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「QuakeCon 2005」開催! イベント初日レポートを掲載
2005/08/12 22:27
■ゲーマー至福の4日間,QuakeCon始まる
大会会場となったGaylord Texan Resort。コンベンションセンターとホテルを含む広大な複合施設だ

 今年で第10回を迎えるQuakeの祭典「QuakeCon」が,アメリカはテキサス州ダラス郊外で開催された。単独のゲームタイトルを冠したイベントとしては,世界最大規模といわれるこのQuakeCon,8月11日〜14日の開催期間で,のべ7000人近くが参加する(主催者予測)という,Quakeファンのみならず見逃せない大会である。今年の注目はなんといっても,シリーズ久々の新作「Quake 4」マルチプレイモード公開と,未だにこれといった情報のない「Enemy Territory:Quake war」だろう。
 というわけで,4Gamer編集部はカリフォルニアの田舎町でヒマそうにしている中年不良大学生約1名を,面白半分に送り込んでみたわけだが,送り込まれたほうは面白半分ってわけにもいかないですね。

(上段)「Quake 4」
(下段)「Enemy Territory:Quake war」


 会場となったGaylord Texan Resortは,ダラス・フォートワース空港に程近い巨大な複合リゾート施設。開始初日から,なんともリゾートには似つかわしくない人々が自分のパソコン一式を抱え,長い行列を作って入場を待っている様子は,いろんな意味でかなり圧巻だが,これは1996年の第1回大会から続くQuakeConではおなじみのBYOC(Bring Your Own Computer)に参加する人達だ。フットボール場約10面に相当する,広大なエキジビションルーム(テキサスはなんでもデカいので有名)の半分以上にずらりと並べられた机には,総延長約20キロのLANケーブルが配線され,参加者は自分のPCをそこにつなぎ,誰も彼もが寝食を忘れて対戦プレイに熱中するのである。そんな彼らが4日間で消費するピザが4000切れ,飲まれる液体が約5600リットルというから,その規模の大きさも窺えるというものである。数百台のモニターが並ぶ様子は,はっきりいって壮観。

(左上)会場ホールの前は待ちきれない人々で鈴なり。参加費用は一切かからないのでアメリカ中から人が集まる
(右上)次々に持ち込まれるPC。荷物の多さから,参加者はときに「ピルグリム」(巡礼)と呼ばれたりする
(左下)開会前のトーナメント会場。試合が始まると照明が落ちるので,今のうちに撮っておくことにする
(右下)これが開会前のBYOCの会場。写真では分かりづらいかも知れないが,ともかく歩き疲れるほど広い


■さりげなさ過ぎる展示がなされていた「Quake 4」
「Quake 4」のデモをやりまくる人々。ほかには「Return to Castle Wolfenstein:Enemy Territory」などが人気だった

 スポンサーの企業としては,もちろんid Softwareが筆頭に上げられるが,さらに同社のゲームのパブリッシャであるActivision,さらにIntelNVIDIACreative Technologyなどのハードメーカー,DELLAlienwareなどのPCメーカーが軒を並べる。とはいえE3などと比べると,その数も少なく面積も小さい。運営するのもほとんどがボランティアであり,段取り関係がいささかいい加減であることは否めないだろう。

 さて注目のQuake 4だが,そんな各社のブースに並んだ試遊台に,なんの変哲もなくインストールされ,「遊びたきゃ遊べ」状態。そりゃ,ちょっと簡単すぎるだろうと思って,その辺の担当者に聞いてみたが,間違いなくQuake 4のマルチプレイデモだそうである。ちなみにイベントの性格上,エギジビターの説明員などはあまりおらず,聞いても「よく知らないなあ」という答えが返ってくることも多い。なんというか,新鮮な感じである。

 来場者のほうも,自分の持ってきたゲームに飽きたら各社のブースに立ち寄り,いろんなマルチプレイデモを楽しむという風情で,こりゃもう,間違いなく楽しいと思う。各ブースのPCには,あらかじめ各種ゲームがインストールしてあり,某大手ビデオチップ会社の数十台ならんだ試遊台で,ほとんどの来場者がQuake 4のデモをプレイしているというのに,一人だけ「バトルフィールド2」を起動して遊んでいる変わった人がおり,驚いたことに,それは筆者なのであった。
 ついでに言うと,某大手サウンドチップメーカーの試遊台で全員が「DOOM 3」のマルチプレイをしているというのに,一人だけシングルプレイで遊んでいて,担当者に怒られたのも筆者なのであった。なにやってんだかもう。

 そんなわけでQuake 4については,12日以降にジョン・カーマックのキーノートスピーチなどもあり,続報をお待ちいただきたい。また「Enemy Territory」については,初日にはなんの情報も得られず,もちろんプレイアブルなバージョンも展示されておらず,どうやら今回もとくに進展がない様子。この点についても,明日以降ということになりそうだ。私が謝ってもどうにもならないのだが,どうもすいません。某所で聞いた話では,Quake 4のほうがはるかに先に発売されるようだが……。

