日本代表にトラブル発生で初戦敗退!? RWC2004は波乱含みの展開に
2004/07/19 00:00
[321Colors]とラグナロ娘の乾曜子さん。……だけでなくGuardian-Chevalierのメンツもいるのはご愛敬
 これまでにも「こちら」「こちら」,そして「こちら」でお伝えしてきたように,7月17日と18日,韓国はソウルのCOEX Pacific Hallで,MMORPG「ラグナロクオンライン」(以下,RO)のギルド戦世界大会,「Ragnarok World Championship」(以下,RWC)が開催された。
 すでにその全スケジュールが終了しているが,取り急ぎ速報として,残る日本代表[321Colors]の試合結果についてお伝えしよう(もう一方の日本代表,Guardian-Chevalierの試合模様は,「こちら」)。

 RWCは,波乱に富んだ展開となった。その最たる例が,優勝候補と目されていた韓国代表が,2ギルドとも初戦で敗退したことだろう。そして我らが日本代表の[321Colors]にも,不幸なトラブルが発生した。




これまで(というかこのNewsでも)ギルドマスターと呼んできた人物は,正確には"ぎるどますたぁ♥"だったようだ
■試合前の様子:ラッキーな組み合わせで,「勝つ確率は120%!」

 まずお断りしておきたいのは,[321Colors]は8名のメンバーで参加しているということだ。ルールで規定されているメンバーは9名であるため,一人足りない計算になる。これはいうまでもなく,もの凄く大きなハンデである。
 しかし試合前の彼らには,そういったハンデをまったく感じさせない明るさがあった。
 この日の朝に彼らが語った言葉を抜粋すると,こうだ。「うちはウィズとプリの心が通じてる」「作戦ですか? Guardian-Chevalierみたいに防御に徹しようという話もあったんですけど,僕らには向いてないんで,いつもどおりガンガン攻めます」「僕らの写真どんどん撮ってくださいよ」「人前だと,逆に燃えますね」「このRWCのために集めたギルド。いうなれば選り抜きです」「RWCの話があるまでROから離れてたんで,国内予選がちょうど良いリハビリになりました」「一人足りないけど,うちは全員が1.1人分活躍するので」……といった感じ。よくよく考えてみれば,一人が1.1人分活躍したって8人×1.1=8.8人とまだ不利な気もするが,とにかくその自信のほどはよく分かる。実に明朗快活な面々だ。

 その彼らと一緒に,北米・カナダチーム代表の"-XGMR"とインドネシア代表"UF Power"の試合を見た。この試合の勝者が,シードポジションにいる[321Colors]の初戦の相手となる。
 詳しくは解説しないが,素人目に見ても凄まじいレベルの高い試合とはいえなかった。緩慢な動き,罠を設置しないハンターなど,見ている[321Colors]の面々からは,試合開始早々から笑い声があがっていた。結果勝利したのは,アメリカ代表の-XGMR。
 このあとギルドマスターに感想を聞いてみると,「120%勝てます!」とひと言。また以前のNewsでギルドマスターと共にコメントをくれた"参謀"は,これまでの記事を読んでくれていたのか「今回は"括弧笑い"いりませんね」などとさえ語ってくれた。

 もし彼らの言葉どおり-XGMRに勝てば,次は台湾・香港代表の"Unforseeable"と当たることになる。このUnforseeableは,タイ代表"Wheel of Fortune"を破った試合でかなりレベルの高いテクニックを披露していたのだが,それでもなお彼らは「勝てなくはない」というコメント。「一人の差は,経験でカバーできるでしょう」。
 さすがにいつものような強気な発言は出なかったが,それでも常に前向きな彼ららしい発言だった。

もう一方の日本代表Guardian-Chevalierからは,あまり個人の顔を写真に撮らないでほしいという要望があったのだが(日本人なら結構普通の反応だ),[321Colors]は「どんどん撮って」とのことなので,写真も多めに掲載。上段左の2点は,ラグナロ娘に頭に羽をつけてもらってご満悦の"参謀"。下段左の2点は,初戦の相手となる"-XGMR"の試合を,余裕たっぷりに眺めているメンバー達


審判団に抗議するガンホースタッフ
■初戦にマシントラブル発生! 一度は"負け"となるも……

 このような流れの中で,日本のメディア陣も彼らの初戦はすっかり安心して見始めた。「次のUnforseeableが一つの山だね」なんて話しながら。
 しかしいざ試合が始まってみると,[321Colors]の様子がおかしい。「世界一うまいウィザード」("参謀"談)の動きが精彩を欠いていたのだ。それでも一進一退の展開で,応援しているGuardian-Chevalierの面々も,「OK,いける!」「ヤバい!」を交互に叫んでいる状況だった。
 この試合の細かい状況は,書かないでおく。とにかく,[321Colors]は,敗退した……ように見えた

