「リネージュトーナメント Battle GP」福岡大会レポート
日本ではまだまだ未知のゲームモードである,リネージュトーナメント。このゲームシステムに素早く順応し,対応していくことが今大会のカギとなる。キャラ依存でない,プレイヤーの真の実力が試される
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去る8月14日,エヌ・シー・ジャパン主催のイベント「リネージュトーナメント Battle GP」の福岡大会が,「リネージュ」公認ネットカフェ「サイバック福岡西通り店」で行われた。
そもそも"リネージュトーナメント"とは,通常制約のあるPvPプレイをより自由に,さまざまなスタイルで楽しむためのゲームモードである。韓国と台湾ではすでに導入されているが,日本では未実装のシステムであり,ほとんどの国内プレイヤーにとっては未体験のはず。そのリネージュトーナメントを,体験してみようというイベントが「リネージュトーナメント Battle GP」というわけなのだ。
リネージュトーナメントには,デスマッチ,オナーマッチ,クエストバトル,タイムアタック,Siege War(攻城戦モード)という五つのスタイルがあり,それぞれルールや目標が異なる。今大会ではこのうち,Siege Warを除いた4モードで対戦が行われる。 「リネージュ」では現在,カノープス,アークトゥルス,リゲル,シリウス,ベガ,アルタイルという六つのワールド(サーバー)が存在している。今大会では,各チームをワールドごとに振り分けたブロックで予選を行い,その後各ブロックの勝者同士が対戦,優勝したチームには賞金100万円が贈られる。
イベントでは,各ワールドの代表チームが集まり,3チーム(ワールド)ずつ2ブロックに分けた総当たり戦で,まず"デスマッチ"を行う。これが第一次予選だ。なお,各モードのルールについては後述する。 そして,それぞれのブロックでトップとなったチーム同士で決勝戦が行われ,第一次予選の勝者が決定する。続いて"オナーマッチ"を用いて同じように第二次予選が行われる。そして最後は第一次予選の優勝チームと第二次予選の優勝チームで"クエストバトル"を用いた優勝決定戦が行われ,総合優勝チームが決まるという仕組みである。ちなみに"タイムアタック"モードはイベントの最後を飾る試合として行われ,優勝チームを決める争いには使用されていない。
ちなみに,本来リネージュトーナメントはプレイヤーがリネージュ内で使用しているキャラを使用するのだが,今大会ではあらかじめ用意された,5クラスで2タイプずつ,計10種類のキャラからプレイヤーが使うキャラを選ぶシステムとなっており,プレイヤーが普段ゲーム内で使用しているキャラは選択不可能だ。 とはいえ,用意されたキャラは変身(変身スクロールなどのアイテムによって,特定のモンスターに変身できるシステム)のレベル制限が解除されており,さらには装備も大会オリジナルの強力なものばかり。ハイレベルなキャラクター同士の激しい戦いが必至で,かなり見応えがある対戦が繰り広げられた。 それでは,当日の大会の様子を細かくレポートしていくことにしよう。
大会が行われたサイバック福岡西通り店特設スペース。普段はライブなどにも使用されるらしく,かなりアダルトな雰囲気。九州地区のリネージュプレイヤーが数多く詰めかけたが,お互いに初対面というプレイヤーが多かった様子だ
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新リネージュガール・市川円香さんがプリンセスに扮して登場。大会終了時には撮影会なども行われ,盛り上がった。
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■第一次予選:手探りの中での魔法合戦
大会当日の福岡の気温は32度。タクシーの運転手さんに聞くと,数日前までは最高気温35度を越える真夏日が続いていたとの話で,それに比べれば幾分かマシというものの,東京と比べると相当な暑さに感じた。 大会開始直前に会場入りすると,すでに多数のリネージュプレイヤーが集っており,チームごとに用意されたテーブルに分かれ,それぞれゲームの話に興じていた。 各テーブルを回って話の内容をちらりと聞いてみたが,これから行われるリネージュトーナメントに関して話しているチームは,筆者が聞いて回った限りでは皆無であった。ほぼすべてのプレイヤーがリネージュトーナメント未体験のようなので,予選が始まってみないと,戦略面などに関しての話し合いができないというのが実際のところだったのであろう。 やがて司会による大会の説明,新リネージュガール・市川円香さんによるブロック分けのくじ引きなどが行われ,第一次予選が開始された。第一次予選は前述の通り,デスマッチモードを用いて優勝チームが争われる。
