[GC 2005#37]「Hitman:BM」暗殺者の生業を見事にゲーム化
"Hitmanシリーズ"は,2000年末に発売された「Hitman:Codename 47」からわずか5年で4作と,順調に開発が続けられている。続編が世に出るたびに評価も上がり,Hitmanシリーズが提唱するブラックなステルスアクションにも,多くのプレイヤーが親しむようになってきた。 その最新作にあたる「Hitman:Blood Money」は,アップデートされたグラフィックスも見事だが,暗殺者稼業に生きる男"コードネーム47"の懐事情にもスポットをあて,それをうまく活用したゲームシステムになっていることにも要注目だ。
開発元Eidos Interactiveのブースでは,豊満なララ・クロフトのモデルがフロアで接客に応じ,なぜかコードネーム47がお立ち台に上がって愛想のない硬そうな顔で威圧するという不思議な演出になっていた。 しかし,当のゲームはドイツでは18禁指定(ESRBではMature)になっているためか,ダンジョンのように細く蒸し暑い奥の通路に並べられているという状態。取材道具が入ったバックを背負ったままのテストプレイでは通行人の流れを止めてしまうくらいで,係員からバックを降ろせと言われる始末だった。
そんな密度の濃いブース内で汗だくになって挑んだHitman:Blood Moneyだが,展示されていたのはE3で初公開されたものと同じラスベガスのミッションだった。 そもそもコードネーム47がラスベガスにやってきたのは,クローン兄弟のヒットマン達が次々と"消され"ていくという事態が発生したためだ。理由も分からないまま人ごみの多いラスベガスで身を隠す魂胆だったが,生活するにはお金がかかる。そこで,仕方なく暗殺の依頼を受けるようになったのである。 このマップでは,ネオンサインでギラギラしたカジノホテルの正面から,いつものように何事もない素振りで正面突破することになる。ミッション内容は,カジノに乗り付けてくる科学者やアラビアの富豪を依頼どおりに暗殺し,その後は人知れず脱出するというもの。ホテルの従業員や警備員になりすましたり,死骸は放置せずに人目のつかない場所に隠したりという行動は,従来作どおりのゲームプレイになっていた。
これまでと大きく異なるのは,いかにキレイに仕事をするかで,受け取る報酬も違ってくるというシステムだ。激しい撃ち合いを演じ,アチコチに証拠を残したり一般市民を巻き添えにしたりしていては,ニュースになり世間の関心を惹いてしまうので,依頼人としても都合の良いことではない。できることならこっそりと,ターゲットだけをうまく処理するというスタイリッシュな行動が,本作では求められるようになったのだ。 報酬が多ければ,次のミッションで使用するためのより良い武器やアイテムを購入できるので,財布の薄いコードネーム47にとっても,死活問題なわけである。ひどい場合は,散らかした後始末としてエージェントに代金を差し引かれてしまうのだ。 目撃者が多ければ多いほど,新聞記事の似顔絵写真が鮮明になり,次のミッションでは顔を知られてしまい仕事も難しくなるため,残忍ではあるが目撃者は一人たりとも残さないほうがいい。そのため,ターゲットだけをヒットしてミッションを終わらせるのは相当困難だと思われる。
今回初めてHitman:Blood Moneyのデモを試したので,要求されるような繊細な仕事ができたわけではなかったが,それとなく状況は理解できた。 最初に入ってくる科学者は,エレベータに乗った時点で一人なので,ドアが閉まる前に侵入すると,そこで始末することはできる。ただし,目的地の7階には3人の警備員が待っているので,ドアが開いた途端に激しい銃撃戦が始まってしまうのだ。 試す時間はなかったものの,おそらくエレベータのハッチを利用して,うまく攪乱するなどのオプションもあると考えられる。3人くらいが相手ではコードネーム47のダメージも大きくはないし,実際にどのような仕事をするかはプレイヤー次第。警報装置を作動させて一般人をすべてホテルから逃避させたり,爆弾を設置して派手に処理したりしてもいい。
残念ながらシングルプレイヤー専用で,また発売時期が2006年第1四半期に延びてしまっているが,Hitman:Blood Moneyは,遊んでみたくなる"何か"を持っている。映画化の話も聞こえてくるので,今後も話題は多いはずだ。(奥谷海人)
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Hitman: Blood Money |
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