先日「こちら」で,中国政府当局で出版物などのガイドライン設定を行っている"GAPP:General Administration of Press and Publication"が,オンラインゲームのプレイ時間に制限をかけるプログラムを開発しているというニュースをお伝えした。
これに対し,中国で150万人を超える「World of Warcraft」(中国名 魔獣世界)のプレイヤー達から,強い反発が起きているようだ。 彼らはサイト(「こちら」)を立ち上げ,こうした動きに対して反対の意思を表明すべく,署名活動を行っている。現在のところ1000を超える署名が集まっているようだが,それらはすべて実名ではなくハンドルネームであるため,どの程度の実効性があるのかは未知数だ。
こうした騒動をよそに,中国の最大手パブリッシャであるShandaと,2位の第九城市は,極めて冷静な姿勢を見せている。彼らはともに,すでにオンラインゲーム中毒を防止する仕組みをゲームに組み込んでいるが,それ以前と比べてゲームの運営や収益に大きな影響は出ていないそうだ。 だが一方,中国のITコンサルタントiResearchは,政府がこのプログラムを導入した場合,総合プレイ時間が減少するため,パブリッシャの収益減につながると見ている。
前述のWoWプレイヤー達は,「この規制はオンラインゲームプレイヤーの権利を侵害するものだ」と主張しているが,世界的な人権団体アムネスティのレポートによると深刻な人権侵害が続いているという中国で,"オンラインゲーマーの声"というものが,どの程度政府に届くのかは疑問が残るところ。 一方,中国や韓国では,長時間連続してオンラインゲームをプレイしていた人が死亡するなどの事件も起きていることから,こうした規制の動きも理解できなくはない。だが,オンラインゲーマーの人口が数千万人と言われる中国で,政府がきっちりコントロールできるものなのだろうか。 ここはむしろ,パブリッシャなりデベロッパなりが,政府とプレイヤーの双方を納得させるような仕組みを,より積極的に構築していくべきではなかろうか。このあたり,今後の動向に注目したい。(TeT)
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