G2に加えてG3の情報もちょっとだけ。「マビノギ」開発者キム・ドンゴン氏にインタビュー
インタビューはネクソンジャパン内で行われ,通訳はdevCAT 運営チームのローカライズユニット 日本ローカライズ担当のメン・ジスン氏(手前から二人目)が務めてくれた
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トゥーンレンダリングを活用した可愛らしいキャラクター造形と,充実した生活/生産要素を特徴とするMMORPG「マビノギ」。「こちら」の記事でも触れられているように,いよいよ7月21日には国内サービスでGeneration2(G2)アップデートが導入されることもあり,そのPRを兼ねて韓国側開発スタッフdevCATチームのキム・ドンゴン氏,イ・ヒヨン氏,チェ・ムンヨン氏,メン・ジスン氏が来日した。 せっかくの機会なのでG2で導入される新システムの詳細や,G3でスケジュールに上っている新規要素,マビノギ全体での今後の展開など,気になる部分をインタビューしてきたのでお伝えしよう。
■なんとG1をクリアしなくても,G2には挑戦できる
マビノギの企画/開発を統括するdevCATチームの開発室室長,キム・ドンゴン氏
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4Gamer: 本日はよろしくお願いします。今回来日した目的の一つが,7月末に実装されるG2のPRであると聞いていますので,まずはG2における最も大きな変更点・注目点についてうかがいたいと思います。
キム・ドンゴン氏: G2で一番大きな変化ですか,やはり「パラディン」と「ペットシステム」の導入でしょうね。 パラディンは,職業というよりはスキルに近い概念で,発動すると一定時間(2分間〜最大は未定)だけ強力なキャラクターに変身できるんです。HPが上昇して全ステータス値がアップし,専用の攻撃スキルを持つといった具合で,ウルトラマンや仮面ライダーみたいなものと考えていただければ分かりやすいですかね。ただし,変身している間の経験値は,もとのキャラクターには反映されないのですが。
4Gamer: なるほど……一時的に超人になれるのですね。パラディンになれるのは,戦闘系のスキルを持っているキャラクターだけですか? パラディンとは本来,聖騎士のことですよね?
イ・ヒヨン氏: いいえ,パラディンにはすべてのキャラクターがなれます。パラディンになるためのクエストは,従来よりも戦闘の要素を減らして,生産キャラクターでも容易にクリアできるようにしてあるんです。 さらに,パラディン能力の取得は,一応前提条件としてLv10以上であることと,Generation1(G1)を終了していることになっているんですが,実は「G1を終了している」という部分はスキップできます。
4Gamer: G1をやっていなくても,Lv10にさえなっていればパラディンにはなれるということですか?
キム・ドンゴン氏: はい。というのもG2以降から初めてマビノギに参加してくれるプレイヤーにとって,G1から通してメインストーリーをプレイするのは,時間がかかります。 新規プレイヤーと古参プレイヤーの差を埋める意味合いもあり,「村長」の家にいる「不思議なネコ」(顔がdevCATのマークになっています)に話しかければ,G1部分をスキップできるようにしています。また,「自分はちゃんと頭から通してメインストーリーを体験したい」となれば,スキップしない選択もできるし,スキップした人はG1のかいつまんだ内容をムービーで確認できるようにします。
4Gamer: メインのシナリオに着手するための前提条件をスキップできるというのは,従来のMMORPGから考えると,かなり画期的ですね。
■プレイヤーが乗り移れる(?)ペットシステムもG2で導入
主にゲームシステムのディテールについて答えてくれた,devCATチーム 企画チーム チーム長 イ・ヒヨン氏
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4Gamer: では次に,国内でもG2 シーズン2以降で導入が予定されている,まさにマビノギのほのぼの世界観にぴったりな,ペットシステムについて教えてください。ズバリ,ペットって何をしてくれるんでしょう?
