グラナド・エスパダ”X-meeting”レポート#2 次期βの詳細が明らかに:10月からスタート,前回落選者にもチャンスありなど
#1「こちら」に続き,「グラナド・エスパダ」のファンカンファレンス,X-meetingのレポートをお伝えしよう。
■キム・ハッキュ氏によるトークセッション
この日のメインイベントの一つが,このキム・ハッキュ氏によるトークセッションだ。まずは司会者からハッキュ氏への質問が行われ,その後来場者を交えての質疑応答となった。 ここは,Q&A形式で紹介していこう。
Q(司会者。以下同): Primeroについてお聞きします。韓国でもクローズドβテストが行われたそうですが,日韓でのクローズドβテストを通じて,得られたものを教えてください。 A(ハッキュ氏。以下同): 今回のテストで,いろいろと新しいこと(MCCなど)を盛り込みました。そういったものに対し,プレイヤーの皆さんがどのように適応してくれるのか心配していたのですが,思った以上によく適応してもらえたようで,安心しました。
Q: Primeroで得たものは,今後どのようにゲームに反映されますか? A: 現在新しいテストに向かって準備をしているところで,一次テストの意見を参考にしつつ,作業を行っています。ラグを減らすなどの不具合対応のほか,テスターから寄せられたインタフェースの改善点なども考慮に入れて進めています。
Q: 日韓のテストで,違いというのはありましたか? A: とくに大きく変わったところはなかったようです。ただ韓国の場合,テスト前にテスター達がオフラインで知り合う機会が多かった(「こちら」参照)のに対し,日本のテスターにはそのような場が少なく,テスト時間も限られていたので,最初のうちは「時間が足りなかっただろうか」とも心配したのですが,テストが進行するうちに,イベントやゴーレム討伐を通じてテスターさん達もうち解けていき,良いテストになったんじゃないかと思います
Q: 日本のテスターの反応で,面白いと感じたものはありますか? A: バラックのトラックバックの記事で見たのですが,ゲーム中でGMに対して「魂は入っていますか?」という発言があったという話が大変面白かったです(笑)。
Q: 次回のクローズドβテストでは,どのようなことをするのか教えてください。 A: 第一次クローズドβテストでは,モンスターを倒す,ゴーレムを倒すというのがテスト内容になっていたのですが,第二次クローズドβテストでは,人対人もしくは党(ギルド)対党という,トーナメント式になる予定です。今韓国では,党単位での募集を行っています。日本のファン達も,心の準備をしておいてください。
Q: ハッキュさんは,IMC Gamesで,社長とプロデューサー業を兼任していますが,具体的にはどういう仕事をしているのですか? A: 開発プロデューサーというと,何か凄いことをしているように聞こえるかもしれませんが,実はそれほど凄いことをしているわけではなく,開発自体はいろいろな担当者ががんばっています。私の仕事は,彼らにいろいろとうるさく口出しすることです(笑)。
Q: 1日のスケジュールはどういう感じになっていますか? A: 朝から本作をユーザーの立場でプレイして,「どうしてこれはこうなるんだ」「これはこうしたほうがいいんだ」など,開発スタッフ達に,口出して口出して口出して(笑),という1日を過ごしています。
Q: 社長とプロデューサーというそれぞれの立場について,どう考えていますか? A: クリエイターとしては,自分の考えた妄想や想像に対して,常に挑戦して,妥協なく開発を進めていきたいのですが,一方社長としては,会社を維持しなければならない,社員のことも考えなければならないという現実的なことを重要視しなければならない。その間で,両者をどうやって調和をもたせるか,その点が非常に難しいと思っています。
Q: グラナド・エスパダを開発していて,苦しかったことと,楽しかったことを教えてください。 A: 苦労というと,今も常に苦労しています。たぶん明日も苦労するだろうし,明後日も苦労するでしょう。 楽しみというと,今日のようにユーザーの皆さんと一緒に時間を過ごすことが楽しいです。ユーザーの皆さんと意見や妄想を交換し,それを後日ゲームに生かすことでユーザーと共有できたとき,それが本当に楽しいと思える瞬間です。
Q: キム・ハッキュさんは,小さい頃から日本のゲームが好きだったと聞いていますが,その経験は今のゲーム作りに影響を与えていますか? A: 日本のゲームに限らず,ゲームは私自身に大きな影響を与えていると思います。子供の頃は,ほとんど毎日のようにゲームセンターに通っていて,ゲームは自分の人生そのものと思えるほど,大事な存在でした。ゲームセンターに新しい機械が入ると,まるでそのたびに自分の前に新しい世界が広がるように感じていました。
