タイトル
ジャンル
開発元
販売元
実勢価格
発売日
ファントムダスト
:タクティカルアクション
Microsoft Game Studios
マイクロソフト
:5800円(税抜き)
:2004年9月23日
※Xbox Live対応


劇場版「アキラ」のセリフをすべて丸暗記しているGueedが抱える最大の悩みは,未だに「力」に目覚めないことだという。そう彼は27にもなって,将来の夢は「能力者」であり,住みたい土地は「崩壊した東京」なのだ。そんなGueedが「約束の地を見つけたから,ちょっと行ってくる」と言い残したっきり没頭しているのが,日本Xbox事業部内製第2弾タイトル「ファントムダスト」である。300以上もの能力を駆使して戦うサイキックバトルを,Gueedは制することができるのか!?

 東京ゲームショウ2004も無事終了し,しばし落ち着きを取り戻したようでやっぱり全然落ち着いていない4Gamer編集部。どのスタッフもイチローが大リーグ年間最多安打を記録し,シャラポワが韓国オープンで優勝を飾るといった世の大事もまったく知らない様子である。
 そんな中,本連載担当の編集者が常備してある3個入りのあんぱんをムシャムシャと貪りながら今回持ってきたのは,これまで一度も紹介したことのないピュアなXbox専用タイトル。「PCゲームで発売されるものに限る」という,本連載のコンセプトはあっさり覆えされてしまったようだ。せっかくだし,今回はキルスティン・ダンストがどうとか(第3回参照),ギャグボールがどうとか(第8回参照)言わずに,割と真面目に紹介してみたい。

主人公(左)とエドガー(右)。どちらも救命カプセルから救出された異世界の異端児であり,筆者の憧れる能力者。主人公はリーゼント,顔は爬虫類系だ

 そんなこんなで,27回目の誕生日を誰からも省みられることなく,両親からの「お誕生日おめでとう」というたった一行のメールにひっそりと涙しつつ今回紹介するのが,マイクロソフトの内制第2弾となるタクティカルアクション「ファントムダスト」だ。
 本作の舞台は,時代考証の不明な廃墟と化した世界。人間は未知の粒子により記憶を奪われ,なぜか頭に残った「遺跡」の記憶だけを頼りに,地下に身を潜めて社会を築くという,救いようのないネガティブな設定である。ただし,失われた記憶の代わりに一部の人間には精神力を物理現象に変える特殊能力が身についており,それら能力を有するものは「探索者」と呼ばれ,人間に代わって地上を闊歩する"敵"と相対することになる。プレイヤーが操作する主人公も,その探索者の一人,そして救世主として,地下組織「ヴィジョン」のミッションをこなしていくというのが,本作のストーリーラインだ。"荒廃系"ならではのサイケデリックな衣装デザインに「月光」を始めとするクラッシックを多用したBGM,という具合に,最後はやっぱりグチャグチャになって終わるのかなぁなどと期待させる世界観が特徴的なタイトルである。

 さて,設定だけ話すと実にRPGっぽいが,本作はバリバリのアクションゲームである。もちろん主人公と,主人公と共に地上(地下だけど)に降り立ったエドガーの行く末も見どころではあるが,メインはあくまで特殊能力,そしてスキルを駆使した戦闘シーンだ。序盤のストーリーなんかは,完全に戦闘のチュートリアルに徹している。どうでもいいけど,主人公の名前は「アイス」や「グレン」など一通りの候補から選ぶようになっていて,筆者のようにすべて「いいえ」と答える天邪鬼は「ナナシ」というミもフタもない名前で過ごす羽目になるので,注意が必要だ。
 筆者の場合"超能力" "サイキック"というキーワードで,いの一番に「幻魔大戦」が,いの二番に「童夢」が,三番目でやっとこさゲームの「サイキックフォース」あたりが思い浮かぶわけだが,本作のアクション部分はやっぱりサイキックフォースを彷彿とさせるものだ。
 空を飛べば360度自由自在に動き回れ,まぶしいエフェクトと共にガンガン特殊能力を振るう。もちろん3D空間で敵と戦うことになるので,「バーチャロン」と同じように敵のターゲットなども重要な要素となる。アニメチックなパッケージイラストとは裏腹に,お手軽アクションゲームとは対極にある,実に玄人好みの戦闘を味わえるのだ。というか,筆者の不器用さを差し引いても,正直にいうとちょっぴり難しい感じ。

