Mythicインタビュー DAoC日本語版の現状と今後について
「ダーク・エイジ・オブ・キャメロット 日本語版」 Mythic Entertainmentインタビュー Text by Murayama
2005年1月13日,「ダーク・エイジ・オブ・キャメロット 日本語版」に関して,ビー・ビー・サーブとMythic Entertainmentが業務提携することが発表された。記者会見の様子は「こちら」を見てもらうとして,ここでは記者会見後にエグゼクティブプロデューサーのMatt Firor氏,マーケティング・ディレクターのEugene Evans氏に話を聞けたので,その様子をお伝えしよう。
左:Matt Firor氏,右:Eugene Evans氏
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■日本語へのローカライズについて
4Gamer(以下,4G): こんにちは,ご無沙汰しています。まずは本日の記者会見の感想を聞かせてください。緊張しましたか?
Eugene Evans氏: 今日の記者会見の結果には満足しています。オンラインゲームに対して,ここまでたくさんのプレスが来てくれたのは嬉しかったですね。
4G: 100人近くが入りそうな結構大きな会場でしたが,いっぱいになりましたものね。さて,現在オープンβが行われていますが,実際にローカライズ作業をしてみて,いかがでしたか? かなり苦労されているなんて話も聞きましたが……。
Eugene Evans氏: ご承知のように(「こちら」参照)当初,クエストのキーワードを英語にするか,日本語にするかでかなり悩みました。キーワードを英語のままでいくならばもっと楽だったかもしれませんが,最終的にはキーワードもすべて日本語でと決断したんです。 キーワードを日本語にしたことで,進行しないクエストが出てしまい,苦労しています。ちなみにキーワードに関しては6名のスタッフが24時間体制で修正作業をしていて,1週間に2回くらいの割合でパッチをあてていますよ。
4G: なるほど。では,キーワードの問題はどこかで大きなパッチがあたって一気に修正されるのではなく,しらみつぶしで修正しているという感じなんですね。 ところで,日本語化したことでデータの転送量が増えてしまい,ゲームが重くなるようなことはなかったんですか?
Matt Firor氏: 2バイト文字になったことが理由で,ゲームがそれほど重くなることはないですね。少しくらいなら影響があるかもしれませんが,おそらくテキストに関しては気にするようなレベルではありません。どちらかといえば,魔法などのエフェクトをフルにするほうがゲームに影響が出るんじゃないですかね。
4G: 確かに英語版でも,多人数が入り乱れる戦争などではエフェクトをオフにしている人も多いですからね。今の話で,日本語版が英語版と変わらないレスポンスでプレイできると確認できて安心しました。あと,レスポンスに関して一応聞いておきたいのがサーバーの設置場所です。
Matt Firor氏: アメリカのバージニア州ですね。ご存じの通り日本,アメリカ間は回線が太いので,レスポンスは問題ないでしょう。
4G: 分かりました。ちなみに,オープンβテストのアカウント数はどれくらいですか?
Eugene Evans氏: 現在約2万アカウントの登録がありますね。
4G: アカウントといえば,発行を段階的に行っているそうですが,これは製品版でも同じですか? 個人的には即時発行だとありがたいんですが……。
Eugene Evans氏: はい,確かに現在は段階的にアカウントの発行をしていますが,正式サービスではアカウントは即時発行になりますよ。
4G: それは嬉しい回答です。ちょっと心配していただけに,安心しました。
■今後のサービスについて
4G: オープンβテストでは,アルビオンでもヒベルニアでもミッドガルドでもプレイできますよね(※英語版では,同一サーバーでは一つの国家でしか遊べない)。これは正式サービスになっても同じですか?
Matt Firor氏: どの国家でもプレイ可能にしてしまうと,ヒベルニアでログインして戦況を確認してからアルビオンでプレイするといったスパイ行為が可能になりますよね。これではRvRが楽しめないので,英語版では1サーバーあたり一つの国家しか選択できない仕様になっています。 ただ,英語版には複数のサーバーを用意しているのでプレイヤーはすべての国家を楽しめますが,日本語版では現在1サーバーしかありません。そうなると,本当に一つの国家しか楽しめないわけです。そこでとりあえず日本語版の独自仕様として,三つの国家でプレイ可能にする代わりに,異なる国家でログインするには一定の時間が必要になるという仕様を検討中です。
4G: なるほど,確かにすべての国家を一度は見てみたいですものね。嬉しい配慮だと思います。プレイヤーへの配慮といえば,英語版DAoCのカスタマーサポートには定評がありますが,日本で正式サービスにあたってカスタマーサポートの人数などはどうなりますか?