 しかし,である。試合が終わったあと,[321Colors]の面々が,なかなかステージから降りてこない。あとで詳しくワケを聞いてみると,次のようなトラブルが発生していた。
 ROのギルド戦では最重要キャラクターである"ウィザード"をプレイしている選手(例の世界一かもしれない人物だ)のPCで,ショートカットキーがうまく動作していなかったのだ
 ROでは,スキルのショートカットをファンクションキーに割り当てられる。F1からF9までの九つのキーをF12キーで3パターンに切り替えられるので,計27通りのショートカットを登録できるわけだ。しかしそのPCでは,とあるショートカットが,F12で切り替えても"切り替わらない状態"のスキルを発動してしまっていた。
 このことはもちろん,試合開始前に審判に訴え,審判も現象を確認。しかし相談している段階で,……急に試合開始のカウントダウンが始まり,抗議したもののうまく説明が伝わらないまま,試合開始となってしまったという。
 あとでそのウィザードプレイヤーに話を聞いてみると,「仕方がないので,わざわざウィンドウを開いてスキルを発動していました」。

 これで負けと判断されては,日本代表ギルドを率いるガンホーも納得いかない。当然審判団に抗議を行った。この件に関する協議は30分以上は続けられていただろう。
 その間我々メディア陣は,もし再戦となったときに選手達が平静な気持ちでいられるようにというガンホーの判断からシャットアウトされ,遠くから様子を見守るしかなかった。そのシャットアウトされる直前に聞いた,ギルドマスターの言葉を紹介しておこう。ガンホーのスタッフが,このあと審判とギルドマスター,そして戦った-XGMRのギルドマスターと3人で協議を行うと[321Colors]に説明したあとの言葉だ。ギルドメンバーに向かって,「任せろ」

 かなりの時間が経ったころ,やきもきしていた我々メディア陣の前に現れたのは,なんとGravity社の会長の金正律(キム・ジョンユル)氏。氏は我々に向かって,人差し指を立てて見せながら,「もう1回」と3回繰り返した。再戦が決定したのである。
 ちなみに金会長は,たまたま再戦が決まったときに近くにいただけらしい。なんというか,おいしいところを持っていく人である。



■-XGMRとの再戦が実現! ……しかし

 再戦のために,10分間のセッティング時間が設けられた(ただし,当然アイテムやお金は減ったまま)。そして同じ組み合わせによる2戦めが,静かに始まった。どう静かかというと,試合開始早々,あちらこちらでキャラクターが"凍っている"のだ
 -XGMRは,UF Power戦が嘘のように,良い動きをしていた。また,戦略も変えてきたようである。具体的には,状態異常を起こす攻撃をメインに使ってきたのだ。それがあちこちでキャラクターが凍っていた理由なのだが,こういう展開は,人数差の有利不利が大きく出る。かなり早い段階で,ブラックスミスが倒されてしまった。
 例のウィザードは,先ほどとは打って変わって"うまさ"を見せつけていた……のだが,こちらも中盤に倒されてしまう。あとはズルズルと劣勢が続き,その結果[321Colors]は,再戦でも勝利を得ることができなかった

 個々のスキルでは,確実に[321Colors]のほうが上だっただろう。ではなぜ負けたのか? ギルドマスターは,「ペースが乱された」ことを敗因に挙げていた。ペースが乱れた理由は説明していなかったが,例のトラブルのことを指しているのはほぼ確実だ。あのアクシデントのために,全員,とりわけキーパーソンであるウィザードのプレイヤーのテンションが上がりきらなかったのだ。
 ウィザードプレイヤーが,ほかのギルドメンバーに対して「申し訳ない」を連発していたのが印象的だ。彼は試合中頭が真っ白になり,ほかのメンバーに「左に動け」といわれて右に動いちゃうような状態だったとか。"参謀"から「やればできる子なのに」と慰められて(?)いたが,本人としては相当忸怩たる思いが残ったのだろう。

 開幕式での"選手宣誓"どおり,正々堂々と再戦を受けてくれたアメリカ-XGMRのチームリーダーにも話を聞いた。「日本代表のコンピュータにトラブルがあったのは分かっていたので,再試合は当然だと思う。2試合戦ったことになるが,彼らは(トラブルがあったため)メンタルな部分でかなり不利だったのに,よく健闘したと思う」



■……来年はどうなる?

 そんなわけで,RWCの決勝戦を待たずして,日本代表2ギルドの戦いは終わった。[321Colors]の場合,例の"参謀"が来年には社会人になるなど,次回も同じメンバーを揃えるのは難しいかもしれない。
 しかし"あくまでも噂"だが,来年のRWCで,今回韓国に来た2ギルドには,国内予選でシード権を与えられる(ワールド代表戦が免除になる)という話もある。ぜひ彼らの雄姿をまた見たいものである。

 ところで。
 今回[321Colors]は,計8名で戦った。ほかにも多くの名プレイヤーが,この日程(7月16日韓国へ出発〜20日帰国)のために,出場を諦めたことだろう。
 Guardian-Chevalierのメンバーから,「もし8月中旬の開催だったら,状況はずいぶんと違っていたでしょうね」という話を聞いた。世界中から多くのギルドが参加するRWCであるため,日本だけの希望で日程を変更できるものとも思えないが,ROの国内運営元のガンホーにも,ぜひ来年はいろんな意見を参考にしてほしいと思う。

 RWCの最終結果と閉会式の模様は,次のNewsでお伝えする。(Iwahama)

「ラグナロクオンライン」の記事一覧は,「こちら」




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