2004/11/24 00:00 |
「Winning Post 7」プレビュー
Text by 大路政志
今や競馬シミュレーションの代名詞と言えるほどの人気と魅力を有している"Winning Postシリーズ"。その最新作である「Winning Post 7」(以下,WP7)が12月16日発売予定であることは既報だが,つい先日,実際にWP7をプレイする時間をもてた。 噂の"オンライン認証"の関係で,コーエー開発室にお邪魔してのプレイとなり,プレイ時間は数時間,ゲーム内時間で8か月程度ではあったが,人気シリーズ最新作の実力の片鱗は確かに確認できたので,ぜひお伝えしたいと思う。またその場で撮影してきた画像も掲載しよう。
プレイ前の準備について:話題のオンライン認証とは?
プレイしてまず気になったのは,既報の通り,WP7がオンライン環境必須のゲームであったこと。ゲームを開始するときだけでなく,ゲーム内での年末時(自動バックアップ機能があるらしい。つまりなんらかの原因でインターネット接続が切れたとしても,少し前のバックアップデータからプレイを再開できるという)などプレイ中でもインターネット接続が必須となっているので,ネット環境がないとプレイを継続できない仕様なのだ。 とはいえ,ゲーム中頻繁に何らかのデータを送受信しているわけではなく,あくまでオンライン認証やオンライン対応機能を使用するときにしかネットを使わないので,ラグなどの問題でプレイのテンポが損なわれることはなかった。もっと言うならば,オンラインでデータのやりとりがあること自体,ほとんど意識しなかったほどだ。 もし意識するとしたら,パッチが当たるときくらいだろう。とはいえ開発担当者の話では,画像データを含むパッチというのはまずないらしいので,高速回線である必要はないとのこと。ちなみに,そういったパッチのときでもなければ「AirH"接続でも問題なくプレイできます」との言葉も同担当者から聞くことができた。 推奨スペックもやや低めに抑えられている(下記参照)ので,比較的最近のノートPCならば快適にプレイできるのは間違いない。WPシリーズをノートPCでプレイしてきた人も多いことだろうが,無線LANなどで回線さえ調達できれば,これまで通り好きな部屋でWP7を楽しめるようである。
オンライン認証後に表示されるタイトル画面には,「初めから」「続きから」「対戦レース」「人名エディット」「終了」のメニューが。「人名エディット」は,ゲーム中に登場するNPCの名前を自由に設定できるモードらしい。よりリアルな箱庭競馬世界を構築するために,あるいは完全オリジナルの人物を登場させたい競馬ファンにとって,実に魅力的なモードだ。
ゲームの開始年は,1984年。シンボリルドルフやミスターシービーなど,当時日本中を沸かせた名馬達が登場する仮想世界で,プレイヤーは馬主生活を送ることになる。シリーズでお馴染みの馬主秘書(最初は安田五月,如月英里子から選ぶ)を選択したあとにゲームモードの選択もできるのだが,
・モードA……実在馬達の生年/引退が現実の歴史通り ・モードB……生年/寿命などに多少の揺らぎが発生する
といった具合に,モードごとに変化のあるゲーム展開を楽しめるようになっている。モードBは,三國志シリーズなどの"仮想モード"と同様と考えれば分かりやすいだろう。競馬に関する知識に自信があるならモードAが楽しそうだし,あまり競馬に明るくない人や,競馬史のifを満喫したい人なら,モードBもお勧めだ。 ちなみにモードAでも,自分の持ち馬にしておくことで,引退を余儀なくされたはずの"怪我"を避けることは可能のようだ。
抜群のプレイアビリティ:初心者もベテランも"遊びやすい"完成度に
秘書/モード選択や馬主設定が済むと,いよいよゲーム開始。デフォルトの所持金は3億円用意されており,まずはそのお金を活用して0歳馬と競走馬を入手することができる。なお最初から実名馬も買えるが,当然良い馬は高く,3億円では手が出ない。ただWP7でも条件を満たせばセーブデータを持ち越して最初からプレイできるので,資金が潤沢にある状態で1984年に戻ってくれば,いきなり歴史的名馬を手にすることも可能である。 デビュー戦はすぐにやって来るが,その間に同業者である馬主や,調教師,騎手らとの出会いが発生し,基本的なゲームの流れやアドバイスを聞くことができる。勝負服や馬に装着するメンコ・シャドーロールなどのデザインもできる(後から変更も可能)ので,レース前にぜひともデザインしておきたいところだ。
