム,何か違いますね。ほら,後ろに大きなものが見える」といって,会場を沸かせた。後ろに見えていたのは,優勝旗である。この優勝旗を手にした金氏は,まるで「大漁」と叫び出さんばかりに大きく左右に旗を振ったあと,初代RWC王者Unforseeableのギルドマスターに手渡した。

 金氏による閉会宣言の一部を紹介しよう。
 まずは優勝したUnforseeableのメンバーに,おめでとうの言葉を贈ります。彼らや,またほかの参加者の感じた"楽しさ"や"嬉しさ"が,すべての来場者の思い出になることを願っています。
 そしてもう一度,世界中のROプレイヤーに,「ありがとう」と言わせてください。これでRWC2004は終わりますが,ROは,これからが新しい始まりだと思っています。今後ROも,RWCのようなイベントも,いろいろな新しい楽しみを用意していきます。
 それではみなさん,また会える日を楽しみにしています。


 先月日本で行われた,「ラグナロクオンライン ドリームスタジアム 〜史上最大の祭典〜 in 東京ビッグサイト」にしてもそうだが,単一タイトルのイベントで,これほどまでの人が集まるというのは,純粋に凄いことだ。また17日に行われた記者会見で金氏は,毎年こういう行事を違う形で世界各国で行うつもりだということ,そして,ROで世界30地域へ進出するのが目標だと語っていた。
 いつの日か,コンピュータゲームがオリンピックの種目になる日が来るのだろうか。そんな夢物語を半ば本気で考えてしまうほど,豪華で,にぎやかで,魅力的なイベントだった。(Iwahama)

「ラグナロクオンライン」の記事一覧は,「こちら」

下段は,ファンアート公募展イラスト部門の優勝者(左)と,その作品(右)。この女性は中国出身で,2位はタイ,3位は韓国の人が受賞していた



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http://www.4gamer.net/news/history/2004.07/20040719035605detail.html