(左上)idSoftwareの製品以外にも,多くのソフトがプレイアブルな状態で展示されていた。未発売のものも実はかなり混じっている
(右上)イカレポンチな自作パソコンを持ち込む人も多い。これなど,あちこちがキラキラ光って大変美しいのだが……
(左下)開会後のBYOC会場。私のデジカメの小さいストロボなんぞでは,光が会場の奥まで届かないのである。困ったなあ
(右下)id software のCEO,Todd Hollenshead氏が登場すると,会場は大騒ぎ。本人もかなり嬉しいと思う


■イベントもたっぷり。だが,初日の最後に思わぬ落とし穴
5人並んだ,アシスタントのQuakeガールズ。このあたりから,ちょっとおかしいような気がしていた

 上記以外にも,初日からイベントは盛り沢山。Creativeは,Sound BlasterのFatal1ty FPSモデルを出したこともあり,世界で最も有名なプロフェッショナルゲーマーの一人,ジョナサン"Fatal1ty"ウェンデルその人を呼んで,会場の腕自慢と戦わせていた。司会の女の子が「誰か,Fatal1tyをやっつけたい人いませんか?」と叫ぶと,そのへんの屈強そうな男が「オレだあ!」と立ち上がり,結局92対マイナス1でコテンパンにやっつけられるという,まるでマンガのような展開が大うけである。

 賞金総額15万ドルを懸けた恒例のトーナメント大会も盛況で,DOOM 3のデスマッチ,「Return to Castle Wolfenstein:Enemy Territory」の6対6マッチ,「Quake II」の128人対戦など,全般にゲームがちょっと古めなのが玉に瑕だが,見ていて飽きることがない。全員女性で戦い,最終的に「ミスQuakeCon」を決定する「Quake III Arena」対戦など,誰を応援していいやら分からないほどだ。
 「Return to Castle Wolfenstein:Enemy Territory」などは,日本におけるプレイヤー人口もかなり多いような気がするので,「我こそは」と思う個人もしくは団体は,来年から参加してみてもいいんじゃないだろうか。なにしろ会場を歩いていても,一人の日本人も見かけないのが残念至極なのだ。真面目なイベントとちょっと違い,あちこちに手作り感覚の残る大会運営。また,威勢がよく気合は入りまくっているが,実際にプレイさせてみると案外ヘタクソなアメリカ人が多いことでもあるし,気後れすることはない。と,今年初めてQuakeConを見学した私が言ってもあまり説得力ないが,そう思うのである。

 今回の取材の眼目の一つとして,大会初日の午後5時から始まるNVIDIAの「Super Presentation」があった。4Gamer編集部が,これは同社の新製品発表,おそらくはGeForce 7800 GTについてのプレゼンテーションであろうと予測しており,「この発表だけは一字一句聞き漏らすことなく,命に代えても取材するように」と,厳しく指示を出されていた。
 当然,筆者はそれなりの準備をして緊張しながら挑んだのだが,蓋を開けてみると,司会の女の子が条件に合う来場者(「今,ポケットにドライバーの入っている人〜」とか「ブリトニー・スピアーズの曲を着メロにしている人〜」とか)をステージ上に呼び,アメリカの人気番組「Fear Factor」のようなゲーム(バターを1箱食べるとか,タマネギを1個食べるとか)をさせ,勝った人にGeForce 6600だのDELLの最新PCだのをプレゼントするという,2時間半も付き合っていた私が最後に茫然自失としてしまうような,ある意味とてもQuakeConらしいスーパー・プレゼンテーションであったのだ。どうりで,事前にNVIDIAのブースでスタッフと打ち合わせをしていても,話が噛み合わないはずだ。「プレゼンテーションを楽しみにしています」と言うと,「あはは」と笑われてしまうので,おかしいような気はしていたのである。

 そんなこんなで,QuakeConの初日はつつがなく,大体どのイベントも1時間遅れぐらいだったが,終わったのである。編集部から「もういいから帰って来い」と言われるまで情報を集める所存なので,続報を(お願いだから)楽しみにしていただきたい。(ライター:松本隆一)

(左)DELLの最新ラップトップPCのため生タマネギ食べる人々。この頃には,私はどうしていいかわからなくなっていた
(右)この髪型だけでGeForce 7800 GTXをもらっちゃった人。なんというか,かなりズルイような気がしてならない

QUAKE 4 英語版 日本語マニュアル付
■開発元:Raven Software
■発売元:ライブドア
■発売日:2005/10/27
■価格:7329円(税込)
→公式サイトは「こちら」
Enemy Territory: Quake Wars
■開発元:Splash Damage
■発売元:Activision Publishing
■発売日:2007/10/02
■価格:未定
→公式サイトは「こちら」

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http://www.4gamer.net/news/history/2005.08/20050812222734detail.html