イ・ヒヨン氏: 一時的に一緒に戦ってくれる動物を確保する「テイミング」と異なり,ペットはペット用カードを購入すればいつでも,いつまでも一緒にいられます。ペットごとに特殊スキルも持ち合わせているし,プレイヤーの荷物を持ってくれるというのも大きな特徴ですね。戦闘時には命令に従ってヒールをかけてくれたりもします。
4Gamer: 荷物を持ってくれるのは,かなり嬉しいですね。現状ではインベントリがすぐにいっぱいになってしまうので。ペットは何種類ぐらい選べるんでしょうか?
イ・ヒヨン氏: 種類は今後も増やす予定ですが,ハーブ・ブタ,ヒツジ,ウシ,レトリーバー犬などがいます。ハーブ・ブタからは薬草,ヒツジからは毛,牛からは牛乳が採集できるほか,「ミミック」と宝箱を見分ける賢いペットもいます。 荷物を持てる,と先ほど言いましたが,持てる量もペットによって異なり,体の大きなレトリーバー犬が一番たくさん荷物を持てます。 4Gamer: ペットも戦闘に参加してくれるということですが,ダメージを受けると,ペットもプレイヤー同様に行動不能に陥ることがあるんでしょうか。もう少しペットとの協力について教えてください。
キム・ドンゴン氏: ペットは命令さえ与えれば,ヒールもしますし戦闘にも参加します。その際に攻撃スキルもプレイヤー側で指令を与えれば,そのとおりに使ってくれます。もちろん何も特別な指示を与えなくても,ペット側で判断して何かしらの行動を起こしてくれますしね。きちんと育てれば,ペットの転生だって可能なんですよ。 それに,ペットは単なるプレイヤーのお供というだけではありません。プレイヤー自身が,自分の飼っているペットに変身して(=乗り移って)行動できるんです。ペットの姿のまま戦えばきちんとペットの経験値が上がります。 大ダメージを受ければもちろんペットも行動不能に陥りますが,ペット蘇生用のアイテムも用意されています。 すでにペットが導入されている韓国サーバーのプレイヤーは,危険な地域を通り抜けなければならないとき,わざとペットを敵のターゲットにさせておいて,その隙に自分が通過する,なんて使い方もしているようですね。
4Gamer: よい思いつきだけど,それもちょっとむごいですね(笑)。
■G3でついに導入される,ギルドの城と個人の家
devCATチームの運営チーム長にして,海外サービス総括担当でもある,チェ・ムンヨン氏
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4Gamer: ところで,せっかく開発担当の皆さんにいらしていただいてるので,できれば今後の展開,G3についてもうかがいたいのですが。 とくにプレイヤーが気にしているのが,城や家の所持といったシステムについてです。これらの実装予定時期などをぜひ教えてください。
チェ・ムンヨン氏: ギルドは城を,メンバーがその周囲に自分の家を持つというシステムを我々は「ハウジング」と呼んでいますが,こちらは現在準備中です。実装は,韓国ではG3のシーズン前半,今年の秋ぐらいを予定しているんですよ。
4Gamer: 思ったよりもずいぶん早いですね! 個人の家はともかくとして,城はサイズを考えると土地が足りなそうな気もするのですが。そもそも城の購入はどういった手順なんでしょうか。
キム・ドンゴン氏: 家については現実世界に似た,分譲システムを考えています。ギルドで所持する城ですが,こちらの入手方法は決まりつつあるのですが,まだアナウンスできません(笑)。あくまで仮定ですが,入札のようなスタイルになる可能性もありますね。ただ,一度所有したらそのギルドの永久資産ということにはならず,何らかの競争のような形で,後発のギルドも手に入れられるよう,現在思案中です。
4Gamer: 城ってきっと場所をとりますよね? 一体いくつのギルドが持てるんでしょう。だいぶ限定されてしまいそうな感じがしますが。
キム・ドンゴン氏: これもG3に絡む話なんですが,G3では新マップや新NPCの追加を一切やめて,代わりにワールドの追加が行われる予定です。この新ワールドがいわば空き地のような存在で,城と家を建てられるスペースになります。
4Gamer: 新マップではなくて,一つのワールドが丸ごと住宅地というわけですか。かなり面白い町になりそうですが……。 G2の詳細とG3の展望には期待できそうで,とても楽しみです。 現状のお話も少しだけ聞かせてください。韓国では,入れ子で使える「中型カバン」が早い段階で実装され,少ないインベントリをフル活用できてたいへん便利そうですが,これは日本にはいつごろ来ますか?
