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[韓国ゲーム事情#336]「グラナド・エスパダ」懇親会:インタビュー編
2005/04/25 21:09
左がHanbit Soft社のキム・ヨンマン社長,右がキム・ハッキュ プロデューサー
Kimの韓国最新PCゲーム事情#336

「グラナド・エスパダ」懇親会:インタビュー編(2005/4/25)

Text by Kim Dong Wook特派員

 4月19日にソウルで行われた「グラナド・エスパダ」記者懇親会(発表会編は「こちら」)の,インタビュー編をお伝えしよう。
 Hanbit Soft社のキム・ヨンマン社長はこの日,キム・ハッキュ プロデューサーの「試作段階の飛行機を試験飛行させるとき,そこに一般客を乗せることはありえない」という言葉が非常に印象的だったとして,「そこで我々は,ゲームが納得のいく仕上がりを見せてから,一般の人々にテストプレイしてもらうことにした」と語った。
 言い訳のように聞こえなくもないが,MMORPGという"サービス"に対する真摯な姿勢,そして作品に対する意気込みの強さは,グラナド・エスパダの完成を心待ちにしているファンにとって,頼もしいものといえるだろう。

 今回のインタビューは,残念ながらあまり時間的な余裕がなく,比較的簡潔なやりとりに終始した。とはいえいくつか核心的な発言も混じっているので,グラナド・エスパダを心待ちにしている人ならば,ぜひチェックしてほしい。

4Gamer(以下,4G):
 相変わらず非常にお忙しいようですね。そんな中恐縮ですが,少しだけお話しを聞かせてください。

キム・ハッキュ氏(以下,Kim氏):
 ええ,いいですよ。時間の許す限りお答えします。

4G:
 まず一番気になる,テスト日程について教えてください。

Kim氏:
 韓国では現状,5月から6月中に最初のクローズドβテストを行う予定です。そのテスト結果によって,オープンβのスケジュールが決まるでしょう。

4G:
 日本ではどうですか?

Kim氏:
 これは以前話したとおりで,韓国とほぼ同時,遅くても1〜2週間以内に行う予定ですよ。

キム・ヨンマン氏:
 私もそれは保証しますよ。

4G:
 お二人がそういうのなら,間違いなさそうですね。では次に,本作の低スペックバージョンに関する詳細を聞かせてください。

Kim氏:
 低スペックバージョンは,PentiumIII/1GHz&GeForce MX程度のスペックで,無理なく動作するよう設計しています。
 やはりポリゴン数とテクスチャの解像度がスペックに大きな影響を与えていて,とくに戦闘シーンでは多くのキャラクターが登場するうえ,RTSのような引いた視点でもプレイできるから,非常に大変です。とはいえ,なんとか調整してみようと考えています。
 今日公開した映像では,各キャラクターあたり6000ポリゴンで描いています。ちなみに撮影に使ったPCのスペックは,Pentium4/3.0GHz,メモリ512MB,GeForceFX 5700ですね。

4G:
 本作の場合,一人のプレイヤーが3体のキャラクターを操れるので,キャラクターがたくさん登場するであろう戦闘シーンは,かなりの負荷がかかりそうですね。

Kim氏:
 本作では,そのシステム上,1000人のプレイヤーがログインした場合,3000人分のトラフィックを誘発してしまいます。しかし戦闘シーンはローポリゴンモードで展開するので,インスタンスに仕分けされたダンジョンなどを効果的に配置したり,サーバーを増設したりすることで,解決できるはずです。現在社内では,テスト用のBOTを利用して,1800人が同時にプレイしている状況を作りだし,チューニング中です。





これが,懇親会参加者に配られたワイン。キム・ヨンマン社長のワインのコルクが抜かれる日を,日本のファンの皆さんも心待ちにしているのではないだろうか?
4G:
 分かりました,期待しています。では次に,各登場キャラクター達の役割や,そこからくる相性などの点について教えてください。