デスマッチモードはその名のとおり,10名ずつ参加した両チームのいずれかが全滅するまで戦うモードである。対戦中に死亡したキャラクターの復活は不可能。ブロック戦の勝敗でトップのチームが複数出た場合は,2度の対戦の合計で,より多くのキャラが生き残ったほうが上位と認定され,決勝進出チームが決定する仕組みとなっている。
予選が開始されてからしばらくは,ウィザードを自キャラに選択して戦うプレイヤーが数多く見受けられた。この大会では,リネージュ内でドロップ数の少ないレア魔法「ディスインテグレート」(善の神の力を得た,レベル10の究極の破壊魔法。一つの対象にとても大きなダメージを与える)が使用できるとあって,これを使って戦いたいというプレイヤーが多かったようだ。 ディスインテグレートは画面効果も派手で,この魔法が画面内のいたるところで炸裂している風景などというのは,そうそうお目にかかれるものではない。離れた距離からの魔法の撃ち合いに終始する展開も,最初の数試合では見受けられた。
試合に参加していないチームは,各テーブルなどで現在行われている試合を観戦できる。大会開始前はリネージュトーナメント自体未知のシステムであったために作戦の練りようがなかったが,ここに来て,試合を観ながら話し合って戦略を練るチームが増え始めた。第一次予選の後半にもなってくると,ウィザードを選択するプレイヤーは減り,チーム内でのクラス配分のバランスを考えるチームが増え始めたようだ。
第一次予選は第1ブロックを勢いとチームワークで制したベガチームが連勝で勝ち抜き,第2ブロックは勝敗数同点,生き残ったキャラの数によって僅差でリゲルチームが勝ち抜けた。そして第一次予選決勝戦では,ブロック戦の初戦に敗れたあと,一番熱心に打ち合わせをして戦略を練っていたリゲルチームがベガチームを下し,まずは総合優勝にリーチをかけることとなった。
上段はデスマッチモードで使用されるマップ3種。左からFatality,Temple,CrossRoad。対戦にどのマップが使用されるかは,開始直前まで分からない仕組みとなっている
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■第二次予選:勢いに乗るリゲルチームを止められるか?
続いて行われた第二次予選。第一次予選前にブロック分けの抽選は行われていたので,すぐさま戦いが開始される。第二次予選で採用されたバトルモードはオナーマッチである。 オナーマッチは2つのチームにそれぞれ存在する"ガーディアンタワー"(名誉の紋章)を,先に破壊したチームが勝者となるモードだ。ガーディアンタワーは一定量のHPを持ち,近接攻撃だけでなく魔法や矢などの遠距離攻撃でもダメージを与えられる。自チームのガーディアンタワーを護りつつ,敵チームのガーディアンタワーを破壊しなければならないということで,ある程度力押しが通じるデスマッチよりも,戦略面がより重要になってくる。 また,オナーマッチの場合は対戦中にキャラが死亡しても,数秒後には自動的に復活し,戦線への復帰が可能となっている。各ブロックで勝敗数が並んだチームが出た場合,決勝進出はキャラ復活がより少なかったチームが優先されることとなる。
第二次予選で目立ったのは,第一次予選を逆転で突破した形となり,勢いに乗った感のあるリゲルチームである。話し合いも綿密に行われ,勝利するとハイタッチで喜びを分かち合い,会場内でも最高の盛り上がりを見せていた。結果,リゲルチームは第2次予選のブロック戦を負けなしの連戦連勝で抜け,予選決勝戦に挑むこととなる。そして,ここでリゲルチームが勝てば,クエストバトルを用いての優勝決定戦を待たずに総合優勝が決まることとなる。 一方,それに待ったをかけるのが登録最少人数10名で戦い続けるアルタイルチームだ。比較的落ち着いた感じを受ける,リゲルとは対照的なチームだが,第一次予選で唯一リゲルを破った実績のある,実力派だ。
オナーマッチでは自軍のガーディアンタワーが破壊されなければ負けないため,ブロック予選ではお互いが守りに戦力を多く割き,試合時間が長時間にわたってしまう場合もあった。しかしリゲル vs. アルタイルによるオナーマッチ決勝戦は,お互いに攻めの体勢で対戦に挑み,短時間で決着が着いた。僅差で勝利したのはアルタイルチーム。これによって,総合優勝はこの大会中3度めとなるリゲルチーム vs. アルタイルチームのカードで争われることとなる。
