2004/09/03 13:54 |
カプコンは,2004年11月19日に「ライオンハートサーガ 〜十字軍の遺産〜 日本語版」(原題「Lionheart:Legacy of The Crusader」)を発売すると発表した。
本作は,"バルダーズ・ゲートシリーズ"や"ネヴァーウィンター・ナイツシリーズ"など,「ダンジョンズ&ドラゴンズ」(D&D)をベースとした数多くの本格派RPGを手がけていたBlack Isle Studios社の作品。残念ながら同社は母体であるInterplayの経営不振に伴い2003年に閉鎖されてしまったが,その後元Black IsleのFeargus Urquhart氏が設立したObsidian Entertainment社が「Neverwinter Nights 2」の開発を発表しているなど,その血脈はちゃんと受け継がれているようだ。
■壮大なストーリーと無数のサブクエストで,じっくり楽しめるRPG
レオナルド・ダ・ヴィンチ。彼はゲームの冒頭から重要な役割で登場する
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さてライオンハートサーガは,そのBlack Isle Studiosの作品としては珍しくD&Dをベースとしていない。これは,実際の開発を担当したのがReflexive Entertainment社(「ZAX 〜エイリアンハンター〜」などの開発元)だというのもあるだろうが,BioWare社がInfogrames(現在のATARI社)に移ったときに,D&D関連の版権を持っていったという事情が大きいのかもしれない。 では本作は,どういった世界観を採用しているかというと,これがなかなか独特で面白い。すでに何度か紹介してきたように(過去の記事一覧は「こちら」),ガリレオやレオナルド・ダ・ヴィンチ,シェイクスピアといった実在した(とされる)人物達が登場する中世ヨーロッパを舞台としながらも,魔法や魔物などファンタジー要素がたっぷりと詰め込まれているのだ。
タイトルにもあるライオンハートとは,"獅子心王",つまりリチャード1世(1157〜1199)を指している。史実では第三次十字軍遠征(1180〜1192)で大活躍したが,本作ではその遠征のときに側近に裏切られ,世界中に魔物を解き放つという事態を招いてしまう。 本作の舞台は,その事件"大変異"から約400年後の,16世紀後半。世界はすでに,魔法や魔物とのつきあい方を学んでいた。プレイヤーは,リチャード1世の魂を受け継ぐ一人の若者となり,この現実と幻想が入り交じった世界を旅し,ゆくゆくは強大な敵と戦うこととなる。
本作は「Fallout 2」で使用されたVelocityエンジンをベースに開発されているため,やはりシングルプレイを重視した作りとなっている。 ストーリーの練り込み具合は"さすがBlack Isleブランド"という感じで,名作バルダーズ・ゲートと同様,NPC達がしゃべるしゃべる。またプレイヤーキャラクターの種族や立場によって会話の内容がかなり変わってくるようだ。 またしっかりとしたメインストーリーとは別に,無数のサブクエストが用意されているのも,バルダーズ・ゲート級。いやそれ以上かもしれず,サブクエストの数は,あまりにも多すぎてカプコンはおろかInterplayでさえも正しく把握できていないとのこと。数百という単位なのは確実だろう。ちなみにあまりサブクエストを意識せずにプレイした場合,クリアに要する時間は30時間程度とのこと。サブクエストを意識したら,その倍は余裕で楽しめそうである。
■昔ながらのRPGファン垂涎の,"超硬派"なシステム
人間族。スペイン人女性のようだ
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プレイヤーキャラクターは,4種族から選択可能。まぁヨーロッパが舞台だと考えると違和感もあるが,この世界では,大変異によって解き放たれた魔法の力によって,人間とは違う人種が存在しているのである。
人間族……普通の人間。魔法の影響を受けていない人種……つまり,我々と同じである。ただしこの世界にいる以上は,魔法の習得も可能。ヨーロッパの人口の大半を占めていて,そのため政治的な影響力も大きい
魔人族……よくいえば"茶目っ気のある",まぁハッキリ言えば"イタズラ好き"な人種。なんでもやはりイタズラ好き……もしくは"極悪非道"な霊族(魔霊)が家系に影響しているらしい。人間族に比べ,より魔法に親和性がある
獣人族……名前の通り,獣の霊の血を引く人種。見た目からしてワイルドで,そのために迫害を受けてきたという(ゲーム中でも,迫害されることがある)。腕力(Strength)や体力(Endurance)に秀でている
精霊人族……霊族の一種"精霊"を祖先に持つ,もしくは体内に宿している種族。精霊そのものではなくあくまでも人種の一つだが,やはり腕力や体力はかなり貧弱で,その代わり魔法には長けている
また主人公の体には,リチャード1世から引き継いだ霊族が宿っているという設定になっている。霊族には以下の3種類があり,選んだ霊族によって,主人公が得意とする魔法の種類に影響が出てくる。
