Kim Hakkyu氏インタビュー

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     〜国に限らない普遍的なものを,ある程度のレベルで設計しておかないといけない
4G:
 要素分けですね。

Hakkyu:

 ええ。実はこれ,明日の講演(編注:記事は「こちら」)でしゃべろうと思ってることなんですけどね(笑)。例えばあるゲームに,Taste A,Taste Bという大きな二つの要素があったとしましょう。Taste Aは,韓国にフルリーチ,中国には半分リーチ,日本はほとんどゼロだとしても,Taste Bで日本にフルリーチさせれば,それは十分「3国で通用する作品」だということができると思います。

4G:
 なるほど,なるほど。

Hakkyu:
 むろん,それぞれのTasteに大きな特徴があれば,というのが前提ですけどね。なので逆に言うと,ある程度のインターナショナルな展開を目論むつもりがあるならば,最初からTaste A,B,もしかしたらCあたりまでを想定して入れ込んでおく必要があると思うんですよ。

4G:
 後付けじゃちょっと厳しいということですね。

Hakkyu:
 そのとおりです。パッチとか拡張パックとか,そういうレベルで吸収できる問題じゃないですから。初期設計段階から入れ込んでおく必要があるんです。

4G:
 Granadoの場合,それがMCC(編注:最大3人のキャラクターを同時に使える機能)と政治システムなわけなんですね。

Hakkyu:
 ええ。最大のTasteはMCCシステムで,オマケとして政治システムがついてる感じですね。いくらキャラクター成長システムや戦闘を斬新にしたところで,しょせんはいつか飽きてしまうものですから。キャラクターが強くなったときのオマケとして,政治という要素を入れ込んだという形ですね。

4G:
 まぁ基本はRPGなんだよ,と。

Hakkyu:
 もちろんです。一人で遊べるMMOという,一見矛盾したテーマの解決に向かった斬新な作品です……と強く書いておいてください(笑)。

4G:
 了解です(笑)。しかしこの説をかいつまんで言えば,開発時点から色んな国で通用するようなファクターを用意しておけ,ということですかね。さすがに全部の国をターゲットにすることなんてありえないんでしょうけど。

Hakkyu:
 うーん,ちょっと違いますね。

4G:
 あ,そうか。国は問題じゃないのか……。

Hakkyu:
 ええ。ターゲットの国籍それ自体は問題ではなく,どんなプレイヤーをターゲットにするかというのが重要だと思ってます。国ごとになんらかの差はあるのかもしれませんが,そこを中心に考えるより,そうでない,ある程度の国で共通の「売り」と呼べる部分をいくつか入れ込んでおく,というか。
 この表でいうならば,横軸で見るのではなくて縦軸で考えて,国に限らない普遍的なものを,ある程度のレベルで設計しておかないといけないということです。むろん予想外のところがヒットすることも十分にありえますが,しょせんそれは偶然の産物です。

4G:
 ROなども,そういう設計の元に作られた。

Hakkyu:
 はい。いろんな国のゲーマーのマニア層が共感できる,彼らにリーチできる部分を重点的に作ったから,ある程度の成功が得られたんだと思います。そもそも世界共通の要素なんて存在しないでしょうし,それを見据えてもしようがないですから。

4G:
 でもその「リーチできる部分」をちゃんとコア層に広めていくには,メディアや現地ディストリビューターの役目って重要ですよね。もう開発者が手出しできる部分ではないというか。

Hakkyu:
 ええ。なので,よろしくお願いしますね(笑)。でも真面目な話まったくそのとおりです。メディアはともかく,現地ディストリビューターがそのゲームの本質的な"売り"を理解してくれていないと,絶対にリーチしませんからね,狙った層に。彼らの協力なくして成功はありえません。


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