[GC 2005#55]メンタルパワーを利用して戦うロシア産FPS「Neuro」
正直に言っておくと,筆者はロシアのゲーム業界の構造について,あまり詳しくない。今回紹介する「Neuro」は,5月のE3ではロシアの開発元であるRussobit-Mのブースで公開されていたものだが,GC 2005では,ロシアのGame Factory Interactiveブースで紹介された。 今回デモを見せてもらった同社の広報兼マーケティングマネージャー,Michael Kabanov(ミカエル・カバノフ)氏は,その説明の中で「一部のNPCのキャラクターモデルが,以前から不自然だったので変更したい」などと発言しており,同社も以前から開発に関わってきたのは確かなようだ。
Michael Kabanov(ミカエル・カバノフ)氏
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そんなNeuroではあるが,カバノフ氏によるとゲーム開発はβ段階に入っており,2006年1〜2月頃には,ロシア本国でリリースされる予定だという。 このゲームが制作に4年もかかってしまったのは,開発チームRevolt Gamesのメインプログラマーが辞めてしまい,企画が頓挫していたからだと氏は言う。そういったクーリングオフの期間を経ながらも,残ったメンバーでコツコツと開発が続けられてきたらしい。
Neuroのグラフィックスエンジンの能力は非常に高く,「DOOM 3」の暗さと「Far Cry」の明るさを掛け合わせたような,独特の色合いを持っている。宇宙基地や未来的な巨大都市,ジャングルまでが舞台となっており,すでにダイナミックライティングや複数の光源の影響を受けた影の効果なども実装されている。 宇宙船のエンジン熱による空気の揺れ,滝から流れ出る水の表現なども独特だ。さまざまな開発者が出入りしたためか,非常に手の込んだマップがあるかと思えば,簡素なテクスチャでごまかしている部分もあって,すべてにおいて一級とはいえない。しかし,そのレベルの高さは素直に認められる部分だ。
Neuroのストーリーは,バイオ工学によって超能力を得たスーパーソルジャーが,裏に絡む企業や政府の陰謀によって命を狙われるというもの。Revolt Gamesが以前ロシア国内でリリースした,「HomePlanet」というストラテジーゲームの世界観を利用したものだが,ロシア以外のゲーマーにはほぼ馴染みがないだろう。そのため,ゲームでは誰でも話を理解できるように,オープニングやスクリプティングされたムービーで,物語を補足しているのだとカバノフ氏は話していた。 本作の特徴は,襲いかかってくる敵兵に対して,超能力を使ってさまざまな攻撃を加えられるという点だ。例として見せてくれたのは,相手をパニックに陥らせて撃ち合いをさせるMind Strike,突然相手の体が発火するPyrokinesis,自分の攻撃力が一定時間向上するBerserk,そして傷ついた自分の体を治療するHealth Gainなど。ヘルス値の減少はシビアになっているので,このような超能力を駆使して,被弾をなるべく減らす必要があるわけだ。
プレイヤーが超能力を使うと,画面左下にあるPsi-powerメーターが減っていく。このメーターは,ゲーム内に登場する薬によって回復させる必要があるのだが,この薬を摂取し過ぎると一時的な神経障害状態となり,行動が取れないほど画面に歪みが生じてしまう。つまりは諸刃の剣なのだ。 NeuroはMeqon 2.0物理エンジンをライセンスしており,ゲーム中のさまざまなオブジェクトを利用したり破壊したりできるし,ラグドール効果のようなお馴染みのエフェクトの実装も今回確認できた。相手のNPCも,銃弾のリロードのときにはしゃがんで手を腰にかける仕草をするなど,アニメーションも細かく描かれていた。 アメリカでの販売元すら決まっていないので,現時点では日本でプレイできるかどうかは怪しい。しかし,気になる新作FPSの一つとして,今後の展開には注意しておきたいところだ。(奥谷海人)
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