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[TGS2005#18]「Warhammer 40,000」をベースにしたMMORTSを開発中? オンラインゲームでアジア市場を狙うTHQとRelic Entertainmentの戦略
2005/09/17 07:34
 東京ゲームショウ2005(以下,TGS2005)開催(9月16日)の数日前,Relic Entertainmentより,同社が開発したRTS「Warhammer 40,000:Dawn of War」の日本語版に関する連絡が届いた。4Gamerでは,早速Relic Entertainmentに連絡を取り,TGS2005期間中に軽いインタビューを行う約束を取り付けたのである。
 インタビューに答えてくれたのは,THQのアジア方面の責任者であるMartin Good氏と,Relic EntertainmentのCEOであるRon Moravek氏の両名。
 喫茶店での軽い雑談ベースで行われた今回のインタビューだが,なかなかに面白い話を聞くことができた。なんでも,「Warhammer 40,000」の世界観をベースにしたMMORTSを作っているのだというのだ。


Relic Entertainmentの次回作は「Warhammer 40,000」をベースにしたMMORTS?

Ron Moravek:3D RTSの金字塔「Homeworld」の開発元として有名なRelic Entertainment社のCEO
4Gamer.net(以下,4Gamer):
 こんにちは。「Warhammer 40,000:Dawn of War」の日本語版を発売するそうですね。

Ron Moravek氏(以下,Moravek氏):
 ええ。壮大な世界観を持つRTS「Warhammer 40,000:Dawn of War」を日本で発売できることを嬉しく思っています。

4Gamer:
 それは完全日本語版として発売されるものなのでしょうか?

Moravek氏:
 現在ローカライズ作業をしていて,完全日本語版としての発売を予定してますね。拡張版「Warhammer 40,000:Dawn of War - Winter Assault」とセットのパッケージとして発売するつもりです。

4Gamer:
 お, 最新作の「Winter Assault」も同梱されたパッケージになるんですね。で,発売時期や販売元はもう決まっているんですか?

Moravek氏:
 それはまだ発表できないんですが,近々お知らせできると思いますよ。

4Gamer:
 なるほど。しかし,THQの人気タイトルの一つである「Warhammer 40,000」を完全にローカライズして日本に持ってくるということは,今後も,継続的にTHQのPCパッケージゲームを日本国内で展開する予定があるということですか?



Martin Good:THQのVice President。日本を含むアジア地域への販売事業を担当している
Martin Good氏(以下,Good氏):
 ええ。とはいえ,以前にも我々の作品を日本のメーカーにライセンスしたことがありますし,コンシューマゲームの市場などと比べて,日本のPCゲーム市場がかなり小さいのはよく知っています。

4Gamer:
 では,なぜPCゲームである「Warhammer 40,000」を日本で販売するのでしょうか?

Good氏:
 凄くクールな言い方をしてしまうと,Warhammerというブランドを日本に認知させていくと共に,日本,そしてアジアという市場をリサーチする目的があります。

4Gamer:
 リサーチというと,マーケティング的な意味合いでですか? でも日本やアジアのPCゲーム市場というと,今はパッケージゲームよりもオンラインゲームの分野が伸びている傾向がありますよね。

Good氏:
 そうですね。韓国での「StarCraft」の大流行やMMORPGブームなど,我々もアジアのゲーム市場動向には注目していますよ。……実を言うと,現在,我々もワールドワイドでの展開を視野に入れたオンラインゲームの制作に取りかかっているんですよ。

4Gamer:
 ええ!? というと,それはMMORPGか何かなんでしょうか? 何気に凄いビッグニュースだと思いますが……。

Moravek氏:
 惜しい! MMOはMMOだけど,MMORPGじゃないんですよね。「Warhammer 40,000」をベースにしたMMORTSを予定しています。

4Gamer:
 うわ! やはりビッグニュースじゃないですか(笑)。

Good氏:
 今回,完全日本語版で発売するパッケージ版「Warhammer 40,000」は,そのための布石ということになりますね。アジアの国々の中には,すでにWarhammerの世界観が定着しているところもありますが,日本ではまだまだ全然知られていない。日本の人に,「Warhammer 40,000」の面白さを知ってもらう"紹介"の意味も込めて,この度,完全日本語版の発売を決定したんですよ。


4Gamer:
 なるほど,なるほど。ではオンライン版「Warhammer 40,000」のほうはタイトル名などはもう決まっているんでしょうか?