キム・ドンゴン氏: 申し訳ありませんが,中型カバンは海外サービスには一切実装予定はありません。というのも,韓国ではこの中型カバンが大量に使用されることにより,システムの動作安定性に若干問題が生じてしまいました。いちど導入してしまった以上,後から撤廃するのは難しいので,韓国ではそのまま残っていますが,海外サービスでは実装しません。
4Gamer: それは少し残念ですね。ペットのインベントリがある程度カバーしてくれるとは思いますが。 では,そのほかに戦闘システム面,とくにパーティ戦闘に関係する変更があるようでしたら,ぜひ教えてください。
キム・ドンゴン氏: 「アローリボルバー」「ファイアボール」といった攻撃スキルの追加が予定されています。これは日本でも,今回のG2で導入が決まっています。とくに範囲攻撃であるファイアボールは,一撃でダンジョン内のモンスターをすべて倒すほど強力な代わりに,準備と発動までに長い時間がかかるんです。準備してる間も当然ながらモンスターに襲われますから,魔法を準備する後衛職と,その間に敵を引きつける前衛との連携プレイが,今まで以上に要求されるでしょうね。パーティを組む意味がぐっと高まります。
4Gamer: 日韓のプレイヤーによるプレイスタイルの違いなど,特別に感じることなどはありますか? とくに日本では「生活系MMORPG」という部分に力点を置いて,語られることが多いようですが。
キム・ドンゴン氏: そうですね,韓国のプレイヤーはアクティブで,戦闘的なプレイスタイルが圧倒的です。知らない人にもどんどん積極的に話しかけるタイプのプレイヤーが多く見られます。それに対して日本では,静かで,ゲームシステムをよくよく観察/研究して取り組む姿が多くて,興味深いですね。 日韓のサービスにおけるプログラムのバージョンの問題もありますが,なるべく早いうちにそれを解決して,できれば今後,日本独自仕様なども工夫していきたいと思っています。
4Gamer: 本日はありがとうございました。
画面上段:G2で追加される街「イメンマハ」の風景。観光地にあるような記念撮影用パネルが「ナオ」の絵柄になっているなど,遊び心のあるオブジェクトも
画面下段:イメンマハと同時に追加されるダンジョンには,もちろん新しいモンスターが。真ん中の「スケルトン」は,義足と剣から見て元海賊なのだろうか
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日本国内では7月21日からG2の実装が始まるが,折しも韓国では正式サービス一周年となる6月22日に,G3 シーズン1の導入が始まったばかりだ。それに応じて,G2,G3両者にわたる内容となった今回のインタビュー,いかがだったろうか。 国内では"生活系"の側面が強調されるマビノギは,例えばモンスターの攻撃パターンの複雑さなど,実は戦闘面でも注目すべき要素を持っている。その意味でパーティ戦闘の意義を高める範囲攻撃スキルの導入は,やはり注目すべき要素といえるだろう。 「イメンマハ」の街と併せて追加される新NPCや新クエストもさることながら,そうした,ゲームとしてのプレイスタイルをドラスティックに変える要素が,遠からず導入されるという見通しが得られたのは,今回の収穫だった。 まだまだ注目すべきアップデートが控えているマビノギの動向からは,しばらく目が離せそうにない。(麻生ちはや)
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