基本画面からジャンプできる「コースポ」(コーエースポーツ新聞)では,新着ニュースや血統情報,競馬用語解説など,ゲームをプレイするうえで非常に役に立つ情報が自由に見られる。とくに用語解説は,あまり競馬に詳しくない人にとっては実にありがたいコンテンツだろう。ある程度の競馬知識がないとスムースに進めにくいゲームだけに,競馬初心者なら大いに活用させてもらおう。
実名馬だけで約6000頭,騎手や調教師などのNPCも数百人単位で登場するゲームだけに,操作性や検索性が気になるという人も多いだろう。しかしその点は心配無用。大抵の情報はボタン一つでショートカットを作成でき,基本画面にそのショートカットを配置できるのだ。ショートカット自体にも基本情報は表示されるし,ショートカットをクリックすれば詳細情報へスムースにジャンプできる。 所有馬,調教師,気になるライバル馬などのショートカットを作成しておけば,プレイアビリティは極めて高くなる。洗練された操作性と情報検索の簡単は,さすがWPシリーズ最新作! といったところだ。
少しずつではあるが着実に進化しているレースシーン
さて,気になるレースシーンだが,これは画面写真を見てもらうのが一番だろう。基本的には従来のWPシリーズのレースシーンが継承されているが,よりエキサイティングに進化している。直進シーンでのズームアップや最終コーナーでのカメラアングルなどは,まさに「手に汗握る」臨場感を提供してくれる。 ところで先ほど必要スペックは低めに抑えられていると書いたが,スペックの高いPCではそれなりの恩恵もある。レースシーンは,右クリックすることでビデオの早送りのような状態で見られるのだが,マシンスペックが高ければ高いほど速く進められるわけだ。 レース終了後,調教師や騎手のコメントを聞くこともでき,それまでは不明だった馬の能力が少しずつ明らかになったりもする(レースを見なくても情報は取得可能)。その後の育成に生かすためにも,こうしたNPCとの会話はできる限りチェックしていったほうがいいだろう。また,レース結果によっては馬の育成度(WP7での新パラメータ)がグンとアップしたり,能力が上昇することもあるのでこちらも要チェックだ。
ここでオンライン対戦にも触れておこう。既報のように,プレイヤーは自分の馬を,ネット上に構築された仮想競馬世界のレースに出馬させられる。連続登録も可能なので,あらかじめ1週間分登録しておき旅行に行き,戻ってきてから1週間分まとめて結果を見る,なんてことも可能だ。 このネット上の試合の結果は,残念ながらリアルタイムでの観戦はできないものの,レース終了後はすぐに結果も見られるし,あえて結果を見ずに,データをダウンロードして実際のレースシーンでの確認もできる。"Five Generations方式"といって分かる人もいるだろうか。 ずっとレース結果のデータは残り,積み重ねられていくので,数か月もすれば,そこにはちょっとした"歴史"が存在しているはずだ。
残念ながらあまりプレイ時間が取れなかったため,大きなレースや種付け関連の仕様に関しては,チェックできなかった。しかし,快適な操作性,充実した情報量とその検索性の高さ,競馬シミュレーションとしての楽しさは十分堪能できた。史実に基づくイベントやムービーシーンなども多く収録されているようなので,競馬シムファン,競馬ファンともに期待してほしい作品と言える。 今後も,新たな情報が入り次第随時お伝えしていくので,ぜひ注目していてほしい。
「Winning Post 7」 ■発売日:12月16日予定 ■価格:1万1340円(税込),プレミアムBOX 1万3340円(税込) ■メーカー:コーエー ■動作環境:Windows 98/Me/2000/XP,PentiumII/333MHz以上(PentiumIII/700MHz以上推奨),メモリ 128MB以上(256MB以上推奨),HDD空き容量 1.3GB以上,VRAM8MB以上搭載したビデオカード(VRAM16MB以上推奨),DirectX 8.1以降 ■公式サイト:http://www.gamecity.ne.jp/products/products/ee/new/wp7/ ■4Gamer内記事一覧:http://www.4gamer.net/DataContents/game/1794.html
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