オナーマッチモードで使用されたマップは2種類。TheGlory(左)では3本ある橋のうち,どれを渡って敵陣に切り込むかがカギとなる。Entrance(右)ではガーディアンタワー前の門での攻防が見物だ。デスマッチモードに比べて試合が膠着しやすい印象があった。守りを固めるのも作戦の一つだが,敵陣に切り込まないと勝利は見えてこないのだ
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総合優勝を決めたアルタイルチーム。10人という少数精鋭のチームだが,逆にこの人数の少なさがまとまりを生んだのかもしれない
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■総合優勝決定戦:プレイヤーの真の実力が試される
そしていよいよ,総合優勝を賭けたクエストバトルが開始される。クエストバトルは,いくつかの部屋で構成されるマップに出現するモンスターを倒しながら、相手チームより先に最後の部屋にあるガーディアンタワーを破壊したほうが勝者となるモードである。お互いのチームが直接戦うことはなく,相手の進行を妨害することも不可能。ハプニング要素が少なく,ある意味,真の実力が試されるといった印象のゲームモードだ。
クエストバトルでは試合開始直後にアルタイルチームが素早く部屋を突破し,リードを奪った。そして,リゲルチームが若干の差を持ってそれを追いかける形となる。しかし,後半になるとリゲルが徐々に差を詰め始め,最後の部屋になだれ込んだのはほぼ同時という,白熱の展開となった。 最後までどちらが勝利するか分からない,手に汗握るこの対戦を制したのは,アルタイルチーム。クエストバトルは予選なしでのぶっつけ本番であったため,これまで都度都度戦略を練って戦ってきた感のあったリゲルにとっては,若干,不利な面もあったかもしれない。
かくして賞金100万円を手にしたのはアルタイルチームとなった。アルタイルチームの代表者(正確には表彰式で賞金目録を受け取ったプレイヤー)に話を聞いてみたが,勝因はアルタイルが比較的新しいワールドで,他のワールドから移住したベテランプレイヤーと,リネージュ歴が浅いプレイヤーが混在していることを挙げていた。ベテランプレイヤーの話を新規プレイヤーがよく聞き,作戦どおりに動いてくれたことでまとまりができたそうである。 また,勝利するコツとしては,なるべく使用するクラスをまとめることを第一に挙げていた。アルタイルは予選後半から援護役のウィザードを2人に絞り,ほかのプレイヤーは素早く攻撃ができるダークエルフで固めた構成で戦い抜いたそうである。もちろん,リネージュトーナメントはまだまだ日本では未知の領域であるため,これが最善の策とは限らないかもしれないが,この日この作戦が功を奏したのは,結果を見ても明らかであろう。
最後に行われたのはエキシビションタイムアタック。一定の順番で出現するモンスターを限られた時間内に全滅させるモードで,プレイヤー全員が協力して,システム側(モンスター側)と戦う。リネージュプレイヤーには,"アルティメットバトル"に近い感じのモードといえば分かりやすいだろうか。 参加可能人数が20名であったため,希望者の中から抽選でプレイヤーが選ばれて,プレイ開始。どのモンスターが出現するパターンになるかは,始まってみるまで主催者側にも分からないという状況の中で,この日のモンスター出現パターンは司会者いわく「最悪のパターン」であったらしい。実際,プレイヤー側はかなりの苦戦を強いられたが,なんと時間切れ5秒前にプレイヤー側が最終ボスであるエンシェントジャイアントとグレートミノタウルスを倒し,九州のリネージュプレイヤーレベルの高さを見せつけた。
途中で若干のマシントラブルなどがあったものの,リネージュトーナメント Battle GPの福岡大会は最高の盛り上がりを見せて終了した。参加者にはゲーム内や実社会で知り合いだったというプレイヤーが少なく,その日会場で初めて会ったという人がほとんどであったらしいのだが,こうした催しを通じてゲーム内での冒険の仲間が増えるというのも,またMMORPGならではの出来事である。 リネージュトーナメント Battle GPは,8月21日に大阪大会が大阪市北区の「コミックカフェYOU」で,8月28日には東京大会が秋葉原の「トッププレイヤー秋葉原店」で行われる。各地のリネージュプレイヤーはぜひ会場に足を運び,リネージュトーナメントを体感してほしい。リネージュの新しい魅力が発見できること請け合いの大会である。(キーオ林)
総合優勝を決めるクエストバトルは,本当に僅差の息詰まる展開となった。結局,リゲルチームは最後までアルタイルチームにのみ,敗北した結果となったが……
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