[GC 2005#54]インパクト十分の不思議ゲーム「Precursors」
E3のようにメインではないものの,トレードショウとしての側面も持っているGCでは,一般向けの展示がある場所から少し離れたところに,「ビジネスセンター」と呼ばれるスペースが設けられている。 各社はお祭り騒ぎの一般展示スペースとは別に,ビジネスセンターにもブースを設け,そこで商談を行っている。またE3と同じく,ビジネスセンターだけにスペースを構えて,メディアへのデモや取引先へのプレゼンテーションのみを行うメーカーも存在する。そんな新興/中堅どころのメーカーも多いビジネスセンターでは,大作ではないが,どこかに強い個性を持った作品に出会えることも少なくない。
ロシアの
Play Ten Interactiveがビジネスセンターで展示していた「Precursors」も,そんなタイトルの一つだ。同社のStas Kim氏によれば,本作のジャンルは「first-person RPG/Action/Space Simulator」。冗談のようにも聞こえるが,少なくとも嘘ではない。 この作品には「宇宙部分」(スペースシム)と「地上部分」(FPS)があり,プレイヤー扮する主人公は,ストーリーの進行に合わせてこの二つを行き来することになる。キャラクターが徐々に成長していくRPG要素も盛り込まれており,地上部分のプレイフィールはFPS 70%,RPG 30%といったところだそうだ。
Atariの「Boiling Point」と,同じエンジンを使って作られているのもセールスポイントの一つ。非常に広大な1枚のマップの中を,ローディングを挟むことなく端から端まで移動できるというこのエンジンの特徴は,もちろん本作でも生きている。なおマップの広さは,実に20平方km以上とのことだ。
これらエンジンやシステム周りの仕様も十分に興味深いが,ゲーム画面を見て最も衝撃を受けた部分は,ほかにある。それは「オーガニックウェポン」の挙動だ。 本作のFPS部分には,近代的な銃などの兵器のほか,生物を改造して武器にしたようなオーガニックウェポンが登場する。生きているオーガニックウェポンにとって,いわゆる"リロード"はすなわち"食事"。Rキーを押すと主人公は武器に何かを食べさせる。この様子がなんとも印象的なのだ。 ある武器は,主人公によって目の前に差し出されたカニのような生き物をボリボリと音を立てて食べる。またある武器は,木の実のようなものを口の中に入れられて,それをモッシャモッシャと咀嚼する。この音と動きがとても気持ち悪くて"良い感じ"なのだ。
ついついリロードしたくなる本作の発売は,2006年1月に予定されている。(ライター:星原昭典)
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