Q: 尊敬するゲームクリエイターを教えてください。 A: いろんなゲームからいろんな影響を受けていますが,とくに挙げるのならば,まずゲームとしては「ストリートファイター」,クリエイターとして「ウルティマ」のリチャード・ギャリオットさんでしょうか。
Q: ゲーム開発にあたって,心がけていることを教えてください。 A: IMC GamesのIMC(impress,motivate,connect)の部分です。これは,いかに良い印象を与えるか(impress),どうやってプレイヤーのみなさんにやる気を与えられるか(motivate),そして,どのようにプレイヤーのみなさんとつながってコミュニティを形成できるか(connect)という意味ですね。 より具体的には, ・どうしたら同じようなものを作って,自分達だけの色を出せるか ・どうすればシンプルでありながら,多彩な状況を作り出せるか ・どうしたらプレイヤーの皆さんに,挑戦と報酬のバランスを保ったゲームを提供できるのか といったことを,常に考えながら,開発しています。
司会者からの質問は,以上だ。まるで,普通にメディアが行うインタビューのような内容だったが,これはこれで,来場者は楽しんでいたようである。続いて,来場者の質問へ移った。
Q(来場者。以下同): 乗り物がないという話を聞いたのですが,遠くまで行くのに時間がかかると面白みが欠けると思います。遠くまで簡単に行ける仕組みというのは考えていますでしょうか? A: 現在のところ,具体的な予定はありません。ただし今後,都市間をワープできるなど,プレイヤーが楽しく移動できる手段を考えたいと思います。
Q: ロースペック用のクライアントも準備しているとのことですが,次のクローズドβテストや,その後では使えるようになるのでしょうか? A: ロースペック用は,現在準備中です。ハイスペックPCを使っている人でも,これまでのバージョンではモンスターがたくさん出るなどした場合,重くなることがありました。そのため,ロースペックPCを持つ人だけでなく,ハイスペックPCを持っている人のためにも,現在急ピッチで作業を行っています。 現在,次のクローズドβテストでロースペックバージョンが使えるよう最善を尽くしていますが,あくまで作業中であり,完全に約束できる状態ではないのでご了承ください。
Q: MCCやスタンスなど,すでに見られる部分をプレイして面白いと思ったのですが,まだ見られない,政治経済のシステムについても教えてください。 A: 政治システムというのは,多くのプレイヤーに影響する,重要な部分です。次のクローズドβテストでは,政治システムの基本となる,党を結成してもらい,党同士で戦うという部分を検証します。このテストを通して,今後より複雑な政治システムを搭載していきたいと思っていますので,楽しみにしていてください。
Q: これまでに公開されたグラナド・エスパダの情報を見ると,対人戦ではプレイヤースキルが重要という話が何度か出てきていますが,実際にプレイしてみると,即死効果を持ったスキルがあることや,攻撃を受けている側が足を止めたり吹っ飛んだりするという演出があることから,個人対個人のPvPはあまり想定していない印象を受けます。大規模な対人戦以外に,個人レベルで対人戦闘するというシステムの予定はありますか? A: 今のところ,フィールドで,個人に対して個人で攻撃することはできません。PvPを行う場合は,あくまでもお互いが党に所属して,党対党として戦うという形式になります。これによって,無差別なPKを防ぎながらも,プレイヤー同士による楽しい戦闘を味わえるというわけです。党対党の対人戦専用のマップもあるし,一般のフィールドでも戦えるのですが,このとき,各自の持っているプレイヤースキルや,戦術を生かしての戦いが繰り広げられるはずです。
Q: 実は私は,Primeroに落選していまして,次のテストでも受かる自信がありません。そこで今後,オープンβテストか,それに準ずる"条件の緩い"テストの予定があれば,教えてください。 A: 次のテストに関しても,まだ開発中のものですので,多くの人にプレイしてもらうというのは,ちょっと難しいかもしれません。ただ,そういったテストを通じて意見をもらい,ある程度開発が進んだら,今度はこういった部分部分のテストではなく,本格サービスに向けた通常のβテストを行いますので,その時期までお待ちいただけたらと思います。
■ついに第二次クローズドβテストの内容が明らかに
お馴染み,HUEの平田雅一氏
