中国「Shanda」,地域別サービスや映画など新事業を次々と開拓
中国大手のゲームパブリッシャ盛大ネットワーク(Shanda)は,2005年9月8日,北京で「新思考,新スタイル,新発展」についての発表を行い,同社の新しい運営方針を提示した。
新しい運営方針とは,オンラインゲームのサービスについて。これに関しては差別化を図ることが重要で,それを実施するには地域別の小さなエリアごとに分散したサービスを提供することが必要という考え方だ。 これにより,Shandaが開発したオンラインゲーム「英雄年代」と「神跡」については,20社が参加し地域別の運営を行っていくという。運営の内容は,ユーザーサポート,集金体制,市場の拡大,技術保障,顧客サービスなどが中心となっており,運営のほぼすべてに関する部分は各企業に任される形となるわけだ。 なお,新たな運営地区は河北,大連,本渓,営口,丹東,鞍山,上海,湖北,江西,四川,貴州,浙江,広東,湖南,重慶となる。
同社総裁の唐駿氏は「Shandaの業務は日々多元化しており,順調な発展を続けています。ゲーム業界全体のレベルを上げることによって,中国経済の長期的成長に大きな貢献が出来るでしょう」とコメントした。
また同日夜には,北京全国協礼堂でShanda,中国栄慶齢基金会,共青団北京市委,中国木偶芸術劇団,北京永庄文化発展などが合同制作した「網絡少年」(ネット少年)の試写会が行われた。 この映像作品は,コンピュータに精通した中学一年生が主人公で,ネット中毒になっていた状態から,教師の指導でネットを学習利用できるまでの成長過程を描いているという。 試写を観た政府高官達は「児童のよい教育になり,家族みんなに感動を与える素晴らしい映画」と大絶賛。それもそのはずで,この映画は中国政府が提唱している「健康的なネット利用」というスローガンと合致する内容とのことだ。
ShandaのCEO陳天橋氏は,「ネット少年は,Shandaと他社が共同で制作した映画の第一作です。インターネットと共に健康的,文明的な社会作りを訴える作品で,これを通してインターネットの環境の中で青少年の健康的な成長を促したいと願っています。またこの映画は,Shandaの"ファミリー向け事業戦略"の大きな一歩となります。より多くのみなさんに,ぜひこの映画を楽しんでもらいたいと思います」と語った。
同社は,2005年第二期で,純営業収入が2004年同期の88%増,前期の8.5%増の5.4億元(約75億円),純利益が同58.2%増,同1.3%増の2.23億元(約31億円)という結果を残しており,最高同時接続数は250万人とのこと。
中国国内のオンラインゲーム会社は,現在ShandaとNetEase(綱易),The9の3社のしのぎあいという図式となっている。 Shandaは,大手ポータルサイト「SINA.com」(新浪)を運営するSINA社の株式の取得(事実上の買収と明言している)や,今回のNewsにある映像業界への進出,新しい経営スタイルの打ち出しなど,新たなビジネスへの取り組みを積極的に行っている。一方The9は,世界規模で爆発的なヒットとなっているMMORPG「World of Warcraft」の中国サービスを行っているし,NetEaseもポータル事業を拡大してきている。 オンラインゲーム市場が少し落ち着いてきた韓国は,ある程度勝ち/負けがはっきりとしてきたが,中国市場でどこが成長していくかというのはまだ流動的だ。この激動の時期をどう乗り越えていくかが各社の課題ともいえそうだが,それぞれの動きにはすでに目指している方向性の違いが見え隠れしている。 いずれにせよ,ワールドワイドで市場を見た場合,あらゆるジャンルにおいて無視できないのが中国。その動きには,しばらくの間注目しておきたい。(Seal)
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