Matt Firor氏: さすがに英語版と同じ人数というわけにはいかないですが,英語版で,"どれくらいのプレイヤーに対して何人のカスタマーサポートが必要か?"といったノウハウは積んでいるので,サービスとしては英語版と同等のクオリティであると考えてもらっていいと思います。
4G: 日本語版では2005年3月に最新拡張パック「Catacombs」が導入予定で,大幅なグラフィックスのパワーアップ,新クラスの追加,プライベートダンジョンシステムの搭載などが行われますよね。その後の展開なども教えてもらえませんか? 方向性というか……。個人的には,強さのインフレにつながる,あまり難度の高い要素は入れてほしくないと思っていまして。
Matt Firor氏: 「Catacombs」は,カジュアルプレイヤーでも楽しめるように配慮した拡張パックで,レベルアップしやすくなった点も特徴ですね。どんどんレベルアップして,レベル50になったら「Trial of Atlantis」のマスターレベルなどの難度の高い世界にチャレンジしてもらいたいです。 確かにハードコアなプレイヤーには,キャラクターの強さの上限を引き上げるような要素が喜ばれますが,あまりにもキャラクター間に格差が生まれてしまうのは避けたいですね。今後の方向性としては,「Catacombs」と同様に,すべてのDAoCプレイヤーが楽しめることを前提にした拡張パックをリリースしていきたいです。
4G: 拡張パックというと,イメージ的に「新しい世界=高レベルプレイヤー専用」ということが多いですが,低レベルでも楽しめる拡張パックというのはいいですね。ところでマスターレベルを攻略するには,ごくたまにとはいえバトルグループ(巨大なパーティ)を組んで冒険する必要も出てきますが,(今のところ人口の少ない)日本語サーバーでプレイヤー数が集まりづらい場合,難度を調整したりしますか?
Matt Firor氏: とくにそういうつもりはありませんが,もしも本当にプレイヤー数が揃わないなどの状況が発生してしまうようなら,なんらかの救済処置は考えます。
4G: ほかに今後予定していることはありますか? ぜひ新要素などについて聞きたいですね。
Matt Firor氏: まだ詳細は言えませんが,アイテムの生産関連は大幅な見直しを考えていますよ。
4G: それは個人的にも嬉しいです。現在ある生産スキルの品物が増えるようなものではなく,新カテゴリなどの導入を期待していますね。では最後に,日本のDAoCプレイヤーにコメントをお願いします。
Eugene Evans氏: 本作は何年もプレイされているゲームなので,日本のプレイヤーにもこの面白さを味わってもらい,末長くプレイしてもらいたいですね。
Matt Firor氏: 日本でリリースできることを非常に嬉しく思っています。RvRは日本人向きのシステムだと思うので,ぜひ楽しんでください。
インタビュー時には,発表会で登壇した全メンバーが揃っていた。左からAaron Peterson氏,Matt Firor氏,国枝信吾(ビー・ビー・サーブ),Eugene Evans氏,Ayaka Hahn氏
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正式サービスが2005年の1月31日に決定し,ようやく一段落した感のあるDAoC日本語版。代理店の不在,Mythic初の日本語版タイトルなど,ここまでの道のりはかなり険しいものであった。一部に壊れているキーワードやおかしな翻訳などが残されているといったように,クリアしなければならない問題はまだまだあるが,正式サービスに向けて24時間体制で修正作業を行っているとのことなので,これらのバグがなくなるのは時間の問題だろう。 さて,この記事の掲載日の翌日(1月15日)には,Necca秋葉原店で本作のファンイベントが開催される予定だ。イベントについては「こちら」を参照してもらいたいが,Q&Aコーナーなどもあるので,ファンならぜひ参加して,質問や要望を投げかけてみてはいかがだろうか。
「ダーク・エイジ・オブ・キャメロット 日本語版」 →公式サイトは「こちら」 →紹介ページは「こちら」
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