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トークセッションのあとは,賞品抽選会が行われた。これは来場した一般客に,抽選でグラフィックスカードや,小林智美さんのイラスト入りテレホンカードなどの豪華賞品をプレゼントする企画だ。 しかしこのコーナーについては,当日行けた人専用のお楽しみなので,ここでは割愛しよう。ところで余談だが,キム・ハッキュ氏がプレゼントしていたポルシェ(……のフィギュア)を見て,「あ,ハッキュ氏の愛車と同じモデルかな?」と思った人は,いるだろうか。あとで確認したが,実はハッキュ氏のポルシェはすでに同僚に売り渡しており(その同僚はまた別の同僚に売ったようだが),今はBMW M3に乗っているとのことだった。
さて,トークセッションと並ぶこの日の山場,第二次クローズドβテスト(名称未定)の詳細発表の模様をお伝えしよう。 壇上に立ったのは,これまたお馴染み,ハンビットユビキタスエンターテインメント(以下,HUE)の平田雅一氏である。「ほとんどさっきハッキュさんが話しちゃったから,出てこなくてもよかったんじゃないか」とジョークを飛ばしながらも,実にじっくり,次のテストについて解説してくれた。 第二次テストでは,Primeroで寄せられた意見をもとに,多くの改善/機能追加が行われている。大きく分ければ,次の5項目の変更が行われる予定だ。
エスペランサが,最後のご挨拶(?)
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見てのとおり,キー割り当てや日本語入力の問題など,懸念だった部分が修正されているのが嬉しい。Enterチャットの採用(これによってAltキーとの併用などがほぼなくなり,大抵の操作がワンキーで可能になる)によって,ずいぶん操作しやすくなるはずだ。またラグや各種不具合もずいぶん改善されているという。 弱点が指摘されていたボスモンスターも,強くなっているとのこと。平田氏が,Primeroで最高レベルを達成し表彰された"せら"さんに対し,「ぜひ挑戦してほしい」と挑発していたほど(?)である。 さらに,韓国でのテスト(詳細は「こちら」)と同様に,日本での第二次クローズドβテストも,党に入ることが条件となる旨が明らかにされた。ただ「実際に何人単位で応募しなければいけないのか」などの詳細はまだ決まっていないようで,来週(つまり本日8月29日の週)か再来週にも発表するとのことだった。ちなみに政治システムを睨んでの「党」という日本語訳なのだろうが,政治システムが見えてこない今だと,ちょっと違和感があるかも……?
トーナメントシステムについては,「私もまだプレイしていないのでよく分からないのですが,どうやら陣地取りのようなシステムになるようです」とのこと。これに関しては,発表会のあとでキム・ハッキュ氏本人から詳しく聞いているので,そちらの記事をお待ちいただきたい。
待望のNPCも招聘できるようになる。しかも,カードで,というのが驚きだ。つまりNPCをアイテムとして集められるのだ。ついコレクションしちゃいそうである。「バラックの中で出てくるので,人型が中心かなぁ」と平田氏。 NPCの能力に関して,一般クラスの場合通常のキャラクターと同じスキルを使うのか,同じスキルにせよ条件が違うのか……なんてことについては,実装してから考える部分なので,まだ発表できないとのこと。発表されたことでユニークだったのは,あるプレイヤーがNPCカードを(モンスターからのドロップなどで)入手したあと,一定時間,ほかのプレイヤーがそのアイテムを入手できない場合もあるということ。確かに同じNPCがあっちにもこっちにもいたら興ざめだし,これはなかなか面白いアイデアといえるだろう。
気になる募集要項も,一部明らかにされた(詳細は,例の"来週か再来週の発表"で)。対象(=参加者ではなく,あくまで参加候補者)となるのは,まずPrimeroの参加者だ。ただしそのまま移行できるのではなく,新たな条件(おそらく党に関する部分だろう)が課される模様。そして,この日の"授賞式"で何かしら受賞した人も,対象となる。 Primeroに落選した人(HUEにデータが残っているとのこと)や,前回応募していない人にも,わずかとはいえチャンスはあるとのこと。なお合計で,500名を予定しているようだ。 詳細の発表および,募集開始の日を,楽しみに待っていよう。なお実際のテストは,10月頃を予定しているとのことだった。
キム・ハッキュ氏に発表会直前にもらったという,おまけの映像。詳しい説明はなかったが,カートゥーンレンダリングが使用されているのは見て取れる。最初は「低スペックユーザー用クライアント」の画像かとも思ったが,そうでもなさそうだ
