[GDC#17]元手は数百ドル!? 対戦モード付き3Dアクションゲーム
"プログラマ1人につきライセンス料は100ドル"。アメリカには,そんなミドルウェアが存在する。 GarageGames社が開発したグラフィックエンジン「Torque Game Engine」は,スケレタルアニメーションやマルチパス・テクスチャリング,LOD(Level of Detail)メッシュ生成,クライアント/サーバー・アーキテクチャに,使いやすい編集ツールまでを完備した本格的なミドルウェアである。もちろん「3D Studio MAX」「Maya」「LightWave 3D」「Blender」といった主要開発ツールへのエクスポータも用意されている。
GarageGames社は,1984年頃からDynamix社で「Ace of Aces」「The Incredible Machine」「Starsiege」(Tribes)などを開発してきたメンバーで構成されている。1998年にDynamix社がSierra Online社に統合されたのを機に,彼らが独立して設立した会社なのだ。そもそもTorque Game Engineも,「Tribes 2」用に開発されたものがコアとなっていたりする。
そのGarageGames社の起業理念はと問われると,これはもう察することしかできない。ただ同社は独立系やアマチュア開発者を支援することを信条としており,同エンジンも元々は無料で配付しようと考えていたそうだ。このゲームエンジンのライセンスを得るには「年収2500万円以下の開発チームであること」「完成品は同社の公式ページで販売する」などの制約がある。しかし,インディーズ開発者の懐(ふところ)事情を考えると,これだけの性能を持ったゲームエンジンを低額でライセンスできる魅力は計り知れない。 なおGarage Games社は,「Torque Game Engine 2D」や「Torque Shader Engine」といった別のエンジンも低価格で販売中。教育用には,ミドルウェアを半額で提供している。
GarageGames社のブースは展示会場の隅だったが,Dark Horizons:Lore Invasionのムービーデモは一際目を惹いていた
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今回,そのGarageGames社のブースで最も目立っていたのは,Max Gaming Technologies社の「Dark Horizons:Lore Invasion」である。「Dark Horizons」はGarageGames社がライセンスを保有しているボードゲームで,22世紀の地球を舞台に,ロボットを戦力とする軍隊がぶつかり合うという内容。どこかStarsiegeを思わせる世界観もあるし,きっと彼らの得意とするところに違いない。 デモはプレイアブルなものではなく,16:9の高画質テレビでムービーを流すという方式。「Half-Life 2」や「Unreal 3」などと比べるとテクスチャの素っ気なさは目立つものの,廃墟となった街で倒壊したビルから突き出る鉄骨,ところどころで燃え盛る残骸などが戦場らしい雰囲気を出していた。 前作「Dark Horizons:Lore」はロボットを中心としたアクションゲームだったが,会場でデモされていたDark Horizons:Lore Invationのほうは,人間のキャラクターが動き回っていた。どうやらコマンドーやレジスタンスのような部隊が,侵略するロボット軍団と戦うという設定らしい。
デモの担当員の話では,本作は一人称視点のゲームになるとのことだった。もちろん,前作と同じく64人までをサポートする対戦モードも搭載している。 Dark Horizons:Lore Invasionは,2005年中にも発売される予定。"Tribesと似たゲームプレイ"で"Tribesシリーズの原作者達が関与している"タイトルとなれば,ファンは飛びつかずにはいられないだろう。(奥谷海人)
「GDC 2005」 →公式サイトは「こちら」 →紹介ページは「こちら」
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