Kim氏:
 本作の各クラスのキャラクターは,お互いに相性を持つようにデザインされています。例えばスカウト系のキャラクターはヒーリングが可能ですが,敵を直接攻撃できないので,一人では戦闘が不可能に近いです。ファイタータイプのキャラクターの場合は,自らを回復する能力や手段に乏しいので,スカウトがいなければ長期間の戦闘が困難です。また長距離攻撃を得意とするMusketeerは,近接している相手を倒せないため,ファイターのサポートが必要不可欠です。
 私達が追い求めているのは,万能ではないキャラクター達をいかにうまく組み合わせ,いかに効果的なチームを作って相手と競い合うかという点です。
 また,インスタンスダンジョンを基盤にしたクエストは,プレイヤー間の競争が可能な,トーナメント式ミッションの役目を果たすでしょう。だから,多様な状況に対応できる"キャラクターの組み合わせ"は,プレイヤー達に新鮮な楽しさを与えると信じています。

4G:
 期待される政治システムなどの情報は,今日の懇親会では公開されなかったようですね。

Kim氏:
 今日見せた映像の主な舞台であるリボールド都市のマップの後ろ側に,政治システムが具現化される行政区域マップを用意する予定なのですが,今回は公開を控えました。政治システムに関しては,もうちょっと待ってください。

4G:
 うーん,残念。見られる日を楽しみにしています。
 では次の質問です。公開された映像を見た限りでは,リーダーキャラクターは自由にコントロールできるものの,残り二人のMCCキャラクターは,あまりにもAIに頼りすぎではないかと感じたのですが。

Kim氏:
 今回流した映像は,PvPのシーンではなく,ダンジョンでレイドする過程です。また,撮影のために用意した環境がテスト段階のものなので,難度が非常にやさしく設定されているんですよ。それで,キャラクター達も比較的すんなりと,一度も死ぬことなく最終地点にまで到達できたわけですね。
 しかし,実際にゲーム上で難度の高いダンジョンに入っていけば,リーダーキャラクターと残りのMCCキャラクターを上手にコントロールしなければ,簡単にはクリアできないはずです。一般フィールドでは,プレイヤーにストレスを与えないよう,マウスクリックだけで簡単に移動できるよう設計していますが,ダンジョンなど戦闘が多発する地域では,プレイヤースキルの差がはっきりと現れてくるでしょう。

4G:
 以前,MCCキャラクターにはフォーメーションも用意されていると聞きましたが。

Kim氏:
 フォーメーションに関してはいろいろなアイデアが存在したのですが,社内テストをしたところ,3人のキャラクターでフォーメーションを変えることにはあまり意味がないという意見が多く,体力に秀でたキャラクターが前に立ち,ヒーリングを得意とするキャラクターが後ろからサポートするというシンプルな形で落ち着きました。

4G:
 それでは,もっと大人数での戦闘,つまり攻城戦などの大規模な集団戦はどうですか? 実装する予定はあるんでしょうか?

Kim氏:
 それについては,現在検討中です。

4G:
 分かりました。では,最初のクローズドβテストの目的を教えてください。

Kim氏:
 本作で試みる新しい概念と多様なシステムを,ゲーマー達に公開するのが第一の目的です。また,システムの最適化を図り,今日公開した映像よりもさらにパワーアップしたグラナド・エスパダを作り上げるのも目的の一つです。

4G:
 期待しています。本日はありがとうございました。


 Hanbit Soft社のキム・ヨンマン社長は記者懇親会の最後に,韓国では伝統的に,おめでたい席で参加者達にミソを配る風習があると語った。そして,ミソと同じ発酵食品であるフランス産ワインを今日の記念品として参席者達にプレゼントしていた。
 彼は,「このワインは,グラナド・エスパダが無事に正式サービスを迎えた後に,皆さんと一緒に飲みたい」とも語っていたが,それを味わえるのはもう少し先の話になりそうである。

「グラナド・エスパダ」
 →公式サイトは「こちら」
 →紹介ページは「こちら」

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