Moravek氏:
 まだ決まってないですね。そうだな……,今のところ「Dawn of War Online」(仮)とでも呼んでください。

4Gamer:
 分かりました。あと先ほどワールドワイドでの展開を視野にしていると話していましたが,やはり韓国や中国を視野に入れた展開を考えているんですよね?

Good氏:
 それはもちろん。先ほどStarCraftというタイトルを例に挙げましたが,私達が注目しているのは,RTSの分野でStarCraftの後継者という地位を獲得しているタイトルがないことですね。

4Gamer:
 それは確かに。では,具体的にはどういった内容のゲームになるのでしょうか?

Moravek氏:
 まだあまり詳しいことは言えないんですが,「Shattered Galaxy」(邦題 タクティカルコマンダー)のようなタイプのゲームだと言えば,想像しやすいでしょうか。複数のプレイヤーが,同時に壮大な叙事詩に参加していける「オンラインキャンペーン」システムなど,これまでにない体験をプレイヤーに提供できると考えていますよ。

4Gamer:
 それは例えば,複数のプレイヤーが軍隊を引き連れて,巨大なボスユニット/大軍団と戦う"Raid"のようなシチュエーションも考えられるということですか?

Moravek氏:
 まさにそれです。そういうシチュエーションは体験できると思ってもらっていいですよ。

4Gamer:
 それはかなり面白そうですね。発売時期なんかは……やはりまだ発表できるような段階ではないですよね。

Moravek氏:
 さすがにまだなんとも言えないですね。ただ,来年(2006年)か再来年かは分からないですが,我々のパートナーであるTHQさんと一緒に,東京ゲームショウでブースを構えられればいいな,とは思っています。……Dawn of War Online(仮)については,今はこのくらいで許してください。

4Gamer:
 では,また今度詳しく聞かせてください。

Moravek氏:
 分かりました。まずはパッケージ版「Warhammer 40,000」を楽しんでもらえればと思います。こちらも自信作ですから。

4Gamer:
 そうですね。日本語版の発売を楽しみにしています。本日はありがとうございました。


 さて,「Warhammer 40,000:Dawn of War」の日本語版パッケージの話を聞くつもりが,かなり意外な方向へと話が進んだ今回のインタビュー。どうも話を聞いていくと,彼らは,欧米では高い人気を誇るもののアジアではまだパッとしないWarhammerのブランドを世界規模で展開していくにあたって,StarCraftでアジア地域のゲーマーに馴染み深いSF RTSというジャンルからのアプローチを試みるつもりの模様。オンラインゲームという意味でも,競合の多いMMORPGを避けたMMORTSという独自路線の選択に,マーケティング的な見地からの思惑が見え隠れしたのが印象的であった。
 もちろん,このアプローチの是非は実際にリリースされてみるまで分からないが,これがマーケティング的にもゲーム的にも面白い試みなのは確実。MMORTSというジャンル自体ほとんど世の中に存在しないだけに,今後の動向が気になるところである。「Warhammer 40,000:Dawn of War」の日本語版パッケージ共々,新たな情報が入り次第お伝えしたいと思う。

 ちなみに日本語版パッケージの発売が発表された「Warhammer 40,000:Dawn of War」だが,あの「Homeworld」を手がけたRelic Entertainment社が開発しただけあって,近年発売されたRTSの中でもトップクラスのクオリティを誇る作品となっている。4Gamerの「こちら」には体験版も掲載されているので,興味がある人はぜひプレイしてみるとよいだろう。(TAITAI)



Warhammer 40,000: Dawn of War
■開発元:Relic Entertainment
■発売元:THQ
■発売日:2004/09/20
■価格:49.99ドル
→公式サイトは「こちら」
Warhammer 40,000: Dawn of War - Winter Assault
■開発元:Relic Entertainment
■発売元:THQ
■発売日:2005/09/21
■価格:29.99ドル
→公式サイトは「こちら」

【この記事へのリンクはこちら】

http://www.4gamer.net/news/history/2005.09/20050917073448detail.html