[GC 2005#58]”水着ギャル付き”経営シム「Hotdogs Hotgals」
オーストラリアの開発会社Fuzzyeyes Studioが制作する「Hotdogs Hotgals」は,ホットドッグやハンバーガーなどのファーストフードチェーンを運営する経営シミュレーションだ。
できるだけ立地条件の良い場所に店舗を建て,商品を仕入れ,売りさばく。お客に来てもらうためには評判も大切なので,売り物の価格や店の外観,店員の女の子にも(ここがミソだ)気を遣う。そのような努力の末にいつかは自分のホットドッグチェーン帝国を作り出す……というのがゲームの大まかな流れとなっている。 加えて本作には,セクシーな女の子を接客担当の店員として雇えるという大きな特徴がある。経営者であるプレイヤーは,女の子達に好きな衣装を買い与え,それを着て働かせることが可能。店舗経営の腕前に加えて,プレイヤーには女の子達をマネージメントする手腕も求められるというわけだ。
スタッフとして雇える女の子達には,それぞれ名前と個性が設定されている。年の頃はみな18〜22歳。国籍もさまざまで,19歳の日本人「Yasuko」ちゃん,なんていうギャルもいる。正確な数は分からないが,少なくとも10人以上の女の子が雇用可能になっているようだ。 女の子達にはIntelligence,Stamina,Charisma,Boldnessといった多くのパラメータが設定されている。その一方で,調理など裏方スタッフとなる男性店員達には,数個のパラメータしか設定されていない。明らかに"ギャル"をセンターに据えた設計だ。さすが,名前についているだけのことはある。
ステージとなる町は,ニューヨーク,サンフランシスコ,シアトルといった有名な都市の中から選択できる。各都市はCity Center(都心部),Business District(商業地区),Residential District(住宅地区),Beachfront District(海岸沿い地区),Industrial District(工業地区),Suburbs(郊外)といった街区に分かれており,商売をするうえでは,その土地にフィットしたサービスや商品を考える必要がある。 例えば女子店員の服装。海岸沿いのにぎやかな通りにある店舗では,開放的な水着姿は歓迎されるだろうが,郊外や住宅街では適度に抑えておかないと,その地域の住人の反感を買ってしまうこともある。 そして商品構成。その場所で売れるものは何かを見極め,それをお客に効率良く提供できるようでなければ,やはり店の評判は下がっていくはずだ。 店の評判(Reputation)の値を高く保つことは,お客を獲得するためだけでなく,ライバルチェーンに差をつける意味でも重要だ。地道なプレイでじっくり評判を稼ぐのも手だが,金の力でマフィアを雇い,ライバル店の経営や評判にダメージを与えることもできるようである。
店と地域の関係を表すReputationも重要だが,経営者が女の子達とより親密な関係性(Relationships)を築けるようになっていることも,本作のポイントだ。彼女達の持つ能力パラメータの値は,プレイヤーが彼女達をどう扱うかによって変わっていく。贈り物をあげたり,昇給してあげたり,トレーニングを受けさせたり,休暇をあげたり……,これらの効果はさまざまな形でパラメータに反映される。 基本的には,彼女達をハッピーな状態に保つことができれば,生産性も士気も高いレベルでキープできるはずだ。 関係性について一つ留意しておきたいのは,女の子達の中にはきわどいスタイルを好まない子だっているということ。いやだということを強要すれば,こちらと女の子の関係は悪化し,それは彼女の店員としての能力にも影響を与えるだろう。
このような基本的な経営/マネージメント部分に加えて,本作にはプレイに変化を与える突発的なイベント/ミニゲームも用意されている。 例えば,店にはときどきドロボウがやってくる。そんなときはギャルを操作して皿を手裏剣のように投げつけ,彼らを撃退しなければならない。ネズミが大量発生したら,やっぱりギャルを操作してそれを退治する。経営の管理に使っているPDAがウイルスに感染するなんていうイベントもあり,そのときはインベンダーゲームのようなミニゲームでウイルスを撃退する。なかには逆上したお客とのリアルファイト(!)なんていうハチャメチャなイベントも用意されているようだ。
こういった,まるでテレビのちょっとエッチなバラエティ番組のようなおバカなノリが本作の特徴だが,経営シムとしての部分も比較的しっかりしているところは興味深い。女の子の姿を眺めて喜ぶばかりではなく,コストの計算や長期的な経営計画などきちんと立てていかないと,ゲームを先に進めることはできないだろう。 ただ,昨今の本格的な経営シムに見られるような,プレイヤーの手腕によって町の景観まで変化したり,道行く人々が一人一人描かれていたり,店舗レイアウトを自分でエディットできたりといった要素はない。どちらかといえば,カジュアルなゲーマーをターゲットとしてデザインされているようだ。
プレイ開始時に,経営者(=プレイヤー)のパーソナリティを"PERSONNEL" "FASHIONABLE" "COMMERCIAL"のなかから選択できるのも,興味を惹かれた部分である。おそらく,FASHIONABLEな経営者は女性達とのコミュニケーションがうまく,COMMERCIALな経営者は経営部分にボーナスなどがあるのだろう。PERSONNELはその中間だ。 この機能は接客女性店員との交流と店舗の経営,どちらか一方に焦点をおいてプレイしたいときにも使えそうだし,また,自分が不得意な分野をサポートするためにも使えそうだ。
このユニークなゲームの発売予定は,2006年中となっている。端々のアイデアが面白く,今回結構長く居座ってプレイを楽しんでみたのだが,もうかなり完成品に近い印象を受けた。きっと,予定を大きく逸脱することなくリリースされることだろう。 このようなライトなお色気要素を持った作品は,なぜか日本でリリースされることも多かったりする。日本語版発売決定のアナウンスを耳にする日を心待ちにしていよう。(ライター:星原昭典)
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