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左から,小林智美氏,キム・ハッキュ氏,キム・ヨンマン氏,久保田修氏
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さて,実に2時間におよぶこのX-meetingも,このあとフォトセッション(つまりメディアのための撮影時間)を経て,終了となった。 このフォトセッションや,司会者からキム・ハッキュ氏への質問の一部など,メディア向け過ぎる内容もあったとはいえ,イベント自体は成功に終わったといっても過言ではないだろう。帰り際に出口でハッキュ氏と握手して,満面の笑みを浮かべながら帰っていく参加者が印象的だった。 このイベントが成功したのは,むろんこの日だけのものではない。たかだか計25時間しかない1回のクローズドβテストに,あれだけ凝ったバックストーリーを作る姿勢や,バラックのトラックバックシステムに代表される,普段からのファンとの交流が,この日につながっていることは明白だ。テストが始まって以降,やや"選民"の度合いが強すぎる(クローズド過ぎる)気もするが,これはこれで一つの形なのかもしれない。そもそもハッキュ氏の意向なのだから,HUEにはどうしようもないのかもしれないが。 ともあれグラナド・エスパダは,非常に恵まれた作品だといえるだろう。今後どのように開発が進み,どのような展開がなされて,どのような完成系になるのか,いろいろな意味で,実に楽しみである。 しかし,次のテストが10月頃ならば,正式サービスは一体いつになるのだろうか……(このあたり,実はあとでキム・ハッキュ氏に聞いているので,そちらの記事をお楽しみに)。
→レポート#1は,「こちら」 →オープニングムービーのダウンロードは,「こちら」
……と,この記事は一旦終わったが,実はまだおまけがある。発表会後に何があったのかを知りたい人は,ぜひこちらもご覧あれ。
■おまけ:ファン主催のオフ会にハッキュ氏乱入!
8月27日(土)19時半頃,現在βテスト中の「4Gamer.Lobby」(詳細は「こちら」)の中でもとくに人気のあるルーム「#グラナド・エスパダ総合」は,休日の夕方にもかかわらず,珍しく閑散としていた。 実はこのとき,秋葉原の某居酒屋に,X-meetingのために上京したグラナド・エスパダファン達20人弱が集まり,いわゆる"オフ会"を開催していたのである。 このイベントに,HUEの樫木氏や平田氏,河嶋氏達が参加するというので,筆者も少しだけ,顔を出させていただいた。単に撮影のためだったのが紹介されてしまって,非常にドキドキだったのだが。 参加してみて驚いたのが,多くの人が(少なくともオフラインでは)初対面であるはずなのに,実にうち解けていること。チャットや掲示板での雰囲気がそのまま持ち込まれ,実に和気あいあいとした,楽しい場となっていた。平田氏の,あの妙にフレンドリーな雰囲気がそのまま持ち込まれているというか。さすがに遠慮しつつ,「写真に顔が写ると困る人は教えてください」と聞いたのだが,「いいじゃん,みんな写ろうよ」と平田氏。いいのか……?
しかしこのオフ会のテンションがピークに達したのは,平田氏が,真のスペシャルゲストを連れてきたときだ。そう,キム・ハッキュ氏の降臨である。グラナド・エスパダの熱心なファンは,つまり,キム・ハッキュ氏の熱心なファンでもあるのだろう。そのときその場は,想像以上の大歓声に包まれた。"割れんばかりの歓声"というものを久しぶりに聞いた気がする。実は遡ること2時間ほど前に"降臨"を聞いていた我々は,その模様の撮影に寄らせていただいたのだったりする。 しかし喜んだのは,参加者ばかりではないようで,ハッキュ氏も,実に楽しそう。もともとX-meetingの式次第を見て「自分は壇上から話すだけで,ユーザーと対等な位置で話ができない」と不満げだったハッキュ氏。かつて「ユーザーの皆さんと一緒に時間を過ごすことが楽しい」という発言があったが,あれはまごうことなき真実だったようである。 このとき,ファンとハッキュ氏の間で,どのような交流がもたれたのか。それは,参加者だけの特権だろうから,詳しくは書かないでおく。彼らがサインしてもらったアイテムは,きっと大事に家に飾られることだろう。(Text by Iwahama,Photograph by kiki)
当然のごとくサイン責めにあうハッキュ氏(右)。この日の参加者は,実によい思い出(とおみやげ)ができたことだろう
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グラナド・エスパダ |
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