精霊……"最も高貴にして,よこしまな存在"。とはいえ口調は結構穏やか。Holy Magicを得意とする
魔霊……饒舌な霊族。人を言いくるめるのがうまいらしい。Thought Magicを得意とする
獣霊……動物的な霊族。知能の高さには疑問もあるが,とにかくワイルド。Nature Magicを得意とする
見ての通り,霊族はそれぞれ人間以外の人種と対応している。とはいえ人種に関係なく霊族を選べるし,また人間のキャラクターを選んだ場合でも,何かしらの霊族を宿すことになる。 ただし霊族と人種には相性があるので,注意。例えば獣人と精霊という組み合わせは避けたほうが良いだろう。
キャラクターメイキングでは,このほか性別,7種のパラメータ,名前,特性(14種から二つを選択),種族特性(種族ごとの特性。一つを選択),主要スキル(21種から三つを選択)を決めて,ようやく冒険に出ることになる。 さすがは"本格派RPG"という項目の多さだが,面倒だという人のために,あらかじめ8人のキャラクターも用意されている。最初のプレイではこのうちの誰かを使うか,もしくは少しカスタマイズして使用するといいだろう。
もう一つ特筆すべき要素なのが,このゲーム世界に存在する"組織"である。この世界/時代のヨーロッパには大きな組織が四つ存在し,主人公はあるときはそのどれかに所属し,またあるときはどこかの組織と対立したりすることになる。
審問会……地上から霊族と魔法,そしてその痕跡を抹殺するために1231年に設立された組織。魔法の使用者を見つけたら即座に投獄し,命を失うまで拷問を続けることもあるという。最初の舞台となるバルセロナでは,この組織が非常に強い勢力を誇っている
テンプル騎士団……リチャード1世に仕えた騎士の子孫で,西の聖遺物を守ることを使命としている。組織の性質上,外部の人間が騎士団に入ることはほぼ不可能だという
術者の会……魔法を有効に使うべきだと信じ,審問会と対立している組織。とはいえ勢力は審問会に比べて非常に小さく,秘密の場所で集会を開き,審問官に囚われた人を助け出したりしながら,堂々と魔法を使える世の中が訪れるように画策している
サラディン聖兵団……リチャード1世と激しく戦い(ここは史実どおり),大変異後はリチャード1世に協力して共に戦ったイスラム教指導者サラディンを起源とする組織。東方の聖遺物を守護している。彼らは魔法を使うが,かつて結ばれた協定のため,審問会は口を出せない
これらの組織がそれぞれの思惑で暗躍し,ストーリーは二転三転していくことになる。
とまぁ,シングルプレイRPG好きにはヨダレが出そうな本作だが,一応マルチプレイモードも存在する。"一応"と付けたのは正式にサポートされていないためで,これには(Black Isle閉鎖に伴って,すでにサポートが停止した)英語版とのマルチが不可能だという事情がある。ただもちろん日本語版同士なら問題なくマルチプレイ可能なようで,最大4人でシングルプレイモードと同じストーリーを進めていくことになる。 このほかアイテム・ジェネレータ機能を搭載しており何千種類ものアイテムが登場するなど,「ディアブロ」っぽくもあり,「バルダーズ・ゲート」っぽくもあるという本作。まさに"古き良きRPG"好きに向いたゲームといえるのではないだろうか。さすがにグラフィックスは古さも感じるが,「ゲームは画面じゃない,内容だ」と信じる人ならば,要チェックのタイトルである。(Iwahama)
→「ライオンハートサーガ 〜十字軍の遺産〜」の公式サイトは,「こちら」 →「ライオンハートサーガ 〜十字軍の遺産〜」の記事一覧は,「こちら」
ライオンハートサーガ 〜十字軍の遺産〜 日本語版 ■発売日:2004年11月19日 ■価格:9240円(税込) ■メーカー:カプコン ■動作環境:Windows 98SE/Me/2000/XP,PentiumIII/700MHz以上,メモリ 128MB以上(256MB以上推奨),HDD空き容量 1.6GB以上,VRAM16MB以上搭載したビデオカード(VRAM32MB以上推奨),DirectX 8.1以降
LIONHEART:Legacy of the Crusader © 2003 Interplay Entertainment Corp. All rights reserved. Reflexive Velocity Engine © 2003 Reflexive Entertainment, Inc. All rights reserved. Interplay, the Interplay logo, Black Isle Studios, the Black Isle Studios Logo, Lionheart:Legacy of the Crusader, and the Lionheart:Legacy of the Crusader logo are trademarks of Interplay Entertainment Corp.
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