エレクトロニック・アーツがクライテリオン・ソフトウェアを買収
2004/07/29 17:36
2004年秋にEAより発売が予定される「バーンアウト3」
 エレクトロニック・アーツ(以下,EA)は本日(2004年7月29日),ゲーム開発用のミドルウェアメーカーの大手であるクライテリオン・ソフトウェア社(以下,クライテリオン)を,キヤノン・ヨーロッパ社から買収することで両社が基本的合意に達した旨を発表した。
 クライテリオンといえば,世界有数のミドルウェアメーカーとしても知られるゲーム開発会社。ゲームの開発が複雑化/高度化する傾向がある昨今,同社が提供するRenderWareは,着実にその注目度とシェアを伸ばしつつあっただけに,今回の買収劇は非常にびっくり。EAはこの買収によって,クライテリオンが保有する英国ギルドフォードにある開発スタジオならびにRenderWare関連の技術,そして「バーンアウト」「ブラック」といった世界的な人気タイトルを獲得することになり,ゲームパブリッシャとしての地歩の強化を図る構えだ。
 クライテリオンは今後,英国サリー州チャートシーにあるEAの開発スタジオの指揮下に入り,RenderWareの部門は,開発スタジオとは離れて英国内の別の場所で運営される予定。

 また発表によれば,現在クライテリオンで開発が進んでいる次世代ゲーム機向けの「RenderWare」および「RenderWare4」とEAの持つ既存の開発技術を融合させ,より良い開発環境を実現するフレームワークを生み出していきたい考えだという話。クライテリオン買収後も,引き続きミドルウェア技術のライセンス提供も行っていく予定だという。
 とはいえ,自社でゲーム開発スタジオを抱えて"ゲームを内製"する意義は,技術力やノウハウの蓄積にあることを考えると,先々"EAの持つ技術を融合させる"という次世代のRenderWareを,競合となる他のソフトウェア会社に提供するかどうかは微妙なところかもしれない。
 元々EAは,自社で抱える開発スタジオ間で開発ツールやライブラリを共有し,ゲームを"効率的"に作ることに力を入れてきたが,クライテリオンの持つ技術を活用することで,さらにその流れは加速されそうな気配。またEAといえば,ゲームのブランド/フランチャイズ戦略(スポーツゲームや映画ゲームなど)に注力してきたゲーム会社としても知られる。高水準の開発体制を築き上げることで,定番タイトルの"量産体制"をさらに洗練させるという狙いもありそうだ。

 ちなみにEAだが,2004年度には全部で27本のミリオンセラーを記録し,29.6億ドル(約3300億円)の売り上げを達成。押しも押されもせぬ世界最大級のゲームパブリッシャに成長している。ゲーム業界のキーカンパニーとして,今後の動向が注目されている。(TAITAI)





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