ミッションの合間やプレイヤーとの会話シーンには,ムービーが挿入される。筆者はゲームのストーリーを重視しない傾向にあるが,あまりにもユニークな世界設定だけに,割と没入できた

サービスカット的なアングルのみかんちゃん。彼女は医務室にいるんだけど,医者でもなんでもないらしい

 で,本作のウリでもあり,玄人好みの難度と高いリプレイ性を提供しているのが,300以上も用意された"スキル"の存在だ。
 スキルは"種別"と"系統"に大別され,種別は攻撃/守備/消去/状態/特殊/環境,系統は念動/光学/自然/気功と,それぞれ属性を持っている。念動系の攻撃は近中距離において有効なものが多く,光学系は守備系スキルが多い,といった具合である。戦闘では,プレイヤーはフィールドの決まった場所に出現するカプセルを"キャプチャー"(A/B/Y/Xのいずれかのボタンに割り当てる)することで,スキルを使用可能にする。詳しくは後述するが,出現するカプセルの種類は基本的にランダムだ。
 そのため,戦闘はまずカプセルを取得してスキルを使用,使用回数の決まったスキルを使い果たしたら,再出現しているカプセルをキャプチャーして戦闘へ,という流れになる。すごく面倒に聞こえるかもしれないが,15秒間で再出現するカプセル(スキル)をいかにうまく選んで戦うかといったことも,本作の重要な要素なのだ。

 そして序盤はともかく,"アーセナル"と呼ばれるスキル群選択のファクターが登場した段階で,本作はグッと奥深く,そして面白くなってくる。敵の得意な攻撃方法に合わせて近/中/遠距離の攻撃スキルを選択したり,あらかじめスキルの種別と系統を選択しておくことで,ある程度カプセルの出現確率をコントロールすることもできる。これがカードゲームにおける"デッキ"の構築同様にあーでもないこーでもないと頭を使う部分で,実に面白い。そして,やり出したらキリがない。もちろん本作はXbox Liveでのマルチプレイにも対応しているわけで,戦略と戦術の両方で切磋琢磨できる魅力があるのだ。

 さて序盤をちょっと触って辞めてしまった人に念のためいっておくと,実はこのアーセナルを使ってスキル選択が楽しめるのは,本編の第三章以降となる。それまでは,ヴィジョンの医療室でみかんちゃんのナース姿などは楽しめるものの,基本的には戦闘のチュートリアル。すぐ操作に慣れてしまった人は若干のグズグズ感を感じるかもしれないが,そこで辞めてしまうのはもったいない。ぜひオフラインで効率のいいアーセナルを編み出して,すでに強豪ひしめくマルチプレイを試してみてほしい。

もちろんド派手な本作のパーティクルエフェクト。下段中央の画面を見ると分かるが,マップも当たり判定を持っていて,しかも崩れた破片に当たるとダメージを受ける。戦術に組み込めるのだ

ヴィジョン内部はスチームパンクのようにメカニカルな作りだ。プレイし始めこそ迷ったりもするが,実際はめちゃくちゃ狭い。同じところを行ったり来たりという感じだ

カジワラやユビキタスといった文官(科学者)が所有する機材を用いて,過去のミッションスコアを見たり,アーセナルを組み立てたりする。中央の画面は,光学/自然の2系統が利用できるアーセナルのカスタマイズ画面。ほんの数個のスキルでも,組み合わせを考え始めるとキリがない

(C) 2004 Microsoft Corporation. All rights reserved. Ending Theme Song "Yes I'm Lonely": Written and Performed by Vincent Gallo.(C) Warp Music. Publishing license granted by Virgin Music Music Japan Ltd.c/o Fujipacific Music Inc. From the Warp Records album When (C) and (p) Warp Records 2002

■■Gueed(4Gamer編集部)■■
先日27歳の誕生日を迎えたGueedは,頻繁にメッセンジャーやメールで「誕生日なのに何もない」というメッセージを大勢に送り続けたが,結局何もなかったらしい。27にもなって,mixiでムカつくプロフィールを書いている人間を探すことぐらいしか趣味がないから,いざというときに自分を祝ってくれる人間がいないのですよ!

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