[GC#07]Pyro Studiosの新作「Imperial Glory」の開発は順調に進捗中
2004/08/25 17:40
 今年から来年早々にかけてのEidosのラインナップの中でも,一番期待できそうなのが,ヨーロッパ全土を硝煙で覆ったナポレオン時代を題材とするRTS「Imperial Glory」である。通常の戦闘だけではなく,ストラテジーマップで本格的な政略を練り,内政や外交を楽しむことも可能で,近代ヨーロッパの覇権を賭けた激しい戦いが展開される。

 「Commandos」シリーズでお馴染みのPyro Studiosは,開発者たちの離散でいったんは崩壊の危機を迎えながらも,新作Imperial Gloryで起死回生を狙っている。今回は,Eidosブースにある特設シアターでのデモ披露のみとなったが,スペイン随一の開発チームという看板を,下ろすつもりはなさそうだ。
 Imperial Gloryの時代設定は,ナポレオンがヨーロッパ全土を揺るがした18世紀から19世紀。「Medieval:Total War」のように,戦略マップとリアルタイムでの戦闘マップを使い分けながらゲームを進めていく趣向の戦略ストラテジーゲームである。プレイヤーは,フランス,イギリス,プロシア,ロシア,オーストリアの五か国を選択できるようになっていて,それぞれ戦場マップが用意された51個の州をめぐって争う。

 今回紹介されたデモは,E3の裏ブースで公開されていたものに若干の要素(後述)を追加したもの。ユニット数こそ「Total War」シリーズに遠く及ばないものの,農家や市街地の建物を占拠して防御施設に活用できるなど,柔軟な戦いができる。建物やユニットはすべて3Dでモデリングされているため,兵士が実際に建物に立て篭もって窓から照準を定めている様子なども確認できる。進撃中の兵士の一団が砲撃で吹っ飛び,煙が舞って血が散乱するといった過激な表現もあり,重火器が戦争の中心になっていく途上の近代戦争を満喫できる。
 防御効果は建物にあるばかりではなく,森林に身を潜めれば竜騎兵や大砲の攻撃に対して,ある程度の耐性が与えられる。また,天候はリアルタイムに変化するので,突然の雨で地表がぬかるみ,砲撃の効果が減殺されたり,兵士の士気が低下したりといったこともありそうだ。




 追加された"若干の要素"とは,各国の首都にあたるマップだ。マップのほぼ全域が城壁と堀に囲まれた防御性の高さは,さすがに首都というに相応しい壮大さ。森の中を駆け抜けて橋を渡ろうとする敵の騎兵に大砲で応酬するさまは,尋常でない迫力だった。首都の防衛は非常に重要で,占拠された場合は遷都する地域が残っていたとしても国軍全体のモラルが低下する。
 もう一つ,E3では公開されなかった海戦も紹介され,3種類の帆船が大砲をぶっ放しながら戦う場面が確認できた。敵船を破壊しなくても帆や舵を攻撃して移動手段をなくし,船ごと乗っ取ってしまうことも可能。港のある州を制圧した国は,海域を制覇して敵の拡大を阻止することも可能だろう。

 戦闘ばかりではなく,「Europe Universalis」を思い起こさせるストラテジーマップを使った内政,外交,商工業のシステムも,本格的な作りになっている。州はそれぞれ,木材や鉱石,港といった資源/施設の有無が異なり,どこを統治しているかで税収も変わってくる。貴重な資源がある州は,戦略的な要所として激しい争奪の巷ともなるだろう。

 ゲームには第一時代,第二時代,第三時代という三つの時代区分があり,それぞれの時代には「Civilization」シリーズのようなテクノロジーツリーがある。ただし,国家の発展スピードによってテクノロジーやユニットに差が出てくるかは不明だ。シングルキャンペーン用にクエストシステムがあるのもユニークで,プレイヤーは南米にシモン・ボリバルを送り込むとか,エジプトでロゼッタストーンの発掘に精を出すとか,市場に株式の概念を導入して活性化させるといったクエストを楽しめる。

 マルチプレイヤーモードでは4人までの対戦もサポートする。2005年早期に発売予定ということで,現在は急ピッチで開発が進められているようだ。ゲーム内のイベントには史実を散りばめてあり,歴史ゲームファンには堪らない一本になるだろう。(奥谷海人)

Imperial Glory(C)Pyro Studios SL, 2004. Imperial Glory is a trademark of Pyro Studios SL. Published by Eidos 2004. All Rights Reserved.




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